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この世界の片隅に

あらすじ:昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。それでもなお、前を向いて日々の暮らしを営み続けるすずだったが……。

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今作品は、能年怜奈から「のん」に改名後の復帰作ということで注目していた。そして映画の内容も非常に良く、鑑賞後の映画の余韻がしばらく続いた作品は久しぶり。今作品は銃撃戦の演出はあまりない。戦時中に日常を歩む市民を淡々と描いている。主人公であるすずは、ほのぼのとした女性でいつも笑顔が絶えない。しかし、日本の戦禍が広がるにつれ、すずの笑顔が徐々に無くなってゆく。そして、終戦を迎えた8月15日、玉音放送を聴いたすずの泣き叫ぶ姿は今までの戦争映画でみない演出で大変心を揺さぶられた。主題歌である「悲しくてやりきれない」が物語の根幹を成していて、心に沁みる。今作品は、間違いなく後世に残る名作である。

又、約30分の新規シーンが加わり、"さらにいくつもの人生"が描かれたもう1つの物語が12月20日(金)から順次全国上映される。

片渕監督は公開にあたり、「戦争しおってもセミは鳴く。ちょうちょも飛ぶ。そして、人には人生がある。それが戦争中であっても。明るくぼーっとした人のように見えるすずさんが自分以外の「世界の片隅」と巡り合うとき、すずさんの中にはどんな変化が生まれるのでしょうか。すずさんの中にあったほんとうのものを見つけてください。」とコメントを残している。


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