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『蜜蜂と遠雷~ひかりを聴け~』 大千穐楽を終えました。


神奈川からスタートしたシンフォニー音楽劇『蜜蜂と遠雷~ひかりを聴け~』が、5月3日に福岡の博多座で大千穐楽を迎えました。博多座を外から見たことはありましたが、まさか自分がこの舞台に立てるとは、改めて表の提灯を感慨深く眺めました。そして私は、福岡でこの公演に出演することに特別な思いがありました。

コンクールに出場していました。

実は『蜜蜂と遠雷』の主人公たちのように、私も十代後半に数々コンクールに出場していました(ピアノではなく歌です!)。全日本学生音楽コンクールでは、地区予選、地区本選、全国大会とあり、私が出場した年は、全国大会も福岡で開催されました。私は熊本出身なので、地区の大会も「福岡大会」で出場し1位を獲得。全国大会にも出場しました。全国大会では1位は取れませんでしたが、福岡はコンクールで競い合った地として私の歴史に刻まれています。その福岡で、コンクールをテーマにした舞台に出演することになり、縁を感じずにはいられませんでした。

九州交響楽団との再会

『蜜蜂と遠雷』の福岡公演では九州交響楽団が博多座初登場ということも大きな話題となりました。私も初登場仲間ですが(笑)、実は九州交響楽団との共演は二度目になります。前述したコンクールでは、福岡大会で好成績を上げると、九州交響楽団の皆さんと共演できる、という嬉しい副賞がありました。私は福岡大会で1位となり、その権利を得て、共演させていただいたのです。あれから約20年。もしかしたら、あの時に共演した方がいらっしゃるかもしれない……と期待していました。

オーケストラの皆さんに事務連絡等されていた方が、すれ違う時にちらっと私を見てくださったような気がして、声をかけてみました。
「ナサニエル役の木村優一です。実は、以前一度九響さんと共演させていただいたことがあり……」
「やっぱり、どこかでお顔を!」
なんと覚えてくださったようです!

お話を伺うと、その方も実は昔オーケストラの一員で、おそらく私が歌った時には演奏されていたとのこと。当時指揮をしてくだった故佐藤功太郎先生のお話もしました。
「今はありませんが、いい企画でしたね。佐藤功太郎先生の棒(指揮)がきれいでね、僕は好きでした」と。

お話をしながら、私も当時の様子をまざまざと思い出しました。当時からのメンバーはもう二、三人しか残っていないそうですが、本当にうれしい再会でした。その後、苦しい時期もありましたが、九響と共演した、ということは私の誇りにもなり、励みにもなっていました。そして、熊本から駆けつけて観劇に来てくれた両親も、おそらく当時の姿と重ねて観ていたと思います。

ありがとうございました。

この大変な状況下で、ご来場いただいた皆様本当にありがとうございました。そして、一人も欠けることなく大千穐楽を迎えることができたことは、共演者の皆様、スタッフの皆様、関係者の皆様のご尽力のおかげです。感謝しかありません。

再演できたらいいな~と願っています。

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