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十三話 紐

外着を着たまま、ベッドに横になっている私。
その姿をまじまじと見る姉。
「貴方、まさか良からぬことを企んでいるのですの!?」
まずい私が家出するのバレたか!?
「精神病院行きが嫌で、家を抜けだそうとしていたんですの!?」
そうです。その通りでございます…。

「全く貴方という人は…。そこまでして嫌なんですの?」
怒るより呆れて姉は、私を問いただした。
「嫌だよ!お願いだからお姉ちゃん、見逃してよ!」
私は姉に懇願した。
隣町の精神病院は、精神異常者が多数入院している曰く付きの病院なのだ。
「見逃すわけにはいきません!貴方の奇行近所迷惑なんですのよ!」
姉は私の奇行を並び立てた。
学校から帰ると自室に引きこもり、暗黒ポエムの唱和や呪文の練習をしていること。
朝は朝で、毎晩の悪夢?に魘され、奇声を上げること。
あれは奇声というか、夢で魘されたときの声なんですが…。
あの声、近所にも聞こえていたの!?
恥ずかしすぎて死にたい。この世のから消えてしまいたい。
限りなく透明に近い蒼になって…。

「また私が怒っている時に貴方は上の空になって…」
姉は肩をぷるぷると震わせ、怒っている。
朝もこんなことがあったような。既視感を感じる。
「貴方は放って置くと何を仕出かすかわかりませんわ!」
「だから貴方を私の目の届くところに置いとくしかありませんわ!」
止め処なく言い放つ姉。
「だから貴方を施設に入れて、私が毎日面会に行きますわ!」
めちゃくちゃ顔を近づけて力説する姉。
お姉ちゃん、私の施設入りに反対していたのでは?
「本当は毎日貴方を、側で面倒見なくてはいけないのですが…」
「両親の考えを覆すことが叶わないのなら致し方ありません…」

「貴方をまともな人間に戻すのが、私の義務なのですわ!!」
姉はガバッと起き上がり、腰に手を置き仁王立ちになって言った。
「まずはお仕置きですわ!貴方の性根を叩きなおしますわ!」
ひぃぃぃ!?またお仕置き!?
またお尻叩きの刑!?まだ朝の痛さが残ってるんですけど!?
「貴方は家出しようとしている。それを防ぐためのお仕置きを用意しましたわ!」
姉はそう言うと、また私にガバッと覆い被さりどこからともなく出した紐を見せた。
そして、瞬く間に私を、その紐で縛りあげた!
こ、この縛り方は!?どこかで見たことある亀甲縛り!?
こんな縛り方、姉はどこで学んだんだ!?
私は逃れようと、必死にもがいた。
「ふふふ、無駄ですわよ!もがけばもがくほど紐が食い込みますわよ!」
ものすごい笑みを浮かべ、私のもがく姿を見る姉。
このままでは、家出できないじゃない〜!?
どうする私!?

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