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もう終わりにしよう。※ネタバレあり

あらすじ:恋人ジェイクとの関係を終わらせようと考えながらも、彼の実家を訪れることになった女性。ジェイクの両親から歓迎される彼女だったが、異様なほどテンションの高い母親と認知症気味の父親の奇妙な振る舞いに戸惑いを隠しきれない

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チャーリー・カウフマンが監督、脚本を兼任。カウフマン作品の『マルコヴィッチの穴』『脳内ニューヨーク』は脳の中で繰り広げられる物語であり、今作品も同様である。

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今作品は、用務員の男性の脳の中で繰り広げられる物語。主人公の女性やその恋人ジェイクは彼の分身であり、それがわかるシーンが幾つかある

⭐主人公が恋人の実家で「誰かに覗かれている」と騒ぐシーン その覗く目は皺だらけの高齢の男性の目であった(おそらく用務員)

⭐主人公の趣味が油絵を描くこと。スマホで保存してある自分の絵を恋人の父に見せるシーン。恋人のジェイクの趣味も油絵を描くことであり、彼が描いた絵が映ったものはスマホにある主人公の絵と同じ

⭐用務員が掃除する学校の廊下で男女が軽やかにバレエを踊るシーンがある。彼は空想することによって癒しを得ているのだが、そのバレエを踊る男女の容姿が主人公と恋人ジェイクに意図的に似せている

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今作品で起こる全ての出来事は用務員の脳の中の物語であり、この空想は用務員の男性の不幸な人生(ジェイクの両親は、用務員の両親が投影されている)の中の癒しの時間なのである。

ラストは雪に覆われた用務員の乗用車が映されてエンドクレジットが流れる。用務員の直接的な死の描写はないが、おそらく乗用車の中で自死していると思われる。死を目前にして彼の空想は繰り広げられるのだが、その空想は彼にとって幸福の極みである。この彼の幸福なひとときを皆さんの目で確認していただきたい

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