栗日記 リハビリ編52
見ていてこんなにも不快な気分になっているのに、悪人が1人も出てこない。
人間から「親しみやすさ」を引いて、代わりに「限界さ」に置き換えたような面構えの彼。
彼こそが伝説の消しゴム頭。
子どもと親が主軸に置かれている作品でありながら、母性も父性も他人を気遣う心の余裕も、この映画には全くない。
仄暗いモノクロ映像の中を蠢く登場人物たちは、全編を通して不気味の谷を突っ走る。
幸福から最も遠いところにいるかのような表情の主人公。
相対的に一番人間らしくて親しみやすかったお嫁さん。
赤ちゃんは人ではなく、異質でおぞましい人外として描かれる。
未熟な父親の精神は、何もかも抱えきれないというように、ひたすら現実逃避をしている。
この映画の全てが、見る者の神経を逆撫でする要素で出来ている。
今日はまた1ヵ月ぶりに近所の山を登った。
両足が動くことに毎日感謝している。
四肢が動くことにしみじみありがたみを感じるなんて、一度全身の自由を完全に奪われる経験を経たからできること。
朝の二度寝や昼寝の時間を少しずつ短くして普通の人間の生活に近づける努力をする。