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企業サステナビリティデューデリジェンス指令(CSDDD)とは何か?

EUでは企業に人権や環境に関するデューデリジェンスを義務付けるルールの検討が進んでいます。本日は、企業のバリューチェーン全体にデューデリジェンスを義務付ける「企業サステナビリティデューデリジェンス指令(CSDDD、Corporate Sustainability Due Diligence Directive)」についてお話したいと思います。


どのようなルールなのか?

CSDDDは、人権や環境に関するリスクを特定して是正するデューデリジェンスを企業に義務付ける規則です。本ルールは、方針の策定や負の影響の特定・防止・軽減、苦情処理メカニズムの構築など、デューデリジェンスのプロセスを詳細に規定していることが特徴です。違反企業に対しては、罰金を含む効果的な制裁を科すことを予定しています。

対象企業は?

EU域内とEU域外の企業で異なる基準があります。

EU域内企業:(1)従業員500人超、売上高1億5000万ユーロ超/(2)従業員250人超、売上高4000万ユーロ超かつその50%以上が高リスク業種(繊維、農林水産、鉱物など)

EU域外企業:(1)域内の売上高1億5000万ユーロ超/(2)域内の売上高4000万ユーロ超かつその50%以上が高リスク業種(繊維、農林水産、鉱物など)

いつから適用開始されるのか?

2024年1月に発効し、2026年1月から適用される可能性があります。

日本企業への影響は?

日本企業への影響としては、本規則がEU域内企業だけでなく、EU域内の売上高が一定規模以上の域外企業も適用対象になることに注意が必要です。また、本規則の適用対象外であった場合でも、適用対象企業のバリューチェーン(供給網)に組み込まれている日本企業も対応に追われることが想定されます。

企業には求められる対応は?

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的な原則に従って、バリューチェーン全体のデューデリジェンスを実施することが求められます。問題の発生を未然に防ぐことは、問題が起きてしまってから対象するよりもはるかに効果的であることを認識し、リスク管理を行うことが重要です。

人権への対応が遅れれば、NGOや国際機関から批判され、不買運動や訴訟に発展する恐れもあります。日本企業は不慣れかもしれませんが、定期的にNGOや国際機関と対話することも必要です。対応を誤った場合、NGOや国際機関からの評価が下がり、最終的に財務リスクとなって跳ね返ってくる可能性があるからです。

参考文献


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