メタ認知

#1 勉強する自分を認知する。

受験をゴールにしない勉強法を考えよう、のマインド編その1。
今回は「メタ認知」について。
メタ認知を意識すると勉強の伸びしろが拡大すんぞ!ってお話。
なぜ学校はこういうことを教えてくれないのか…。

メタ認知とは?

 今回の題材は「メタ認知」
 まずは、世間一般で用いられているメタ認知の意味を確認してみましょう。Wikipediaによると、

メタ認知は「客観的な自己」「もうひとりの自分」などと形容されるように、現在進行中の自分の思考や行動そのものを対象化して認識することにより、自分自身の認知行動を把握することができる能力である。

例えば、私の目の前にAという物体があったとします。普通ならば、私は「目の前にAがある」ということを認知します。そうではなく、「"目の前にAがある"ということを認知している私がいる」ということを認知するのが、メタ認知です。
 自分が何かを認知したことを認知することで俯瞰的に物事を見たり考えたりすることができ、上位の次元で思考ができるようになります。このことから、教育の現場でもメタ認知というワードが出ることもあります。

 ただし、メタ認知は無意識にできるものではありません。意識して、練習して、はじめて会得できます。なのでまずはメタ認知という概念を知ることをスタート地点としましょう。あなたは今、そのスタート地点に立ちました!

メタ認知の具体例

 上記の説明でも「メタ認知」がどういうものなのかピンと来ない方は、以下でいくつか具体例を見ていきましょう。

 個人的に、一番分かりやすい例は明晰夢だと思います。
 明晰夢とは、眠って夢を見ている本人が「これは夢だ」と分かった上で見る夢のことです。夢を夢だと理解しているので夢の中で自由に動けることはもちろん、夢のシナリオまでも自由に操作することができます。
 これはまさにメタ認知をよく表した現象です。ふつう、夢を見ている本人は一人称視点で体験している夢を「夢だ」とは認知せず、目が覚めてはじめて「あれは夢だったのか」と気づくはずです。明晰夢を見る人は”現実世界で眠っている自分が夢を見ている”という構図を認知できているので、一人称視点で体験している夢でさえも「これは夢だ」と理解し操作することができます。
 (ちなみに筆者は眠るとき、たいてい明晰夢を見ています!笑)

 別の例では感情のコントロール、特に怒りのコントロールが分かりやすいです。
 人ごみで肩がぶつかったとかなんとか下らない理由でケチをつけて、大人気なく怒りを露わにしている大人を見たことはありませんか(東京だとしょっちゅう見かける気がします)。傍から見れば「何を下らないことにキレているんだ」「周囲の迷惑だからやめてほしい」と冷静に考えることができますが、怒っている当の本人にはそれが不可能です。なぜならメタ認知の能力が欠如しているからです。
 メタ認知ができない人は「肩がぶつかった」「痛い」「むかつく」といった一人称の感情に支配されるため、怒りを制御することはできません。一方メタ認知できる人であれば、無意味に怒鳴り散らしたりはしません。しっかりとメタ認知していれば「肩がぶつかった」「痛い」「むかつく」以外に、「私は今むかついている」「怒鳴ろうとしている自分がいる」「周りには人が沢山いる」など俯瞰的・客観的に状況を認知できます。すると一人称の感情に支配されている人よりも遥かに冷静な対応ができます。

 以上のように、「”自分が対面したもの”だけ認知するのではなく、”自分があるものに対面していること”を含めて高次元から認知する」ことが「メタ認知」であります。

勉強におけるメタ認知

 さて、ここまででメタ認知とはどんなものかがなんとなく分かってもらえたかと思います。ここからが本題で、では勉強においてメタ認知はどのような役割を果たすかについて、私の見解を説明していきます。

 メタ認知において重要なのは俯瞰的な視点、もっと具体的に言うと登場人物の把握です。上記の例でもそうでしたが、メタ認知ができない人は「相手しか見えていない」、メタ認知ができている人は「自分、相手、その他の第三者が見えている」のです。このことは、そのまま勉強のスタンスに関わってきます。

 ここでは数学の問題を解くことを例にとりましょう。

 まずは、メタ認知ができない人の勉強スタンスを見てみます。
 解くべき問題に直面したとき、まず思うことは「この問題を解こう」、次に思うことは「この問題の解き方を知ってるかな」、最後には「この問題の解き方知ってた」or「この問題の解き方知らなかった」。問題とその答えにしか注目がいかないのが特徴です。
 Twitterで私に質問をしてくる方の中にも、このようなスタンスで問題に向き合っている人は沢山いました。はっきり言って、伸びしろが限られます。なぜならば、知っているか知らないかの世界だけで戦うことになるので、どうしても知識の暗記に走ってしまいます。人間の記憶キャパシティには限界がありますから、その限界が伸びしろの限界になります。

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