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十七話 コンビニ店員

流石に夜風に、身体が晒されて少し肌寒くなってきた。
歩いて行くと、コンビニが見えてきた。
ちょうどいい、入るとしよう。
温かい缶コーヒーが欲しいのです…。
街のホットステーションとか言うものね。

「いらっしゃいませー」
自動ドアが開き、店内に入ると店員さんの明るい挨拶が響き渡った。
こんな時間なのに、かわいい女の子の店員さんだ。
いいのかな?店員さん一人だし。
至って普通のコンビニだが、深夜に入ると印象が結構異なる。
初めて深夜のコンビニに入ったが、新鮮だった。
私は店の奥のドリンク売り場に向かった。

ドリンク売り場のガラスドアを開け、缶コーヒーを取り出す。
コーヒーを選んだのは、保健室でよくコーヒーを飲んでいたからだ。
家出したので、もう学校にも保健室にも戻れない。
少し寂寥感に苛まされたが、グッと堪えた。
少し寒いので、ホットにした。

レジに行って、缶コーヒーを差し出す。
「いらっしゃいませ!」
また店員さんが元気よく挨拶をする。
ショートカットで、目が大きいかわいい女の子だ。
おでこが出ちゃうぐらいの髪の短さだけれど…。
そこがまたかわいい…。
その髪を金髪までいかない茶色に染めている。
その子の目がもっと大きく見開いていく。
私の姿を凝視している。
いくら私が、美少女だからってそんなに見つめなくても。
なぜか、すごいマジマジと私のことを見つめるなぁ…。

コンビニの店員さんといつまでも見つめあっても致し方ない。
私は微糖の缶コーヒーをレジに差し出した…。
店員さんはそれをスキャンして会計してくれる。
よかった。最近店員さんいるのにセルフレジのところ多いのよね。
どうも私、それが苦手で…。それで店員さん私を見つめてるのかと思った。
なんで店員いるのに、客の方がレジ操作するのぉ!?
私いつもわからなくて、数秒ポカンとしちゃうのよね…。
もちろん、コンビニの店員さんが悪いわけじゃなくて…。
いつのまにかこんなシステムをしれっと導入したコンビニが…。
とか、考えていたらいつのまにか会計は済んでいて…。
私はお釣りをもらって缶コーヒーを手にしていた…。

ここのコンビニは飲食スペースがあったので、そこを使わせてもらう。
よかった。ここで始発電車の時間まで暇を潰そう…。
私は家出して東京に向かおうとしているのだ…。
家出決行を姉に勘づかれて、危うく阻止されそうになったが。
どうにか家から脱出…。危険な脱出劇だった。
ふぅ、私はもうやりきった感満載で缶コーヒーを飲み始めた。
真夜中のコンビニで一人飲む缶コーヒーは格別よね…。
私は旧式のスマホを見ながら、微糖の缶コーヒーを味わうのであった。

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