木葉花

現代詩・小説の創作

木葉花

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マガジン

  • 詩集 月光読書 弍

    何気なく思いついた詩を書いていきます。最初の月光読書はノベルデイズにあります。https://novel.daysneo.com/author/lunagon/

  • 小説 Lento con gran espressione

    月子は亡くなった大叔母から小さなお屋敷を譲り受ける。そこには花の咲きみだれる美しい庭園があった。大叔母は何故月子に家を残したのか?そんな中、ひょんなことからとあるピアニストの青年と出逢う。彼は大叔母の友人だった──。

記事一覧

【散文詩】愛するのは子守唄

しっとりと汗のついたシーツを剥いで ベッドから起き上がった 隣には寝息をたてる男がいた スマホがふいに鳴る 直樹からだ 男の大きな背中がみじろいだ そっと立ち上がって…

木葉花
4日前
40

【詩】人生

通り雨が来るでしょうか 外は雷が鳴っていて恐ろしい 川のような道路に海の水が混じって 泥のよう 息をし息を繰り返す 生きようとしもがき苦しむ 生き方の問題だと言われた…

木葉花
5日前
48

【詩】あの丘で待っている

明日みる夢は遠くなれど 昨日の夢は背中に迫ってくる 道筋は違うなれど 皆同じ頂へと向かっている それは山のようで丘のようで あの輝く太陽を拝みたくて 登っている…

木葉花
9日前
52

詩人になることにした

なんにせよ、何か一つのことを長い間続けるのは難しい。 それがどんなに努力しても報われないのなら特に。 私は20歳の頃から小説を書いてきた。 長かった。疲れてしまった…

木葉花
9日前
62

【詩】すみれ

すみれ すみれの花が咲いたよ 美しく 可愛い花だよ あなたに横顔が似ているよ 気高さが似ているよ いつも話してくれた 優しさのひとときをくれるんだ 振り返った過…

木葉花
2週間前
55

【散文詩】私は私らしく

夢子よ、夢子、いつもそばに居ておくれ。 年老いた祖母が私に最後、語った言葉だった。 あれから随分経って、私は15歳になった。 今、熱烈な恋をしている。 真斗くんはクー…

木葉花
3週間前
67

【詩】黄昏よ泣かないで

黄昏よ 泣かないで いつか もし君の背に雷が落ちようと 僕は何時だって そばに居る 愛しているのは 君だけで トンネルの中 どんなに遠くても 君の側に駆けつけるから 黄昏…

木葉花
1か月前
54

【小説】迷走脳(約36000文字)

   迷走    脳                                        MEISOUNOU                         …

木葉花
1か月前
41

【詩】白い壁の中の恐怖

許してください 許してください 許してください 僕が何をしたんですか あの白い壁の向こうの夕日は どのくらいの速度で走ってるんですか カゲロウのように生きるのは 僕…

木葉花
1か月前
32

【詩】感謝する

青だけだ 1番輝く星は 自分を貫くのは 君はどんなに辛くとも どこに居ようとも 真っ直ぐに生きる 未来に困難が待ち受けていようとも 歩き続ける 明るい君の笑顔が せめ…

木葉花
1か月前
56

【詩】月夜の砂浜

キミがくれた貝殻 砂浜に埋めて 波がさらうよ 最初はガーゼに挟んで ポケットに入れてた 大切にしてしまっていたんだよ キミがくれた貝殻 砂浜に埋めて 波がさらう…

木葉花
1か月前
45

お庭で咲いたモネという名のピンクの薔薇。
一輪挿しは繊細さが際立つ。

木葉花
1か月前
46

【詩】自由な空へ

哀しみ背負うよ 夢のように 世界へ向かって 歩く勇気のない自分に贈る詩 どんなに辛くとも 涙溢れるようとも この手のひら一杯 光集めて 飛ぼうよ この大空に 何時かを…

木葉花
1か月前
67

体調が悪いです。水瀬そらまめは当分休憩します。名前もアイコンも変更しました。これからは詩を中心に投稿していきたいと思います。よろしくお願いします。

木葉花
1か月前
49

【詩】君よ見よ(月光読書より)

ま新しい綿毛で身を包まれている夜 君は何を感じただろう 五月雨のように舞う花を君は知っているのか 雷のような巨大な台風を知っているのか 荒れ狂う輝きを空に見たこ…

木葉花
1か月前
73

【詩】悲しみ彷徨う魂

君よ見よ あの頂に登って行こうとする人たちを 長い列を作って そこに立つ先駆者の賛美を必要としている 馬鹿げたことじゃないか 君よ見よ 理由もなく他人を訝しがる人た…

木葉花
1か月前
55

【散文詩】愛するのは子守唄

しっとりと汗のついたシーツを剥いで ベッドから起き上がった 隣には寝息をたてる男がいた スマホがふいに鳴る 直樹からだ 男の大きな背中がみじろいだ そっと立ち上がって それを持ってバスルームに入る 直樹は子供みたいな大人だった 薫がいないと眠れない そうねむたげな声で呟くのだ 私はくすりと笑って歌った 赤ちゃんに歌う子守唄を しばらくすると鼻息が聞こえて来た 眠ってしまったようだ ドアの向こうからいびきが聞こえてきた なぜだろう 涙がこぼれ落ちた 直樹に会いたい 会ってハグし

【詩】人生

通り雨が来るでしょうか 外は雷が鳴っていて恐ろしい 川のような道路に海の水が混じって 泥のよう 息をし息を繰り返す 生きようとしもがき苦しむ 生き方の問題だと言われた 外ではあいかわず雨 ラ音♭が窓に打ちつける 無我夢中の人生って とても気恥ずかしい 決してスマートじゃないから 誰かに許してもらうには 歳を取りすぎた 許してとたくさんの人達に 伝えることができたなら そんな私もまだ誰かに必死に 愛されたいと思っているのです 通り雨が来るでしょうか 外は雷が鳴って恐ろしい

【詩】あの丘で待っている

明日みる夢は遠くなれど 昨日の夢は背中に迫ってくる 道筋は違うなれど 皆同じ頂へと向かっている それは山のようで丘のようで あの輝く太陽を拝みたくて 登っているのだ 清々しい風が頬に吹いてくる たおやかに揺れる花々が 芳しい香りを放ち 極楽を想像させる 君は知っているかい どれだけ大事な人がいるのかを 緩やかな景色の中 手を振っている人たちがいる ありがとうをいう人が あの世界で待っている

詩人になることにした

なんにせよ、何か一つのことを長い間続けるのは難しい。 それがどんなに努力しても報われないのなら特に。 私は20歳の頃から小説を書いてきた。 長かった。疲れてしまった。 選考に残ることもあったが、ぬか喜びになった。 もう小説を書くのをやめようと思う。 そして詩人になるのだ。 詩人なら孤高という言葉も美しく輝く。 詩なら溢れてくる。 しかし途中まで書いていた小説が一つ残っている。 それを仕上げよう。 それで終わりだ。 詩のように天から降ってくる現象があるのなら それで幸

【詩】すみれ

すみれ すみれの花が咲いたよ 美しく 可愛い花だよ あなたに横顔が似ているよ 気高さが似ているよ いつも話してくれた 優しさのひとときをくれるんだ 振り返った過去が 後悔と共に押し寄せてくる あの時もっと優しくしておけばよかった あの時もっと素直になっていればよかった いつだってあなたは あなたらしかったね いつだってあなたは 変わらなかったね すみれの花が咲いたよ あなたに似た花だよ いつまでもいつまでも 変わらぬ花 まるであなたのよ

【散文詩】私は私らしく

夢子よ、夢子、いつもそばに居ておくれ。 年老いた祖母が私に最後、語った言葉だった。 あれから随分経って、私は15歳になった。 今、熱烈な恋をしている。 真斗くんはクールで私の気持ちを知ってか知らずか いつも冷たく接してくる。 部活にも身が入らない。勉強も然り。 私は恋愛に身を投じている。 このまま歳をとって大学生になっても 真斗くんのことを好きな自信はあった。 卒業式になって真斗くんにボタンをもらって いよいよ告白した。 結果、玉砕。 私は地元の大学に何とか入学できたけど

【詩】黄昏よ泣かないで

黄昏よ 泣かないで いつか もし君の背に雷が落ちようと 僕は何時だって そばに居る 愛しているのは 君だけで トンネルの中 どんなに遠くても 君の側に駆けつけるから 黄昏よ 泣かないで 明日が どんなに不確かでも きっと大丈夫 僕が傘になって 君の涙を受け止める ポケットの中に 乾いたガーゼを入れて 君に何時だって 渡せるように してる 黄昏よ 泣かないで 心は 何時だって 君のものさ 黄昏よ 側にいて 君の側に居させて

【小説】迷走脳(約36000文字)

   迷走    脳                                        MEISOUNOU                                ーーーーーーーー      ~もし生まれ変わるなら、今度はクラゲになりたい。だって美しいし自由だ!~ ダイレクトチップ・デバイスコーポレーションで働く桂木擁《よう》は、仕事の合間に言葉遊びをするのが趣味。最初はストレス解消のためだったが、秘書の加藤が少しずつ難題を突きつけてくるようになる。そ

【詩】白い壁の中の恐怖

許してください 許してください 許してください 僕が何をしたんですか あの白い壁の向こうの夕日は どのくらいの速度で走ってるんですか カゲロウのように生きるのは 僕には容易いことです 何もできない 何もできない 何もできない 僕が何をしたんですか 許してと言ったのは いったい何をしたのか わからないけど この部屋から抜け出したいからです すいません すいません すいません 生きてて 黄昏だけが寂しいものじゃない あんたの陰だって寂しいじゃない 僕が何をした

【詩】感謝する

青だけだ 1番輝く星は 自分を貫くのは 君はどんなに辛くとも どこに居ようとも 真っ直ぐに生きる 未来に困難が待ち受けていようとも 歩き続ける 明るい君の笑顔が せめてもの慰めで 僕は生きていけるんだ ありがとう

【詩】月夜の砂浜

キミがくれた貝殻 砂浜に埋めて 波がさらうよ 最初はガーゼに挟んで ポケットに入れてた 大切にしてしまっていたんだよ キミがくれた貝殻 砂浜に埋めて 波がさらうよ 海を見つめながら キミを想いながら 潮の匂いを嗅いだよ ──最初はガーゼに挟んで ポケットに入れてた 大切にしてしまっていたんだよ どうしようか悩んだけれど 同じ場所へ 返そうと思ったんだよ

お庭で咲いたモネという名のピンクの薔薇。 一輪挿しは繊細さが際立つ。

【詩】自由な空へ

哀しみ背負うよ 夢のように 世界へ向かって 歩く勇気のない自分に贈る詩 どんなに辛くとも 涙溢れるようとも この手のひら一杯 光集めて 飛ぼうよ この大空に 何時かを乗せて 飛んでいきたいと 苦しみのない 時代がやってきて 必ず誰しも笑い合えると 信じ生きたい 髪の毛を後ろに縛り これから何かしようと 頑張って でもきっと困難が待っている だけど 大きな大地目指して 羽ばたいて欲しい 君たちは自由なんだ 自由なんだよ

体調が悪いです。水瀬そらまめは当分休憩します。名前もアイコンも変更しました。これからは詩を中心に投稿していきたいと思います。よろしくお願いします。

固定された記事

【詩】君よ見よ(月光読書より)

ま新しい綿毛で身を包まれている夜 君は何を感じただろう 五月雨のように舞う花を君は知っているのか 雷のような巨大な台風を知っているのか 荒れ狂う輝きを空に見たことはあるのか ささやきすら時に恐ろしい遠吠えになることがあるのを知っているのか 知らない 何も知らない完璧な世界を知っているのか 空虚な魂がこの世に生まれた夜を一つ物語として知っているのか 君よ見よ 全てがこの世にあるわけはなく 全てがこの手に掴めるわけではない 君よ見よ いかに己が道が険しい

【詩】悲しみ彷徨う魂

君よ見よ あの頂に登って行こうとする人たちを 長い列を作って そこに立つ先駆者の賛美を必要としている 馬鹿げたことじゃないか 君よ見よ 理由もなく他人を訝しがる人たちを 血の道を歩くことは そこまで偉いことなのか 君よ見よ 黄昏なんて大嫌いだと言う人たちを 日がな悲しみに暮れ 嘆き苦しみ抜いて いったい最後には何が残ると言うのか 君よ見よ この哀れな裸体を みそぼらしい頭脳を 私は言う 自分に言う なんて情けない人間なんだと この悲しげな肉体を 無数の百合の中に埋めて