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沖縄スパイ戦史

解説:第2次世界大戦末期、連合国軍の上陸により、1945年6月に降伏するまでの3カ月の間に民間人を含む24万人余りが命を落とした沖縄戦。しかし、降伏後も沖縄北部ではゲリラ戦、スパイ戦が繰り広げられていた。その裏には、1944年夏に沖縄の地に渡り、身分を隠して沖縄の各地に潜伏していた工作員養成機関「陸軍中野学校」出身者42人の存在があった。

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「護郷隊」「陸軍中野学校」「軍命による強制移住とマラリア地獄」「監視し合う市民とスパイ虐殺」など衝撃的な証言が繰り広げられ大変驚かされた。今作品が他の戦争ドキュメンタリーと一線を画すのは、戦時中の日本軍の人間性が欠如した行いは過去のことではなく、現在の自衛隊法からでも十分に起こり得る問題だということを示し、気付かせてくれる。そして、証言者が語る歴史に向き合う製作陣たちの想いに深く感銘を受ける。

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沖縄戦の緻密な取材で本作を作り上げたのは、二人のジャーナリスト三上智恵さんと大矢英代さん。エンドクレジットで証言者の女性の手を握り、ちゃんと伝えるから安心してと語り掛ける真摯な姿に観る側の気持ちが引き締まる想いにさせられる傑作ドキュメンタリーである。


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