見出し画像

コンクールが導いた不思議な巡り合わせ



3~5月にかけて開催されたシンフォニー音楽劇『蜜蜂と遠雷~ひかりを聴け~』の舞台に出演し、まだまだ余韻に浸っています。お芝居ではコンクールの審査員であり、コンクールの出場者マサル・カルロス・レヴィアナトールの先生であるナサニエル・シルヴァーバーグ役でした。他の記事でも書きましたが、実は私も、蜜蜂と遠雷の主人公たちのように10代後半には、コンクールに頻繁に参加していました。

私が出場した最大のコンクール

一番の思い出は、全日本学生音楽コンクール。高校時代の恩師でもある浦田玲子先生(音楽の道へ進む決心)も学生の頃出場なさったそうで、高校3年生の時には、このコンクールに出場することを目標にしていました。

地区予選、地区本選、全国大会とあり、まずは熊本県から最も近い福岡の地区予選から出場しました。地区予選を通過、続く福岡の地区本選では1位となり、全国大会への切符を手に入れました。そして、その年は全国大会の地もなんと福岡で、会場はアクロス福岡シンフォニーホールでした。

いよいよ全国大会

直前まで浦田先生に歌の指導をしていただき、工藤宏子先生(人生の歯車が動き始めた瞬間)の伴奏で臨んだ全国大会本番。出場者は自分を含め4名、なんと全員ソプラノ(私はソプラニスタですが)でした。しかも課題曲の選曲は全員「Caro mio ben」。音楽の教科書にも掲載されている大変有名なイタリア歌曲で、声楽家のみならず、聴いたことや歌ったことがある方も多いのではないでしょうか。自由曲も内2人は同じ曲。私の自由曲、モーツァルト作曲の「Parto, ma tu ben mio」(オペラ『皇帝ティートの慈悲』より)は誰とも重ならず、ちょっとホッとしました。

画像1



いざ本番が始まると、さすが全国大会。今までのコンクールでは聴いたことのないようなレベルの高さで、演奏の技術以上に華やスター性までもまとっているようなコンテスタントばかりでした。結果は、1位が唯一の高校2年生。驚異のブレスの長さとスケールの大きい音楽性で、ある人は「化け物だ」と評価するほど。こういう人たちと渡り合えただけでもとてもいい経験になりました。1位以外の順位結果は発表されませんでしたが、1位を逃した残りの3名は高校3年生で、後に同時に藝大へ入学し、切磋琢磨する仲間となりました。

九州交響楽団と共演

コンクールはこれで終わりましたが、福岡大会の上位入賞者には、九州交響楽団と共演できるという嬉しい副賞がありました。大学1年の夏休みに、熊本県天草市と、宮崎県日向市で九州交響楽団の皆さんとコンサートに出演、指揮は藝大の教授だった故佐藤功太郎先生でした。大学入学した直後に、コンサートで歌う予定の曲を、佐藤先生に学内で直接レッスンをしていただき、本番に臨みました。

『蜜蜂と遠雷』で約20年ぶりに九響の皆さんと共演したエピソードは『蜜蜂と遠雷~ひかりを聴け~』大千穐楽を終えました。に記していますので、そちらも是非読んでみてください。

私の歌人生は紆余曲折ありましたが、コンクールをテーマにした舞台で福岡に戻ってこられたことは、本当に不思議な縁を感じます。舞台が終わったあと、久しぶりに当時コンクールで歌った曲や、九州交響楽団の皆さんと共演した曲を歌ってみたくなりました。初心にかえり、あらためて歌への情熱が燃えあがってきたのかもしれません(笑)。

※写真はコンクールではなく文化祭です(笑)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?