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20220731 7月の読書課題・・・ユンガー「労働者」

7月の読書会での課題は、この本でした。

10日は参院選ーーこの古典(保守革命の名著)にしました
欧米で今も多くの知性に読み継がれていながら日本ではスルーの書ーーファイト
今月のテーマは、日本的社畜からの脱出。あるいは、働き方改革は自分流にしよう、です。
誰がやっても所詮はスピードと正確さの差でしかないロボット労働ーー近い未来には個別のスキルとアイデアで勝負する新しい形態に必ず取って代わる、とアーネスト・ユンガーは75年ほど前に断じました。ユンガーの書物は、戦争、民族、国家、生物学、昆虫学、形態学、思想、哲学ーー。著作集は簡単に手に入ります(英米独仏伊などで)。かなり長生きしたのだなあ^_^ 102歳の最期までボケていませんでした。
◉ユンガーは、例えばこんな言葉を遺しています。
「下等な知性が技術的諸原理に従って決定を下すことになれば、闘いの終結は単に見かけだけのものとなろう。そのとき戦争は内戦、純然たる殺戮へと姿を変える。専制と共に不安がつのり、闇がさらに拡大していっそう短時日のうちに、新たな戦線、新たな紛争が発生してしまう」などなど。
◉ロシアとウクライナとアメリカに捧げたい。対するに独仏伊などは、ユンガー流の終結を目指しています。米ウ英は下等な知性に成り下がってしまいました。キッシンジャーとサッチャーとエリザベスは立派ーーこれは確固たる私見。
◉ドイツ語かフランス語が第2外国語だった方は比較的多いのでは。日本語版かドイツ語版をお選びください。古典でこれだけ「今」と「働き方の変容」を網羅した書は他に見当たりませんでした。
◉今年前半には、日本人だけでもプロの名文家たち15人が亡くなりました、私も親交のあった方々だけで、です。その中からとも思いましたが、大胆に「今」に向けた古典にいたしました。1人でも多くの方がパラパラとでもめくってくださることを願ってやみません。参議院議員選挙に行かなくても、この本は読んでくださいwww.
◉10日に圧勝する「保守革命」を深く理解できます。共感とか批評ではなくね^_^
テキストは、
アーネスト・ユンガー(1895-1989)『労働者ーー支配と形態 (叢書◆エクリチュールの冒険、邦訳は月曜社)
Ernst Jiinger( 1895-1998)“Der Arbeiter. Herrschaft und Gestalt"(働くひとーーその支配と形態(の現在と未来))

ユンガー、知りませんでした。
こうした本に出会えるだけでも、すごく有り難い事です。
とても難しくて、手に入れてから何度も何度も読み直しました。
いつも、読んでいてわからなくなるとこちらに書くことをためらってしまうことになるのですが、訳がわからないなりにアウトプットする事にしました。

さて、この本の中で、今のウクライナとロシアの問題について関連しているなぁと感じたところは、251ページ「軍事エネルギーの解放、すなわち生死を賭した戦いにおけるそれの使用を、社会契約によって差し止めることが出来ると考えることは、ロマン主義的な考え方である。そのような考え方の前提は、人間が善であるという観念にある。しかし人間は善であるのでなく、善であると同時に悪である。」
ロマン主義的な考え方と捉えるならば、話し合いで戦争は終わらないわけで、おそらくどちらかがある程度の破壊を経て、おそらくはウクライナが破壊されることでしか戦争は終結しないのではないかというところにつながるのだろうなと感じました。

また、少し戻って207ページ
「それゆえ戦争の最も重要な結果の一つは、進歩の価値観に全く太刀打ちできなかったこの指導層が姿を消したこと、これである。」
戦争が起こっているということは、そこに価値観の戦いが起こっているということになる訳で、確かに日本でも第二次大戦後に戦前の指導層は表に現れなくなったということもあり、ゼレンスキーがいなくなることでしか、この戦争の終結はないのだろうなぁと考えるのは、早合点しているのかな?と思ったり。

類型人についての記述で295ページから
「類型人はそれゆえ創造的な業績の申し分のない担い手となりうる。この業績の全く別種の地位は、それが個人的な価値基準と何ら関わりを持たない、という点にある。」
「つまり、今日、保守的論法では実族共同体や仕事共同体や文化共同体として、社会的論法では共同経営体として論じられているような共同体を、価値論的な視点から個々人に対置することが、ここで問題となっているわけではないのである。本質的な対置は、”個々人か共同体か”ではなく、”類型人か個人か”である。」
類型人として生きていくというのが、いわゆる日本的社畜というのにピッタリはまるのかと。


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