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この世の終わりのジンジャーコーディアルじゃなくて、リキュールの作り方

前回までのあらすじ。
 コーディアルのカス、コーディカスのおじさんは、コスパと量産を考えた結果、ジンジャーコーディアルにたどり着く。終わってるおじさんは色々考えた結果、低価格で一番脳に来るコーディアルを考えたのだった。
 そして、後々考えてみたら、それはコーディアルというよりリキュールであった。

 今年の夏はラニーニャだかなんだかとナントカが一緒に来るらしいから、ものすごく暑いらしい。
 このジンジャーコーディアル(リキュール)は代謝機能アップが見込めるショウガオールたっぷりだが、健康は知らん。なにが健康だ。

 ショウガの辛さを最大限に活かして頭をおかしくすることが目的である。
 夏の暑さを乗り切る前に人間としてオシマイにしてしまうことで暑さを回避する画期的なシロモノである。
 こっちが先におかしくなっちまえば、こっちのもんよ、ガハハ!


この世の終わりのジンジャーコーディアル(リキュール)の作り方

 こういうものを飲み始めたら、もうこの世の終わりです。
 これショットでかっくらって何もかも忘れろ。
 今回のレシピでは手軽にショウガの辛さを引き出すレシピにしていますので基本的には想像以上に辛くなります。ここに蒸留酒を入れることでえぐりこむようなパンチ力になり、頭が地獄と化します。

材料(目分量)
ショウガ  500gぐらい
砂糖  500gぐらい
紅茶  大匙二杯ぐらい
ウイスキー  100~200mlぐらい(省略可)
あと、好きなスパイスかハーブ

今回使ったモノども。出会え、出会えい。

 ショウガ:砂糖=1:1(重量比)で調整。量は割と適当でどうにかなります。少量作る場合は1:1でどうにかすればいいと思います。

 今回は、ショウガは新ショウガ。砂糖は氷砂糖ですが、何でもいいです。
新ショウガだと水分が出やすくフレッシュ、ひねショウガだと辛みが強く濃厚です。
 砂糖は漬け込む際に粉末のタイプだと溶けきる前に沈殿するのでつけるときに瓶を振る必要があるなどコツがいります。底にたまるとスプーンなどで掘り返さないとほぼ溶けないので、特にこだわりがなければ氷砂糖の方が楽です。
 黒糖やカソナードなどの黒砂糖は風味が良いですが、白砂糖の方が透き通った味わいになります。ショウガの辛みが直接的に殴り掛かってくるので白砂糖がおすすめです。

 紅茶は風味付け程度ならティースプーンで調節。ガッツリ舌に残したいときは大匙で。紅茶の種類はなんでもいいですが、ダージリンなど高いものを入れてもあまり意味はありません。繊細な香りは大体消し飛びます。最終的に冷やして飲む人はセイロンやディンブラ、キャンディあたりがおすすめです。
 わからなかったら、日東紅茶の赤いやつか緑のやつでいいです。最終的にスーパーで売ってるちょっといいやつが万能なのです。

 ウイスキーのところは蒸留酒なら何でもいいです。ブランデーとか。ホワイトリカーでも。省略可。(今思ったら酒入れたらコーディアルじゃなくてリキュールじゃねえか、タイトル変えとこ)
 アルコール度数20度以下の酒(ビールや日本酒などの醸造酒に多い)で漬け込むのは酒税法違反なので注意。
 また、使用する蒸留酒は一種類である必要があります。混ぜたら酒税法違反です。

 ハーブやスパイスは好きなものを入れてください。
定番:シナモンスティック、カルダモン、クローブなど
リーフ系:ローリエ、ローズマリーなど
辛いスパイス系:粒コショウ、レッドペッパー、山椒など。
 初めての人はシナモンスティック入れとけばいいと思います。(シナモンパウダーでもいいですが、スティックの方が取り出しやすいので楽)
 上級者はここにセンブリ0.5~1g、鷹の爪5、6本、山椒適量を入れます。頭が割れます。




①ショウガを切る。

 ショウガは洗って、1mmから3mmの薄い輪切りにします。細かかったらなんでもいいですが、あまり細かすぎると後で取り出すときに困るので、これぐらいがいいです。
 塊のショウガを洗うときは、枝分かれしている部分を割りながら洗ってください。泥が挟まっている場合があります。

新ショウガを夏っぽく洗います。
このショウガの場合は写真左端の枝分かれのところの泥がありました。
薄めの輪切り。




②ショウガを蒸す。

 ショウガを加熱します。鍋にショウガを入れて、焦げ付き防止の水を入れます。蓋をして、10分加熱します。ここでジンゲロールをショウガロールに変換。こうすることで辛みとキレが増します。成功すると頭を掻きむしりたくなるほど辛くなります。

 蒸し器がある人は蒸し器を用いてもいいです。スパイスを煮出す場合はショウガを煮てもいいですが、水分と糖分の量の調節がめんどくさいのでお勧めしません。成分も希釈されてしまうので味も弱くなりがちです。ショウガがむせると少し透明感がでます。

焦げ付き防止の水を入れます。画像だとちょっと焦げたので少なかったぐらい。
蓋して10分蒸します。

 
 この工程は効率よくショウガを辛く煮出すための工程なので、煮出したい場合はここに水やスパイスを加えて沸騰しない低温(70℃~80℃ぐらい)で煮出します。
 火をつけて消す→保温→火をつけて消す→保温の繰り返しで煮出すと光熱費は浮きます。沸騰させると辛み成分が分解されるので注意。




③保存瓶に砂糖、ショウガ、紅茶を交互に詰める。

 消毒した保存瓶に砂糖とショウガ、紅茶を交互に詰めます。紅茶は浮くので一番下に入れておくと良いです。今回使用した紅茶は神戸紅茶のオリエンタルアフタヌーン(キームン・ダージリンなど)。

 ウイスキーなど蒸留酒を入れる場合は、詰め終わった後に隙間に注ぎましょう。今回使用したのは無駄にバランタイン12年ですが、何でもいいです。下戸過ぎて全然減らないので入れました。
 (今知ったけど、バランタイン12年、今年5月で終売なの……?)

紅茶は先に詰めておきます。
水分に浸かっていないと成分が出ません。
量が少ない場合、蒸らしてから入れてもいいと思う。
全部入れた直後がこんな感じ。
水分がある部分はウイスキーで、ショウガからはまだ水分はでていません。



 瓶の種類によっては加熱殺菌ができないものがあります。
 うっかり熱湯で消毒してしまった場合破裂する恐れなどがあるので、メーカーの説明書などをよく見てください。ソーダガラスと書かれているものは耐熱ではないものが多いので、注意してください。この場合はアルコール度数が高い蒸留酒やホワイトリカー(または食酢)をまんべんなく塗布することで消毒してください。
 今回の場合はウイスキーを使うので、ウイスキーでアルコール消毒しました。




④砂糖が溶けるまで振ったり上下にぐるぐるする。

 瓶が密閉できていることを確認したら、砂糖が溶けるまで、時折振ったり上下にぐるぐるしてください。瓶を逆さにしてもよいものは定期的にひっくり返して放置を繰り返すだけでもよいでしょう。
 この際、保存瓶を投げないようにしてください。(投げそうだったら、定期的に逆さにするだけでいいです)

 熱いまま入れると水滴がつきます。水滴がついたまま放置すると、その部分だけ糖度が下がるのでカビが生えます。注意してください。この場合、密閉した瓶の内部全体に液が回るようにぐるぐると回すのがコツです。

 粗熱が取れたら、冷蔵庫に入れます。糖度は高いのでカビが繁殖する可能性は低めですが、基本的に冬以外にこの量の常温保存はあまりお勧めしません。(ワシは基本的に冷蔵保存)

数時間後にはショウガから水分が出てこうなります。
これでも溶けきれてないので、定期的にぐるぐるします。




⑤このまま一週間程度置き、熟成する。

 味が落ち着いていないので、一週間放置します。いわゆる熟成です。
 まだショウガから水分が抜けきっていないため、液には糖分が濃い場所と薄い場所があります。定期的に振ったり逆さにしたりして混和させましょう。
 今回は紅茶を浸漬させているので、紅茶の成分がじっくり出るまで放置します。瓶詰めの際、蒸らして入れた場合、渋みが強調される場合があるので、注意してください。(大概ショウガの辛みが勝つとは思いますが)




飲み方、使い方、保存。

 アルコールが入っているので、注意してください。
 ②の工程でショウガロールの抽出に成功しすぎると、地獄になります。最高!
 イカレタおじさんはショットで飲むが、基本は割って飲む。
 水と炭酸水で割ってもいいですが、基本的にお茶か牛乳かで割ります。
 おすすめはキンキンに冷えた水出し紅茶で割る。
 水と炭酸で割るときはレモンジュースかライムジュースを入れて酸味を加えたほうが飲みやすいです。
 
 ジュースで割るのもいい。ピーチジンジャーおすすめ。

 密閉、冷蔵保存、2週間から1月までで飲み終えてください。保管状態がまずいと1週間ぐらいでダメになるケースがありますので、注意してください。
 この方法だと殺菌しきれていないので常温保存はできません。というより、そもそも開けるたびに外気に触れるので冷蔵でも数か月は持ちません。

 表面に白いふわふわや泡のようなものが見られたら、菌やカビ、酵母が発生しているかもしれません。良い菌かどうかは素人目には判断できないので、捨ててしまいましょう。
 粉のスパイスを入れていない場合は透き通っているはずなので、白く濁っている場合も危険サインです。腐敗している可能性があります。

 砂糖を減らした場合、傷むのが早くなります。冷蔵一週間以内に飲んでください。また、砂糖を減らして長期保存したい場合は冷凍保存してください。100均のアイスバックなどを使えば楽ですよ。


今回の反省。

 「いひひひ~! きつ過ぎて脳に来るよねぇ~!」

 今回は成功だった。たまに温度管理ミスって失敗する。
 ウイスキーというアルコール分を入れた分、ガツンとショウガの味が来て、神経が発火する感覚がする。新ショウガのフレッシュさは冷たい牛乳によく合う。さわやかさは半端ない。
 ただ、新ショウガを使ったせいか、するどさは感じる一方で、舌にじとっと絡みつくようなヘビーな感じはないのが残念。やはり次は古ショウガの方がするべきであるな。ジンジャーミルクにして飲むと、優しすぎる味に。(いや、十分辛いが)

 今回は期待値薄めのキームンとダージリン入りの紅茶を使ったが、色付け以上の意味合いはなかった。(普通に飲むほうがいい)

 アイスティー向けのしっかりしたボディ感のある紅茶の方がいい。なければ、安いアールグレイをぎっしり漬け込むか、蒸らして漬け込むとかありかもしれない。
 予算うんぬんよりも紅茶の茶葉の細かさの問題かもしれないので、CTC製法って書いてるやつがいいかもしれない。

 ウイスキーを入れた分、たぶんオレンジピールなどが合うんだろうなと思う。あと、今回はモルトとグレーンのブレンデッドを使ったが、個性があるウイスキーを使ったほうがいい気がする。半端な個性のものだとショウガが押し勝つので、安めのウイスキーかホワイトリカーで十分だとおもう。

 次はショウガとセロリを漬けたい。
 が、ふるさと納税であれが届いちゃったからなあ。あれがね……。

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