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【散文詩】私は私らしく

夢子よ、夢子、いつもそばに居ておくれ。
年老いた祖母が私に最後、語った言葉だった。
あれから随分経って、私は15歳になった。
今、熱烈な恋をしている。
真斗くんはクールで私の気持ちを知ってか知らずか
いつも冷たく接してくる。
部活にも身が入らない。勉強も然り。
私は恋愛に身を投じている。
このまま歳をとって大学生になっても
真斗くんのことを好きな自信はあった。

卒業式になって真斗くんにボタンをもらって
いよいよ告白した。
結果、玉砕。
私は地元の大学に何とか入学できたけど
真斗くんはここから何キロも離れた東京に行く。
もうダメからもしれない。
私の青春は終わったと思った。

でも大学に入ってまた恋をした。
今度は先輩だった。
いつまでもいつまでもこの性質は変わらないのかな。
いつも愛してる。誰かを。

そう思うと私の名前は祖母がつけたものだった。
夢をいつまでも忘れない子供になってほしいという願いがこもっていたらしい。
私は祖母の最後の言葉には意味があったのかもと思い始めていた。
「そばに居て」は、いつまでもそのままで、
そういう意味だったのかもと。

あの子はあんなことばかりして勉強もろくにしない。
ちゃんとした大人にならない。
あの子は恋愛脳だからね。
そんなセリフたまに言ってくる人がいる。
そんなのどうでもいい。
今私は私らしく生きる。
私は私なんだ。
後悔しないように生きたい。
愛に生きたい。精一杯に突き進みたい。
その先にはきっと何かある。
何か発見がある。

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