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食の風景「間にあった豆ごはん」

春の嵐吹き荒れて、先日ようやく葉の綻び始めたぐみの芽が、早速世の洗礼を受けて居ります。季節の移り変わりを日ごと実感するこの頃です。

今日は買い物へ行きました。野菜売り場は季節商品が次々登場しては私たちを楽しませてくれますから、できるだけじっくり歩きます。そら豆、菜の花、法蓮草、春キャベツ、新じゃが芋、新玉ねぎ、それにブロッコリーもお買い得です。どれも初々しくて美味しそうです。この中から料理できる分だけを選ぶなんてと、すっかり迷ってしまいます。そんな中、和歌山県産うすい豆が、二袋だけ百円引きになっています。「このままでは僕たち捨てられちゃうんです」そんな声が聞こえてきそうです。今日はご飯を炊く予定はありませんでしたけれど、幸い白ごはんが二合弱残っています。よい事を思い付きました。

「豆ごはんチャンス到来だ」

帰宅して早速調理することにしました。

片手鍋に少なめのお湯。沸騰したらさやを外したお豆さんを投入。がらごろがらごろ、鮮やかな緑色になるまで湯掻きます。火が入って鮮やかな緑色になったらがらごろがらごろは云いません。代わりにいい匂いがしてきます。火の入り具合に自信がない時は、一粒菜箸で掴まえて、豆を指で摘まんでみると良いです。潰れない内はまだ火が入っていないと云う事です。あくまでそっとです。渾身の力で潰さないようにお気をつけ下さい。

茹で上がった豆は、水気を切ってボールへ取ります。そこへ豆に味を付ける程度の塩を振ります。しゃもじで軽く混ぜて、レンジで温めた白ごはんを入れ、豆と混ぜ合わせていきます。あっという間に豆ごはんの出来上がりです。炊き立てご飯じゃないけれど、これで十分美味しい豆ごはんが出来上がりました。買いそびれて、このまま作れずに季節が移ってしまうかも知れないと思っていた豆ごはんでしたが、素敵な出会いに恵まれました。

見切りにされたお豆さんとは思えない、青臭さなし、ホクホクとして、味の濃い、とっても美味しいうすい豆でございました。和歌山の農家さん、美味しいお豆をありがとうございます。わが家の春の食卓にも、無事、間に合いました。

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「ごちそうさまでした」


                        文と料理と写真・いち



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