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「社会人として」よりも大切なこと 〜フリーランスを目指すきっかけになったこと〜

「会社でなにを実現したいですか?」
「社会人として将来どうなりたいですか?」

採用担当者に質問されて、そんなの自分でも分からないのに、と思いながらも用意しておいた自分の言葉でなんとか返答する毎日。最初はフリーランスという選択肢よりも、いまの職場から離れて新しい職場へ、と考えて転職活動をしていた。

転職活動を始めていろんなことが頭をよぎって毎日自信がなくなっていくのが自分でもよく分かった。社会人まだ5年目でこんなに弱くて大丈夫かと不安で心細い気持ちになっていった記憶がある。
だけど、逆にあの担当者は、社会人として将来どうなりたいのだろうか。
そもそも「社会人として」って何なのか、「社会人としてどうなりたいか」の問い自体に違和感を覚えたのが一つのターニングポイントになった。

大学卒業後、約5年間提供してきた時間と労働対価としてお給料をもらってきた。そして会社の雇用保険や健康保険で健康を守ってもらえる。会社の福利厚生で暮らしを守ってもらえる。会社が税の管理もしてくれるので確定申告の必要もない。入社後は基本的に会社にはまるっとお世話をしてもらえてとても便利な反面、振り返ると会社へは大学卒業後の人生の時間の大半を捧げてきた。
日本は特に、時間労働制の企業がほとんどで、人生の時間を提供すればその対価としてお金がもらえる。
もちろん仕組みとしては会社の取引先やお客様にサービスなり商品を提供してそのお金が会社に入って、最終的に会社員のお給料となるわけだけども、創業者でもない限り、仕事の内容は大抵は替えが効く内容であって、だからこそ会社内での部署異動もあるわけだ。
逆説的に言えば、わたしがいなくても会社はまわる。それでも自分の仕事には責任を持って取り組む必要はあるし、わたしもそうしてきた。
ただ、わたしの場合は自分の仕事に見いだせる「やりたいこと」と「やりたくないこと」の割合が後者が大きく、辛いことやしんどいことに耐える時間に長い間目を瞑ってきた。「仕事だから」と自分に言い聞かせて、自分のことを全く大切にしてあげていなかった。
時代に沿ぐわない会社の習性や時間や場所に拘束される会議、残業が偉いとされる価値観や部下の業務を把握していない上層部、会社というものによくある様々な事柄がわたしには合わなかった。

「社会人として」はひとまず置いておいて、昔から「個人としてやりたいこと」が尽きることはなかった。それでもそれはあくまでも個人としての範疇で、独りよがりで独善的なことが多いようにも感じられたし、企業に雇ってもらって働くことが普通のことだと思っていてそれ以外の選択肢を考えたことはあまりなかった。生活する上でお金を稼ぎたかったし、私生活と仕事は分けて考えるしかないとも思っていた。
だけど、そんなことは単なる言い訳だったかもしれない。人目を気にして、正社員でちゃんとした職についていることを守りたかったし、仕事が全て嫌なわけではないし、もっと辛い状況の人もいるんだから、と言い訳ばかり。やりたいことに挑戦して失敗したくない気持ちもあったと思う。

それでも今のままでは、明日もしも死んでしまったらきっと後悔の多い人生になるような気がする。
自分の人生は自分自身でしか幸せにすることができないし、自分のやりたいことは自分自身でしか叶えてあげることはできない。
自分のやりたいことで生きていくことを諦めてしまって、死ぬときに後悔するのも自分自身だ。
自分がやりたいことがあったら自分で実現するしかない。やりたくないこととは自分で距離を置くしかない。

わたしの場合はやりたいことはたくさんあるし、それよりもまず、やりたくないことから距離を置きたいと思った。
限られた人生の中で、やりたくないことに費やす時間なんてどこにもないから。やりたいことに挑戦してみて、現実的にそれでお金を稼げなかったとしても、挑戦した事実やそれまでの時間はけっしてムダなものにはならない。
だけど、やりたくないこと、嫌なことを我慢して続ける意味は結局どこにもない。その考えに対して「労働は大変なものなんだから苦労して当たり前、俺も苦労してここまできた」みたいな苦労自慢で説き伏せてくる人がいたけど、はたして本当にそうだろうか。
苦労している途中で事故にあって亡くなってしまったら何の意味もないし、人生を幸せに生きる上で、苦労して当たり前なことなんて絶対ない。

やりたいことを実現する過程で大変なことはたくさんあるし苦手なことや初めてのことも自分の責任で取り組まなくてはならないけど、自分の幸せのために、周りを好きなことで固めることは何も悪いことじゃない。少なくともわたしは「苦労して当たり前」が前提の人生を生きたくない。
嫌だったら逃げ出しても良い、辛いことから距離を置いてもいい。
ただ、そうやって自分のためにいつでも最善の選択をしてあげられる自分でいれば良いんだと思う。

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