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怪物

あらすじ:シングルマザーの早織は、息子の湊と大きな湖のある町に暮らしている。湊は同級生の依里と仲が良く、子供たちは自然の中で穏やかな日常を過ごしていたが、ある日学校で喧嘩が起きる。双方の言い分は食い違い、大きな騒動に発展していく。

注)ネタバレがありますのでご了承ください。

この映画は、

⭐カンヌの独立賞であるクィアパルムを受賞した作品であること(クィアパルムは、2010年に設立されたLGBTやクィアを題材とした作品に贈られる賞である)。

を知った上で鑑賞してほしい。それを踏まえて鑑賞すると、物語の深淵を見ることができる。

この物語は同じ時間軸を母親、教師、子どもの視点の3部構成で描かれている。ジグソーパズルのピースが物語が進むにつれてはまってゆく。全てのピースがはまり、現れた情景の美しさに驚かされ、心が震えた。

坂元裕二さんは記者会見で「きっとどこかにいるであろう孤独に過ごしている誰か・・・特別な誰かを指しているのではなく、また、多くのたくさんの人に届ける気持ちではなく、誰かこの映画を受け止めてくれる、そんな人がいると信じて、その人のことを常に頭に思い描きながら(脚本を)書いていました」と述べている。

クィアパルム部門の審査委員長であるジョン・キャメロン・ミッチェルは今作品が満場一致で選ばれたことを明かし、「世間の期待に適合できない2人の少年が織りなす、この美しく構成された物語は、クィアの人々、なじむことができない人々、あるいは世界に拒まれているすべての人々に力強い慰めを与え、そしてこの映画は命を救うことになるでしょう」と絶賛している。

間違いなく、坂元裕二さんの想いは届いている。


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