どうして危険を省みず、通勤用の自転車貸与をはじめたのか?
コロナの影響で自転車通勤が見直されていますね。
このタイミングだとコロナ対策と思われてしまうのですが、実はずっと前から温めてきました。
「危ないよ!何考えてるの!?」という意見はもちろんいただきました。
ただ、メリットとデメリットを比較し、この福利厚生を始めることにしました。
その経緯や思いについてNOTEに記録しておきたいと思います。
話は私が起業した頃に遡ります。
起業時、忍び寄る魔の手
起業すると自分の時間が会社の成果の全てと言っても過言ではありません。
当然、夜中まで働きます。
甘党の私としては、口寂しくなると、すぐにコンビニに行って、大好物のかりんとうや芋けんぴを食べていました。
そうこうしていると、また口寂しくなり今度は菓子パン(クリームとかチョコとかモリモリな!)を買って食べてしまう。
そんな生活を続けていると、あっという間に重力の恩恵を今まで以上に受けるようになっていきました。(太ったということです)
起業して2年後ほど。ほっぺの輪郭、お腹がやばいことに…
当時の年齢は30台半ば。このまま40歳を迎えたらいったいどうなってしまうんだろう。
親父のようにはなるまいと思っていたのに(親父は170センチの100キロでした)、順調に後を追いかけてしまっているではないか!
漠然とした不安を感じつつも、毎日の忙しさに埋没していました。
ある女性社員の挨拶がわりの言葉
ある時、女性社員が会社に参画してくれることになりました。
「ダイエットしないとやばくて」
ほとんどの女性が挨拶のように言います。その社員も同じようなことを日々口にしていました。
私もいよいよ体重がやばくなり、0.09tの重力を感じるようになってしまいます(90キロ)。
日々の行動が習慣化されてしまって、お腹空いてないにもかかわらず、取り憑かれたように同じ時間にコンビニに通ってしまうんですね。
習慣って恐ろしい。
当時の常備食
きっかけは突然に
ダイエットしないと...。
まったく行動できていない日々が続いていたある時、何を思ったのか、「俺も体重やばいから、ダイエット競争をしよう!」社員に持ちかけました。
ルールは簡単。
今の体重よりも何%痩せられるのか競争する、というもの。
期間は6か月間。6月の終わり位に始めたので、12月末まで。毎月1キロ減量できれば御の字です。
負けたほうが勝ったほうに有名ホテルのパウンドケーキ(数千円相当)をプレゼントするという罰ゲーム付きです。
彼女もいいきっかけだと思ったのか、やりましょう!とスタートしました。
入り口を止めただけでは変わらない
まずは食事を制限します。
これまでの間食をいっさいストップ。
しかし、一ヶ月経っても体重は変わらない。
たぶん多くの人が経験していると思いますが、食事制限だけでは痩せられません。
食事は野菜中心に
そこでさらに一段の負荷をかけざるを得ませんでした。
夕食を抜き、1日2食に減らします。
お腹が空いて仕事にならないときもありました。
しかし、それでも1キロ減。
もう2ヶ月経っているのにまだマイナス1キロ。
出口を増やすために
運動して脂肪を燃焼させないといけないとようやく気付きました。
しかし、平日は夜遅く帰宅しています。運動する時間はないし、休日は子供との時間を大切にしたい。というかジムに行くという行為がおっくうで絶対に続かない。(過去に2回、苦い思い出あり)
袋小路にはまった挙句、思いついたのが自転車通勤です。
当時の事務所は港区にあり、江戸川区の自宅からは電車で行くにも1時間かかる距離。結構な時間です。
それでもまずはやってみようと、まずは、ナビで自転車検索。
17キロ弱、1時間30分ほどで到着予定と出ました。
果たして行けるのか?
初めての自転車後は疲れ切って仕事にならない
とりあえず行ってみようと、仕事のない休日に行ってみました。
すると30分もこぐとお尻は痛くなるし、太ももも痛くなる。橋の坂道がきつい。
初めての道なので迷いながら行ったこともあり2時間かかりました。
そして汗はかくし、息切れもする。長距離走を走った後のような虚脱感。
残念なことに疲れ切ってその日は仕事に集中できませんでした。
ただ、行き方がわかったので、もっと時間を短縮できるはずだと、平日も自転車通勤を開始しました。
一週間で一ヶ月分の効果が!
1週間ほど、続けると太ももはデフォルトで筋肉痛状態。久々の心地よい痛みです。
肝心の体重。1週間で1キロしっかりと減っている!!
味をしめて続けると、1ヶ月もしたら3キロ減量に成功。
これは凄いことになるぞ!と興奮状態でした。
そして、気づいたことがありました。
体重減も実感したのですが、今まで以上に仕事に集中できています。
自転車通勤の疲れは、開始から1~2週間もすると慣れます。
それ以上に、適当に運動すると前頭前野という脳の部位が活性化されることがわかりました。
ここは、記憶力、認識力、集中力などを司る部位でもあり、同時に活性化されて仕事に好影響を与えるようです。
自転車通勤をする前は、朝、けだるい感覚で仕事を始めることも多かったのですが、運動をしてから仕事を始めると意識明瞭に仕事に取り掛かることができるようになりました。
ダイエット競争の結果は?
そして、真冬の寒い時期にも自転車通勤を継続。
その後、最初の1か月ほどの勢いで体重は減りませんでしたが、ラストスパートで1週間の断食なども取り入れ、ダイエット選手権終了日までに10キロ減量することに成功しました。
ここまでの減量は人生初の体験。
やればできるもんですね。
もちろん、パウンドケーキはいただきました。(女性社員には大人げないことをしました…)
勝者の特権
競争が終わっても自転車通勤継続。それに飽き足らず
自転車通勤の素晴らしさを体験してしまった私。
それからも冬の寒い日も、夏の暑い日も、雨が降らない限り続けています。
そうするとこの期間で休むような、寝込むような病気も全くなく心身ともに健康的な生活を送ることができるようになっています。
さらに、せっかく体が締まってきたのだから、体型もしっかりさせようと、筋トレをして腹筋や大胸筋を鍛えています。
最近ではもっと健康でありたいと感じ週に一度ジョギングして、ハーフマラソンも視野に入れて15キロくらい週末に走っています。
ダイエット後。アゴの輪郭とお腹周りがスッキリ!?
ここまでの長いストーリー、読んでいただいて、本当にありがとうございます。
自転車通勤は家族から大反対されましたが、続けることによって圧倒的な健康と充実した生活を得ることができました。
ここから、この記事の要点をまとめてみようと思います。
実際に体験したからこそわかる、自転車通勤のメリット・デメリット
実際に自転車通勤をした私だからこそ体感したメリットとデメリットをここでご紹介します。
メリット
1 日常生活に有酸素運動を取り入れているので健康を維持できる
何と言ってもこれが一番。意識するしないに関わらず、毎日運動できるのは健康増進になります。
思い立ったら、ではなく日常生活に組み込んでいることが一番のポイントです。
2 ランチで遠出ができる
ランチの移動時間をMAX10分と考えると、徒歩と自転車では数倍の距離差がでます。
ランチのバリエーションが数倍に増えます。自転車仲間といっしょに行けるといいですね。
3 街の散策がしやすい
会社から家に戻る際に、いろいろな道を通ることで道に詳しくなります。
そして、こんなところにこんなお店があったんだ?と新たな発見がしやすくなります。(私は自転車でパンで有名な田原町のペリカンを見つけました)
4 満員電車に乗らなくて済み、スッキリと仕事を始められる
私がこれを書いているのは、ちょうどコロナが蔓延している時期です。電車と違って3密とは無縁です。
そして、満員電車に乗らなければ、就業前に疲れる、といったこともなくなります。
自転車通勤を初めて2週間もすれば、体は慣れて仕事にならない、ということはなくなります。
むしろ血流が良くなり、脳も活性化されてすがすがしい気分で仕事を始めることができますよ。
5 無心になって漕ぐので、精神的なリフレッシュできる
毎日、意図せずいろいろなことを考えてしまう私たち。いいことだけを考えていればいいのですが、そうとも限らないのが人間です。
自転車に乗っていると、無心になって漕ぐことに専念します。他のことは考えられません。この、消極的な考えに心が脅かされていない状態でいる(瞑想に近い)状態は、心の健康を増進するために大切だそうです。
6 食事制限も加えれば、ダイエットができる
プラスが小さくてマイナスが大きくなれば、結果はマイナスになります。
食事制限のコツは別でまたご紹介します。
7 自己管理できる人だと認識してもらえる
アメリカなど欧米では、肥満の人は自己管理ができていないと認識され、それだけで信頼感を損なうようです。
あまり意識していませんでしたが、ストイックですねと言われることが多くなりました。
8 地球にやさしい
石油はもちろん、電気さえ使わないので、車両の中では最もエコです。
9 休日も自転車で遠出をして行動範囲が広がる
土日に遠出がしたくなります。小学生(当時2年生)の息子と16キロ以上ある若洲海浜公園まで自転車で行く、ということをしました。この記事を書いている時の夢は、息子と自転車で那須まで行ってキャンプをすることです。
10 通勤手当が減り、所得税率、社会保険の料率を抑えられる
あまり意識されないかもしれませんが、通勤手当があることにより、所得及び標準月額報酬がかさ上げされ、税率、料率が上がります。
手取りが増えないのに、控除率だけ上がってしまうので、通勤手当をもらうと手取りが減るというパラドックスが発生していることにお気づきでしょうか?(詳しくは社労士のご友人などに聞いてみてください)
通勤手当がなくなれば、税率、料率は適正水準に戻りますので、結果として手取りが増える可能性があります。
11 QOLが高まる
健康でいる時間がながければ、それだけ自分がやりたいこと、やってみたいことに時間を充てることができます。
12 睡眠の質が高まる
適度な運動をすると、睡眠の質が高まるのはもう常識ですね。
ぐっすり眠ることができるので、日中も爽快な気分で過ごすことができます。
13 自分の人生への主体性を取り戻すきっかけになる
もともと自転車好きの人には言うまでもありませんが、自転車通勤は自分の意志で始めます。
遅刻の言い訳ができなくなるし、1日の天気の変化や気温、どのように時間を使うのか、走行中の危険性など注意を巡らせる必要が出ます。
大げさかもしれませんが、便利な世の中で流されるままに人生を送る人にとっては、人生への主体性を取り戻すきっかけになります。
14 全てを失っても「最後はウーバーイーツがある」という安心感を得られる
自転車通勤で鍛えていれば、最悪、今の仕事を失っても何とかなります。
デメリット
1 危険と隣りあわせ
自転車通勤の一番のリスクです。
スピードを出すためには車道を走ることになります。バイクと車、トラックの脇を走行するので、常に危険と隣り合わせになります。
ただ、最近はかなり自転車の方も増えていて、自転車用のレーンもできていますので、追い越しで無理をしなければ危険は大分少なくなっています。
なお、タクシーの乗客ピックアップの急停車にはくれぐれも要注意です。
2 飲酒運転はダメ
法律的にアウトです。自転車を押して歩きましょう。酔い覚ましの運動としてもよいです。
3 雨の日は乗れない
乗れない、ってことはありませんが、自転車がかわいそうです。(すぐ錆びる)
道具を大切にする心を持ちたいですね。
また、事故のリスクも高まります。
雨の日は潔く電車で。
4 夏は暑く、冬は寒い
私にとってはデメリットではないのですが、一般的にはデメリット。
四季折々の気候を感じられるし、体の免疫力・抵抗力が高まるので私にとってはメリットですが・・・。冬でも汗をかくことができますよ。
5 整備する時間が必要
快適に走るためには、こまめなケアが必要です。
私はそこまでこだわっている方ではないものの、月に1回1~2時間は自転車の整備(主に掃除)をしています。
社員が人生を充実させるきっかけに
メリットとデメリットを比べてみたら、安全運転さえ徹底すればメリットのほうが断然大きい。
そして、会社の仲間たちにも、充実した人生を過ごしてほしい、という思いから、通勤自転車貸与制度を開始することにしました。
これは、自転車通勤の希望者は会社で自転車を貸与するという制度です。
そして、せっかく取り入れるからには思い入れをもって大事に使ってほしいので、ロードバイク、あるいはクロスバイクを貸与しています。
もちろん安全に配慮するため、ヘルメットを貸与。万が一のことがあっても生活ができるよう、自転車保険の加入も行います。
また事務所付近の駐輪場も会社で借り上げます。
自転車の整備に必要な道具も支給します。しっかりとメンテナンスする習慣をつけて貰って、道具を大切にする習慣もぜひ持ってもらいたいと思っています。
今後の妄想
賛成、反対は人によって様々あると思います。
ただ、私はこうした考え方に共感してくれる人なら、きっと仕事でも同じような考え方をした人が集まってくれるはず。
そして、社員の人たちには健康で、充実した生活を送ってほしい。
そう考えて、制度を導入することにしました。
そしていつの日か、会社の中で自転車好きが増えて、サイクリングはもちろん、キャンプや釣りに行くことができたら、楽しいだろうなと妄想しています。
その妄想、面白そうだな!と思ってくれる方からのご連絡、お待ちしています!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?