鬼滅映画がジブリ映画と同じカテゴリーだと思った話をさせてください
鬼滅の映画を観ました。最高でした。
感想と思ったことを書きたいと思います。
※ネタバレあり ※追記あり
まず私は原作は未読です。TVシリーズで全話観て、映画になることを知り、映画を待って原作を読もうと思っていました。
でも映画を観た今はアニメでストーリーを追うことを心に誓いました。
原作を知らずにアニメを観る面白さを思い出してしまったからです。
前段はここまでにして感想を書きます。
まずは表題の件。
なぜ鬼滅映画がジブリ映画と同じカテゴリだと感じたか。
それは、映像のシーンそのものが観ている瞬間ごとに気持ちよく、繰り返し観たくなる映画だと感じたから。
ジブリ映画を何度も繰り返し観たくなるのはなぜか。子どもの頃から何度も金曜ロードショーで観ているにも関わらず、夜放映していたら思わず見入ってしまう。先の展開、セリフもすべて知っているのに何度観ても苦痛に感じることはない。
それはおそらく、映画のシーンそのものの魅力が途切れないからだと思う。
いわゆる目が気持ちいい光景がずっと続く。
例えば『魔女の宅急便』でキキがふわりと箒で空を飛ぶ描写、『もののけ姫』でシシ神の透明な水を汲むアシタカの腕や、『千と千尋の神隠し』で千尋がハクとともに空から落ちてから舞い上がるシーン。
物語の面白さもさることながら、アニメーションの動きそのものが観ていて気持ちよく、何度も繰り返し観たくなる。
アニメーションの動きを観ること自体で感情を刺激され、その瞬間まるで快楽物質が出ているように引き込まれ、それを求めてまた観たくなる。
鬼滅の映画もまさにそれだった。
シーンを挙げるときりがないが、鬼滅の映画(TVシリーズも)は作りが本当に素晴らしく、映画冒頭の森の描写から観ていて気持ちがよかった。
始まった瞬間、え!このクオリティでずっと続くんですか!?すごすぎでは…と期待が膨らむ。ペンで描いたような強弱のある美しいキャラクターの輪郭線や、視点が縦横無尽に切り替わる激しい戦闘シーン、炭治郎の夢では雪の描写がこの上なく美しく、物悲しい雰囲気を感じさせる。シーンを追うごとにその瞬間瞬間で感情が動かされ、終わった瞬間同じ場面を観たくなり、この世界にずっといたいと感じる。
動きそのものだけでもまた人を映画館に呼び寄せる。
この映画は体験なんだ。鬼滅の映画を観るという状態が独立して名詞になりそうなくらい、個性的で特別な体験だった。
すごい映画だと体感しました。近いうちにまた行きます。
以下は個人的な映画の感想。
■セリフがすごい
これに尽きる。セリフがとても力強くて心に残る。煉獄さんの母の「強く生まれた者は使命がある」というセリフ。このシーンほんとによかった。
煉獄さんのお母さんとてもかっこよくて美しい人だった。
鬼滅のセリフはメッセージをはっきり言ってくれるのがとても気持ちいい。
最後のシーンで炭治郎が逃げる上弦の鬼に「逃げるな!お前は負けたんだ!」というシーン。泣けましたよね。あの一連のセリフで煉獄さんも嬉しかっただろうし、何より映画館の全観客が救われたはず…
あの言葉がなかったらもう私はどうしていいかわかりません。
そのあと、慟哭する炭治郎に伊之助が活を入れるところもほんとあれは私のほうがハッとさせられてまた伊之助に救われました。いい仲間だな…思い出したら涙出てきた…
■音楽がすごい
かっこよすぎ。効果音もかっこよすぎ。無音のシーンの間が完璧すぎ。ほんとしびれる。最高のアニメーションと最高の音効果でもうずっと気持ちよかったです。ほんとに素晴らしい体験だった。
■無意識について
無意識を効果的に使う作品は面白いって法則があると個人的に思ってるんですけど(ぱっと思いつくのだと『ペルソナ5』『レベルE』『インサイド・ヘッド』とか)、鬼滅も最高でしたよね。
人って意識できてることよりはるかに意識していないことのほうが多くて、例えば体の機能を維持することは無意識だし、癖や普段の動きでも無意識にしていることはたくさんある。
すべての人に関係していて、日頃から無意識に興味を持っているひとは、無意識が話題に出るとお!どんなふうに描かれてるんだろうとワクワクするし、無意識についてあまり考えない人でも自分に関係してるから必ず興味が出る。作家ごとに無意識について描写やアプローチが変わってくるので本当に面白い。
善逸の無意識が闇というのも面白かった。それぞれのキャラクターで個性があって、それをじっくり考えるのも楽しい。
■炭治郎の魅力
炭治郎のやさしさに救われました。つよく、やさしいということは普遍の魅力なんだと気付かされました。
やさしさを感じさせる描写も素晴らしかったですよね。夢の中で、精神の核を探していた青年を、探していたからそこに案内するとか、前述した炭治郎の上弦の鬼へのセリフとか。
炭治郎の優しさはそれこそ本人が気づいていない無意識からくるものなのかな。炭治郎に幸あれ。
■夢からの覚醒シーン
自らの首を切ることで夢から目覚めるという描写はヒヤッとするけどそこがまた面白いし、ゾクッとする。
後の戦闘シーンで眠らされる度に首を切ることを繰り返すところもハラハラするし、夢と現実の境がわからなくなるところもめちゃくちゃおもしろいし最高にかっこいい場面だった。こんなに緊張することってない。危ない!って観客全員が思って伊之助の助けに心からホッとしたと思う。
■背景描写
時々写真かと思うような美しい描写が、でもアニメーションに違和感なく、むしろ画面をリッチに見せている。すごすぎ。ほんとすごい。
■善逸
雷の型めっちゃかっこいい。もっと観たい。一瞬だったからそこ観るためにまた映画行きたい。
■煉獄さん
もうどうすればいいの。どうなるんだろうと思ってずっと観てたんですけど、まさかあんな展開になるとは。
物凄い男気を見せてそのまま行ってしまったじゃん…この映画の前にもう一本煉獄さんの映画観たかった。
だって登場してすぐじゃない??つらい…早いよ…鬼め…いきなり来てなんだよ!!!!こっちはずっと大変だったんだよ!!!!空気読めよ!!!!なに連続で来てんだよ!!!!!ふざけんな!!!!
でもこれが上弦の鬼か…鬼の残酷さと無情さを見せつけられた。今後の展開不安…
兄貴分になったばっかりじゃない…早いよ…
と思ったけど何事にも代えがたいものを3人に授けて行ったよね。
戦闘シーンかっこよすぎた。
ちょっともうほんと消化しきれない。ほんとに…こんだけショックだったの久しぶりすぎてどうやって立ち直っていいかわからない。
逆にいうとこの短さでこれだけのインパクトを残すってすごすぎですよね。
最後の笑顔よ…もう…涙涙涙涙
■エンドクレジット
歌詞が…もう…歌詞よ…歌詞すごい…イラストもすごい…
途中エンドロールが途切れて真っ暗な画面になるじゃないですか、そこから一気に音楽が始まって原作者の名前がバーンと流れてきてまた盛り上がるじゃないですか、あそこの演出すごすぎですよね。かっこよすぎ。
■全部映画館で観たい
今後の鬼滅アニメ全部映画館で観たいんですけど…やっぱり映画館での体験って別格だし、映画館で観るべき映画でした。これは通うわ。
今後も全部映画館で観たい。チケット買うから…それくらいすごい映画だった。
■家族
鬼を倒すのが目的だけど、家族がテーマの物語ですよね。やっぱり肉親の物語って誰にでも関係あるし、面白いんだな…
■夢の中
炭治郎の夢が最初幸せだったのに、だんだん残酷なシーンを見せられる描写たまらなく嫌で、でもものすごく印象に残る場面でした。そうか、夢だから、何でも見せられるんだとシーンを観ながら思って、今後の恐ろしさの予感もあって、目が離せなくなる。嫌なのに観ていて気持ちいいし高揚感がある。嫌悪感はあまり感じないし、何度も観たくなる魅力を持っている。すごい場面だと思いました。
■衣装がすてき
みんな衣装素敵ですよね。下弦の鬼の燕尾服も素敵だった。大正時代っていうのが西洋文化を徐々に取り入れていっている時代で雰囲気も素敵だし、最高ですよね。それにしても昔って実際に佩刀してたなんて怖すぎでは…?
日本刀ってめっちゃ切れるよね。今考えると危なすぎ…廃刀令があったとはいえすごい時代だ。
■無意識下で敵を攻撃する煉獄さん
すごいかっこいい描写だった。煉獄さんの強さを見せつけられた。
目覚めたあとの炭治郎たちへの指示の速さも戦う様も柱の実力ってこんなにすごいんだ!と認識させられた。こんなに強いのに…ここで強ければ強いほど、最後のシーンがつらく悔しく忘れられないものになっている…
■老いと強さについて
少年漫画ではしばし強さの追求と老いについてのテーマが描かれている。
肉体は必ず衰える。それに対する答えや描かれ方は作品の数だけある。
今回鬼は煉獄に老いから逃れ、永遠に強さへの追求を求める。
強さを極める者にとって、そしてその鬼の言を聞かされる私達観客にとってそれは魅力的に響く。でも煉獄はそれを最後まで否定し、鬼を拒否する。
その姿に、そのセリフに、私達は感動し、勇気づけられ、心の底から彼を応援する。
■似てるけど違うもの
ハリウッドで脚本家として活躍するブレイク・スナイダー著『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』に、こんな場面が登場する。
映画会社での会議中、ある重役が発言する。
「同じものだけど…違った奴がほしいんだ!」
鬼滅がなぜこんなに人気があり、ヒットしているかわからないという人は多分たくさんいると思う。少なくとも私は観るまでそう感じていた。
少年漫画の典型のようなやさしく強い主人公が巨大な敵を倒しに行く話は他にもたくさんある。何が他と違うのだろうか。
観た今ならわかる。鬼滅は「同じものだけど、違うもの」だった。
それは、随所で確信できる。漫画をたくさん読んできた人ほど感じるかもしれない。セリフの妙、必殺技、敵の描写と攻撃、主人公と仲間、師と呼べる人物、修行と成長、、、様々なシーンでハッとさせられる。
似てるように見えて、全く違うものだった。
違いの幅が凄まじく大きかった。
だからこれだけ、読むものの心を掴んで離さないのだろう。
改めて、すごい作品だと感じた。
この先の物語を知らないのことがとても幸せです。
(追記)
■瞳の描写
鬼滅キャラの瞳は他の一般的な瞳と違い特徴がある。特に瞳孔が描かれず、白抜きで描かれていたり、瞳だけですぐに鬼滅のキャラだとわかる。
普段見慣れないから少しの違和感が、印象深く、魅力になり心に残る。
■声優の凄さ
ほんとこれは言わずもがなだと思うんですが、全ての声優さんが素晴らしかったですよね。本当に、それぞれのキャラ本人が喋っているのを見ている気分でした。一言、一言が感情を揺さぶってくる。彼らの声を聴きたいからまた映画館に行くんだろうな…
■名前について
キャラクターの名前がほんとにかっこいいですよね。炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助、煉獄、、、もうこの名前以外考えられないくらい名前とキャラクターが一体化していて、かっこいいし、すごいことだと思う。
これってキャラクターがほんとに生きてるってことだと思う。
名前を聴くだけ、呼ぶだけで高揚感がある。名前に立体感があり実体を持っている。ちょっとどう説明したらいいのかわからないけど、そんな感じ。
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勢いに任せて書いたのでひとまず終わります。
また追記するかもしれません。
▼こちらの解説すごく面白かったです。
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