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無名人インタビュー:精神病院入退院を繰返し投身自殺未遂で生死を彷徨ったけれど生きることを諦めなかった元風俗嬢でカウンセラーの人

今年4月よりインタビュアーとして参加させていただいておりました、『無名人インタビュー』ですが、今回でワタクシの投稿はラストになります。短い間でしたが、お読みいただき誠にありがとうございました。

…ということで…

今週はオーラスに相応しい、不幸のロイヤル・ストレート・フラッシュをキメまくりからの華麗なる復活を遂げた人のお話です。とにかく四の五の言わずに読め!

本日ご参加いただいたのは、ジュンコさんです!
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▼イントロ

そんり:今日はどうぞお願いします。

ジュンコ:よろしくお願いします。

そんり:今日はどういったインタビューにしていきましょう。

ジュンコ:もうお任せで。お題がないと喋れないチキンなんで(笑)

そんり:じゃあ…今のご職業は。

ジュンコ:今の職業は、心理カウンセラーとソープランドの講習員兼スタッフをやってます。

そんり:忙しいですか。

ジュンコ:もう、忙しすぎて。忙しいのは良いことなんで、最初はウホウホ言ってたんですけど、最近体調を崩しがちになったんで、ちょっとペース落とさなんかなっていうのと、ソープの講習員はそろそろ辞めなアカンなと思ってたんですよ。だけどね、次がいないから辞められないんで。

そんり:仕事の割合はどんなもんですか?

ジュンコ:拘束時間にもよるんですけど、講習が入っていれば、だいたい12~16時まで。もしその後にカウンセリング予約が入ってる日やったら、カウンセリングを1~2本。土日祝はカウンセリングのみなんで、多い時で一日3~4本くらいですね。

そんり:割合的にカウンセリングの方が多いくらい?

ジュンコ:カウンセリングの方は、それ以外の事務作業もあるんで、それ考えると、カウンセリング業の方が時間は使ってますね。

そんり:なるほど。講習員の方は、そろそろ辞めなきゃいけないって仰ってましたけど、お仕事としてはどちらの方が好きですか?好きというか、充実感。

ジュンコ:どっちが…全然仕事の種類は違いますけど、今パッと浮かんだのはカウンセリングですね。

▼二足のわらじ

ジュンコ:ソープランドに面接来るような子って、時々、メンタルが病んでる子もいて、救いのないような事を言う子もおるんですよ。「じゃあ服脱いで、今から講習するよ」って服脱いだらリストカット跡がメチャあったりして、「よう面接通したな…」って思うんですけど。彼女らも、ソープランドで働くのがイヤなんでしょうね。まあ、当たり前っちゃ当たり前なんですけどね。でも私はただの講習員なんで、どんな状況であっても、とにかくデビューできるように一人前に仕上げることしか出来ないんですよね。

そんり:うんうん。

ジュンコ:で、私は割と、人からの感情みたいなのをもらうタイプなんですよ。そういう子の入店が続いたりすると、やっぱね、めちゃくちゃ疲れたりゲンナリする時もあるんですよ。前はそれでもね、それなりにやりがいもあったし、可能なら両立するのが夢でしたけど。なんか心のどっかでは、ここまできたら、自分の店持ってみたいなと思った時期もありましたし。

そんり:風俗店を経営するのって、色々大変なんじゃないの?

ジュンコ:大変ですよ、絶対。経営者は絶対に無理なんで、雇われ社長みたいなね。あまり大きい声では言えないですけど、まあまあややこしいんでね。エエとこ取りのプロデューサーみたいな形で、携わって行けたら良いなって思ったことはあったんですけど。でも、カウンセリング業がそれなりに波に乗ってきて、二足の草鞋はもう無理なのかなってなってもうて。多分、キャパオーバーなんでしょうね。

そんり:はいはい。そもそもソープランドの講習員になったキッカケは何ですか。

ジュンコ:あれ何やったっけなあ…えっと途中から現役プレイヤーやりながら、講習員もやってました。で、講習員歴でいうと10年になるんかな。いやもっとやわ…20代でプレイヤー兼講習員になったから、15年くらいやったかな。

そんり:そんな長いことやってるんですね。

ジュンコ:長いんですね…多分ね(笑)

そんり:講習員って、お店の直属なんですか、それとも派遣的な感じなんですか。

ジュンコ:基本的に、派遣的なんはタブーなんです。その店舗に勤めてた人が店専属の講習員になるっていうのが、普通なんですよ。特にプレイヤーやったら、他店を跨ぐって絶対にタブーなんですね。社外秘みたいなのもあるんで。

そんり:なるほど。

ジュンコ:けど、私はそれを許してもらってたんですよ。それもあって、店舗の直属ではあるんやけど、A店ではプレイヤー兼講習員、B店から講習の依頼が来たら行ったり、C店にはプレイヤーで行ったりとか。

そんり:講習員って結構いるんですか?

ジュンコ:いるはいるんですけど、絶対数が少ないんですね。早く辞められるなら、さっさと辞めたいって人が殆どなワケですよ。一番稼げる20代前半で稼いで、引退しますって言ってる子にね「今後も業界に携わってください」って言わなかんワケやから。だから少ないですよね。

そんり:じゃあ、圧倒的にコーチの数が足りてないんですね。

ジュンコ:そうですね。

そんり:講習してて、一番大変だなって感じるのはどういったところですか。

ジュンコ:大変なことって、実はそんなに無いんですよ。テクニックを教えるだけなんで。お店に来る男性からしてみたら、やることは一つなんで。ただ、コミュニケーションが取れないくらいメンタル病んでる子だとだと、ちょっと厳しいですね。なので、そういう子相手の講習が続いた日は、「ああ…しんど!」って時もあります。

そんり:はいはい。

ジュンコ:そんな中でも、普通に仕事してる普通の女の子みたいな、まともな子。学校の奨学金を早く返したいんです、とかね。そういう普通の子って言ったら…“普通”ってあんま言うたらアカンけどね。

そんり:うんうん、一般的なと言うか…こう想像しやすい動機がある人と言うか…いや最近は言葉の選び方が本当に難しいですね。

ジュンコ:いやいや、私も全然“普通とちゃう”からって言いたいけど…そんなの慰めにもならんか(笑)

そんり:(笑)

ジュンコ:うん。そういうコミュニケーションが取りやすい子とかね、何か目的や理由があって入ってくる子もいるんで。まだ人生捨ててないなって感じられる子も、いたりして。そういう時は、講習してても楽しいですし。

そんり:うんうん。

ジュンコ:やっぱ皆どっかでね、風俗業界に足を突っ込むことに対して、すごい罪悪感を持ってるんで。「頑張っててスゴイですね!」なんて褒められるような業界じゃないのも、事実ですから。そんな大手を振って入ってくる子なんて、ほぼほぼいないんですよね。みんなどこかゲンナリしてて、「こんなのダメですよね…」って。いつも「ダメじゃないよ、アナタ達が世の男性の癒しになってくださいね」言うんですけど。って、それしか言われへんのですけど。

そんり:そうしか言いようがないですよね。うん。

ジュンコ:私も綺麗事を言う気もないしね。ただ、本人達が社会との狭間で悩む気持ちも、十分理解出来るし。私みたいに、四十路も超えて開き直ってたら別ですけど。彼女らはまだ、社会の目の中で生きてるんでね。だから、お節介やけどずっと思ってたんですよ。若すぎる子は雇わんのがエエんちゃう?って。

▼華麗なる闇落ち

そんり:そもそも風俗業界に入ったのは、お幾つの時だったんですか。

ジュンコ:20歳くらいだったと思います、社会人になってからなんで。

そんり:風俗業界に足を踏み入れようと思った理由は?

ジュンコ:えっと…業界に入る前は、制作会社でADをやってたんですけど。その時に鬱病になってしもて、同時にギャンブル依存症にもなって。そうこうしてる内にサラ金にも手を出しちゃって、300万くらい借金しちゃったんですよ。かつその時、3~4年付き合ってた人に振られたんですよ。もう人生ドン底や…ってなってたんで、今思えばほぼヤケなんですよ。その時は、借金返済の為にやったって事にしてましたけど。

そんり:ああ、そうか。300万円って働いて返せない額じゃないですもんね。

ジュンコ:そうそう。地道に返せば、返せる金額やったと思うんですよ。ただその時の私って、夜はまともに寝られへん、朝起きてもパチンコしか行かれへんみたいな、完全ダメ子やったんで。昼は働かれへんって思い込んでたんですよ。

そんり:もう絵に描いたような…。

ジュンコ:そう、転落。男にフラれるわ、借金は増えるわ、賭け事にハマるわ、鬱病にもなるわで、もう私の人生どうでもええわ!って。そこで完全にヤケんなって、友達をシラミ潰しに「誰か夜の仕事のスカウトやっとる人おらん?」って聞いて、友達の彼氏のお知り合いがスカウトもやってるって人やったから、店を紹介してもらって、すぐに働き出しました。

そんり:いやあ…スゴイですよね。

ジュンコ:そのまんまなんですよ、ドラマみたいな。

そんり:『ナニワ金融道』みたい。

ジュンコ:ほんま絵に描いたような、なんも特筆すべき点はない(笑)

そんり:(笑)

ジュンコ:そんなこんなでお店入って働いたら、そこが先ず警察入ってアウトで。あ、ちゃうわ!店長が金持って逃げたんやわ!で、次の店で警察入ったんやわ。で、その時に「自分が入った店、全部アカンなるから嫌やわ」ってなって、デリヘルに行って。今度、そこのデリヘルでは店長とオーナーが揉めて解散みたいななって、私…取り憑かれてんちゃうん?って思って。

そんり:はいはい。

ジュンコ:それまでは、どこかソープランドって避けてたんですけど、もう働く店が全部が潰れるし、もうソープしかないよなって、最終的に行ったのがソープ嬢としてのスタートですかね。それが、23歳くらいやったかな。

そんり:じゃあその20歳から三年の間に、セックスワークと言われる殆どの業種は経験したってことですか。

ジュンコ:いや、ソープ嬢として働いてる間に、何度か粗相(そそう)してるんで。

そんり:どういう粗相ですか?

ジュンコ:私、マンションから飛び降り自殺してるんです(笑)

そんり:はあ!?何階から!?

ジュンコ:5階ですね。キーッとなって飛び降りたんですけど。当時は体がちゃんと動かなかったんで、マットプレイが出来なかったんですよ。

そんり:いやいや、それ以前!ダメだ笑えてきた…そこまで振り切ってたら壮絶なブラック・コメディですよ。

ジュンコ:分かりますよ、喋ってる本人が笑ろてもうてるから(笑)

そんり:ちょっと前にインタビューさせていただいた、元ホームレスの方も喋りながら笑ってて…もう本当に…。

ジュンコ:その気持ち、どちらも分かりますよ。自分で飛び降りといて言うのもヘンなんですけど、今考えたらそんな怖いこと出来ないですもん(笑)

そんり:飛び降りた時は、躁鬱病かなんかだったんですか?

ジュンコ:そうですね、躁転しとったって言う人もいますし。その日、当時の彼氏の浮気疑惑で大喧嘩して、彼が怒って家を出てったんですよ。で、その瞬間、急に“死のう”って思い立って、おもむろにベランダまでスタスタと歩いてって、柵に手を掛けたところまでは覚えてます。なんかああいう時の人って、何かのリミッターを超えるじゃないですか。あれはほんま病気やなって、自分でも思いますもん。

そんり:たしかに…普通の精神状態じゃ、下を見ただけで怖いですもんね。

ジュンコ:それから、一週間意識不明の重体で。

そんり:どの程度の重体だったんですか。

ジュンコ:えっと、右腕骨折と肺パンクと、骨盤骨折と右坐骨神経損傷だったので、歩けないんですよね。基本的に。

そんり:首と腰の神経やらなくて、本当に良かったですね。

ジュンコ:そうですね。全身とか下半身不随になってたかもしれない。

そんり:うんうん。

ジュンコ:飛び降りた日の夜、当然私は意識がないんですけど、その意識のない中で夢を見てて。その夢の中で私は“木”になってて、ゴミ収集車にグチャグチャにされてるっていう。夢の中ですっと「痛い!」ってずっと叫んでたんですよね。で、目ぇ覚めた時の第一声が、「うわ…生きてる…死ねんかったわ」って言ったの覚えてますわ。

そんり:で、自殺が失敗しちゃって…リハビリ中は当然仕事が出来ないと。

ジュンコ:そう、でもリハビリ終わってすぐ、こんな私でも働かしてくれる所がないやろか?って、探そうとするんですよ。

そんり:探す先は風俗業界ですか?

ジュンコ:はい。でも車椅子ガラガラしてる子を雇ってくれる店なんかないんでね、だけど昼の仕事も無理なんですよ。精神病んでて精神病院に入院してる、過去もあるし。で、ダメ元でスカウトに相談して「マットがない仕事なら出来るから、どこか紹介してくれ」と。

そんり:はいはい。

ジュンコ:なんで、その時期ですね。デリヘルもやりましたし、飛田でも働きましたし、SMクラブでも働きましたし。一通りやったかな。

そんり:で、それで20歳から今までで…。

ジュンコ:ざっと2万人くらい相手してますかね。でもこれ、業界を知ってる人が聞いたら、アイツ売れへんかったんやなって分かると思いますよ(笑)

そんり:太客がつかんかったってこと?

ジュンコ:そう、太客つかへんかってんなって。「そうやねん、私ネッチリした客は好きになられへんのよ、サッパリしたお客さんばっかりやってん」って、言ってるんですけど(笑)

そんり:で、どれくらいの期間、入院されてたんですか。

ジュンコ:半年くらい入院してましたね。でも飛び降り実績があるから、それからちょっとでも不安定になると、すぐ精神病院に入院させれてましたね。

そんり:え?精神病院は幾つから入退院してたんですか。

ジュンコ:えっとね…一番最初の入院が、23,4歳の時で。で、2~3ヶ月で出ては入ってを繰り返してましたね、当時。

そんり:もともと精神科に通われてたってことですか。

ジュンコ:そうです。20歳前後から不眠と鬱の症状の他に、希死念慮も強かったので。あと自傷癖が酷すぎて、コントロール出来ない時があって。

そんり:リストカットとかですか。

ジュンコ:そうそう。で、自傷で済んでる時はまだ良いんですけど、それがヒドくなると、他者に向かってちゃうんですよね。

そんり:ああ、うんうん。ああいうのって、自分に向いてるのか他人に向いてるのかってだけですもんね。

ジュンコ:そうなんです。そういうのがあって、入院したのが最初なんですけど、今のところ人生の最後の入院が…いつや?4~5年前かな。

そんり:結構、最近なんですね。

ジュンコ:あの…その時も、痴情の縺れでノイローゼになっちゃいまして(笑)

そんり:病院行くと、即入院になっちゃうんですか。

ジュンコ:私の場合、過去の症状がかなりの重症だっんで、先生がすぐ入院さそうとしますね(笑)20歳超えてから、精神病院に入院しまくってた人生だったんで。

そんり:計何回くらい入院したんですか。

ジュンコ:数えられんですね。でも、全く入院しない時はしないんですよ、仕事を真面目にやってる時って、不思議なもんで入院しない。

そんり:ここ数年は安定してるんですか。

ジュンコ:もうもう、健康すぎて心が。もう入院はないやろなって、なんでか分かんないんですけど、ヘンな自信あるんですよ。

そんり:メンヘラ・精神科入退院・自傷癖・自殺未遂・賭博・風俗業界20年で、寝た男が2万人って…。

ジュンコ:そうそう!キレイに全部揃った!みたいな(笑)

そんり:ロイヤル・ストレート・フラッシュみたいな。

ジュンコ:でも、お陰様で今は情緒の乱れもないし。睡眠薬は続けて飲んでるので、診察には通ってるんですけど、もう診察らしい診察も殆どなく、先生に「元気になって良かったね」って言われながら帰るっていうのが、もうここ数年ですね。

▼全てのターニングポイントはオトコ

そんり:かなりドラマティックな人生ですよね。

ジュンコ:話しとったら、自分で自分がオモロイ時ありますもんね。何やっとんやろ?と思って(笑)

そんり:これがテキストになると、結構な人生だったなって感じると思いますよ。

ジュンコ:ああ、そうか。文字だけやったら、このテンション伝わらないですもんね。すごいシュールでカオスな人みたいな印象なんでしょうね。

そんり:まあでも事実ですしね(笑)

ジュンコ:ほんまやわ(笑)

そんり:で、今はカウンセラーとしてお仕事されてるんですけど、そもそもカウンセラーになろうと思ったキッカケは何ですか。

ジュンコ:えっとね…最後の入院した翌年に、私の人生このまま終わってまうの、ホンマに嫌やって思ったんですよね。で、自分は何でこんなんなんやろうって思って、心理学系のブログとか記事とかを読み漁ってて、その時に今の師匠のブログに辿り着いたんですよ。

ジュンコ:そん時、私は既婚者と付き合ってたから、余計に心が病むんですよね。そういう色々なのがキッカケで心理学を学びだして、それと同時にやっぱりね、もうソープ嬢は辞めたかった。

そんり:その時は?

ジュンコ:はい、その時は。当時の彼氏は自営業でちゃんとしてる人やったから、釣り合う私になりたい、こんな自分は嫌やって思って。で、カウンセラーになってみようかなって思ったのが、キッカケでしたね。

そんり:人生のターニングポイントが全て男性って、それもまた凄いですね。

ジュンコ:ほんまやわ…私の人生、男に振り回されてるだけじゃないですか。恥ずかしいわ(笑)

そんり:いやいや、キッカケなんてなんでも良いんですよ。それにそれだけ一人の男性に真剣になれるってことの裏返しでもあるんだろうし。

ジュンコ:そうかもしれないですね、うん。キッカケはなんであれ、今ほんまにラクんなったし、カウンセリングって仕事がめっちゃ好きなんで、とにかく楽しいし。今までやらかしてしまった事がこんなに役立つとは、自分でもビックリする時あります。

そんり:うんうん。自分がそれだけの経験をしてきたから、そういう人たちに深い理解を示す事が出来るんでしょうね。

ジュンコ:そうですそうです。情緒不安定になって、感情がコントロールできひんくなって、恋愛する度にワーッてなっちゃう人いうじゃないですか。でも「そんなん大丈夫やで、私はもっと酷かったから」って言ってあげれるじゃないですか。自分もそういう経験がなければ、それも言ってあげられない。

そんり:カウンセリングをしてて、一番楽しいなって感じるのはどういう部分ですか。

ジュンコ:やってる最中は、楽しいとかって感覚はないんですよ。そうですね…カウンセリングを受けに来られるお客さんが、本気なんですよ、いうても。もう心が疲弊しまくって、「こんな自分はイヤだ」って口では言ってるけど、やっぱり諦められないから、カウンセリングを受けにくるわけじゃないですか。そのお客さんの姿勢が、ほんまにありがたいなって。

そんり:うんうん。

ジュンコ:なんだかんだ絶対に諦めない人が、もがきながらでも来てくれるんで。そういう人たちが私と1~2時間話すことによって、終わる頃は顔色まで変わってたりする人もいるんです。そんなん見てると、私も生きててよかったんちゃうん?って、思うんですよね。

そんり:ああ、はいはい。

ジュンコ:生きてて良かったって、自分が思えるっていうのもあるし、今まで散々、人様に迷惑かけてきた自覚はあるんで(笑)あるから、誰かの役に立てるって、恩返しって言うのも変なんですけどね、これぐらいしたいなって思うんで。そういう時にやってて良かったなって、生きてて良かったなって思いますよ。

そんり:うん。これは私の意見ですけど、自分の為だけに生きるのって限界が来ますよね、いつか。

ジュンコ:うんうん。一人で生きる方が断然リスク少ないし、ラクなんですけど、もちろん自分の為にいっていうが大前提ですけど、他人っていう目標があるから、さらに負荷をかけられるって知ってるんで。

そんり:それは本当にね、うん。

ジュンコ:だから今のお仕事はね、お客さんの事を考えるのが日課なんですよ。継続カウンセリングの方々だと、数ヶ月単位の付き合いになるので。この人の為に何ができるかな、何て言ってあげようかなって、ずっと考えてるじゃないですか。いつも、自分の欲望に振り回されて満たす為だけに生きてた人間が、人の為に何かせな、とか、この人を少しでもラクにしてあげたいなって、欲望のベクトルを変えただけで、こんなに心が落ち着くんやって。人って変われるもんやなって。

そんり:うん、本当にそうですよね。自分の事ばかり考えてる時って、やっぱり頭がおかしくなるんですよ。人間て。

ジュンコ:本当にそうなんですよ、自分の内側にしか気がいってないから。

そんり:自分より相手を見てる方が、内観するって意味でも効果的だと思います。それは数年インタビューをしていて、私もすごく感じてますね。

ジュンコ:うん。わかりますわかります。

▼アウトロ

そんり:…と、残り時間も少なくなってきましたけど。

ジュンコ:ほんまやわ、早!

そんり:もしカウンセラーという仕事に出会ってなかったら、今、どう生きてると思いますか。

ジュンコ:死んでたんちゃいます?

そんり:マジで!(笑)

ジュンコ:もう生きてる予定なかったですもん。

そんり:他は考えられない?

ジュンコ:うん。毎日「死にたいのに死なれへんわ」って思って、生きてたんで。本当にもう生きてなかったと思いますよ。

そんり:そこまで言い切れるってスゴイですね。

ジュンコ:「死」一択の人生やったと思います、それ以外に想像つかないんですよ。

そんり:「そのままソープ嬢を続けてたと思います」、くらいの返事が来るかなって思ってましたよ。

ジュンコ:私いま、即答したじゃないですか、考える間もなく。ソープ嬢を続けてるって選択肢はなかったんだなって、いま自分で気付きました。なんかヘンなところで気が小っちゃいんで、社会的に惨めだと思われることが耐えられんかったんです、あの時は。

そんり:それは、ソープ嬢という仕事を選択していた自分に、ずっと罪悪感を抱いてたってことですか。

ジュンコ:ありました。社会に対しての罪悪感みたいな、自分は毒であるっていう概念に近いっていうか。このまま生きながらえても、これしか仕事が出来ひんのやなって。今はもう、そんなこと思わないですよ。だけど当時は、このままお婆ちゃんになって、ずっとソープ嬢しかやれへんのかって思うと、ほんまに嫌やったんで。

そんり:なるほど。心理学に出会って、カウンセラーを志したことによって、今まで自分がやってた仕事も肯定できるようになったと。

ジュンコ:本当ですよね。自分が一番嫌ってた部分っていうのが、人の役に立つっていう経験をさせてもらえるようなったんで。カウンセラーを志した時に、過去は全て隠して生きていこうと思ってたんですね。性愛を扱うんじゃないくて、いわゆるこう…カウンセラーっぽいカウンセラーっていうんですか?そういうふうになりたいと思ってたんですよ。性愛のことなんて、一番扱いたくなかったです。正直言ってね。

そんり:もう過去は葬りたかったと。

ジュンコ:そうなんですよ。だけど、あれよあれよいう間に、性愛特化型カウンセラーみたいになってもうて。でね、お客さんが喜んでくれるのを、見たり聞いたりしてるうちに、ほんまソープ嬢やってて良かったなって。

そんり:いつも思うんですけど、今が幸せだったりまあまあだなって思えると、過去って変わるんですよ。出来事は変わらないんだけど、その出来事への認識が変わる。どうせ生きてかなきゃいけないんだから、そうやって思えた方が絶対に得なんですよね。とはいえ、この考えも強制は出来ないけど。

ジュンコ:私も自分が渦中の時にそれを言われても、全然納得できひんかったんですよ。

そんり:言われるとメチャクチャ腹立ちますよね、フザけんじゃねーぞ!って(笑)

ジュンコ:わかりますわかります(笑)私も同じ事を思ってたから。人それぞれ、すごい葛藤があるところやけど。でも事実、過去は全部笑い話になってるし、それをね、自分がどう捉えるかで、ものの見方がすごく変わりました。

そんり:うん、どうせ死ぬまでは生きなきゃいけないんだからって、思っちゃう。

ジュンコ:うん、あと身を持って言えるのが、人って「死にたい死にたい」って思ってても、なかなか死ねないんですよ。だから、そういう道を選ばなくても良いように、少しでも助けたいなと思いますけどね。

そんり:最後に、何か言い残したことがあれば。

ジュンコ:特にないんですけど…そうですね、なんていうんかな…今すごく楽しいっていうか、こんなに日々が充実しだした理由はなんかなって、考えてたんですけど。私ってなんだかんだ、かなりしつこいんで、口では「死にたい死にたい」言いながらも、諦めるって選択肢がなかったんですよ、きっと。その諦めの悪さが高じて、今のこの状態なんで。だから今が絶望やって思ってる人たちもね、諦めなければなんとなるでって言いたいですね。

そんり:うんうん。

ジュンコ:誰かをカウンセリングする時でもね、いつもそう思ってる気がします。

そんり:最後は良い言葉で締めていただいて。今日は本当にありがとうございました。

ジュンコ:いえいえ。こちらこそありがとうございました。

〜終〜

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