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【ネタバレ】シン・エヴァンゲリオン劇場版のラストに関する考察



このnoteでは、シン・エヴァンゲリオン劇場版の最終盤からラストにかけての考察を行います。この考察には重要なネタバレが含まれておりますので、まだ映画をご覧になっていない方は読まないことをおすすめします。映画をご覧になってから読んでいただけると幸いです。



また、私の個人的な解釈を基に考察しておりますので、私と違う解釈をお持ちの方や、私の解釈を受け入れられない方など、ATフィールドが展開されてしまう場合は、コメント欄にてあなた様の解釈を聞かせて頂けるとこれまた幸いです。これより下は、映画の内容に触れていきますので、まだ映画をご覧になっていない方はご注意ください。







【ネタバレ】



シン・エヴァンゲリオン劇場版の最終盤、シンジ君が一人で砂浜にいるシーンで作画が徐々に絵コンテの様になっていき、白紙になる直前、マリが迎えに来ることで作画が元に戻り、シンジ君は無事マイナス宇宙を抜け出す。そして駅のシーンに切り替わり、レイとカヲル、シンジとマリがそれぞれ大人になった姿で存在し、シンジとマリは電車に乗らず駅を飛び出し、最後、実写の映像に切り替わる。という演出でエヴァンゲリオンの幕は閉じた。



この演出を見て私は、エヴァンゲリオンとは、創作物が創造主の想像を超えていく姿を描いた物語なのではないかと感じた。



振り返ってみると、シンジ君たちのいる空間が撮影スタジオの様な場所になったり、ゲームのコントローラーが出てきたりと、シンジ君があたかも自分たちが創作物であることを認識しているかの様な演出が多数登場する。エヴァンゲリオンの世界が創作物であるという視点で見てみると、ゼーレのシナリオとは、製作陣が作り出した脚本と捉えることが出来るし、綾波がシンジに好意を抱くように設定されているという部分については、創造主によるキャラクター設定と捉えれば合点がいく。



シンジ君がガイウスの槍を使って、エヴァの無い世界に書き換えるというのは、汎用人型決戦兵器としてのエヴァンゲリオンの無い世界という意味ではなく、作品としてのエヴァンゲリオンの無い世界、つまり、創作物としての自分たちを求められることのない世界という意味なのだと思う。



エヴァンゲリオンの世界で言う神とは庵野監督のことで、ゼーレがその他の製作陣、ゲンドウは創造主と創作物の間に立つ管理者と言ったところだろう。そのゲンドウが愛故に管理者という立場を放棄し、創造主の想像を超えていくことで、今回のような結末に向けてエヴァンゲリオンという作品が動き出したのだ。



ラストの駅のシーンで、シンジ君の声が変わったり、レイがカヲルと一緒にいたり、シンジとマリが電車に乗らず自分たちの足で走り出したり、実写映像に変わったり、そういった演出は、キャラクターたちが製作陣の想像の枠に収まらずに動き出したことを表しているのだと思う。アスカとケンスケが結ばれたことについては、視聴者の想像の枠にすら収まらないことを意味しているのだろう。



新劇場版の序破Q、そしてシン・エヴァンゲリオン劇場版は、アニメ版や旧劇場版に比べ、とてもわかり易く作られていたと思う。このわかり易く作られているという部分も、今回の作品には重要な要素なのだと私は考えた。アニメ版や旧劇場版はその難解さ故に、多くの視聴者が考察し様々な解釈が生まれ、ファン同士での議論が活発だった。それこそ、エヴァの事を考えている時間も作品の一部とさえ思えた。しかし、シン・エヴァンゲリオン劇場版でシンジ君はガイウスの槍を使い、創作物としての自分たちを求められることのない世界に世界を書き換えた。考察する余地すら与えない程にわかり易く、皆が一つの答えに行き着くエヴァ、それが庵野監督にとってのガイウスの槍だったのだ。庵野監督はその槍で、私たちの頭の中のエヴァも終わらせた。



シン・エヴァンゲリオン劇場版を最後にシンジやレイ、その他のキャラクターたちは庵野監督、ひいては製作陣の元を離れていった。作中で「さよなら」という言葉は、また会うためのおまじないとして登場する。しかし、シン・エヴァンゲリオン劇場版のポスターには「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」と書いてある。あのメッセージは、どのキャラクターの言葉でもなく、庵野監督の言葉なのだろう。庵野監督がエヴァンゲリオンに本当の意味での別れを告げるために、「さらば」という言葉を使ったのだとしたら、私たちが再びエヴァンゲリオンに出会うことは無いだろう。しかし、私たちは今、シンジ君たちが望んだ世界を生きているのだ。私はエヴァンゲリオンのファンとして、エヴァンゲリオンの続きを生きていこうと思う。

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