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英語が苦手の受験生との話から生まれた「スラッシュ英文」×「フレーズ反訳集」

私は現在、ソマリ英語通信塾を主宰しておりますが、そこで使用する教材は、「スラッシュ英文」×「フレーズ反訳集」を基に作成されています。

始まりは、英語が苦手という、ある受験生の相談を受けたことから、始まりました。彼はこう話してくれました。

「先生、英語を日本語に訳す順番が分からないんですけれど、どういう規則があるんですか?」

英語を日本語に訳す順番?確かに考えてみると、文中の英単語を訳す順番が、英語の文法書に書いてあるのは、見かけないですね。「訳す順番」をテーマにした授業もほとんどありません。なのに、授業では、英文を和訳させられます。それで、この受験生は困っている、ということでした。

しかし、実は、英語を日本語に訳す順番は、あると言えば、あります。日本語の語順はかなり自由なので、和訳した日本語が唯一の正しい和訳、というわけではありません。ただ、直訳の場合には、以下の順番でほぼ訳せます。

① 文頭の副詞(句)は最初に訳す
② 文頭に副詞(句)がないときは、Sから、「Sは」と訳す(修飾語句がある場合は、修飾語句⇒被修飾語の順に訳す[この場合の被修飾語は主語の名詞])

③ Vは、文の最後に、「Vする」と訳す
④ Vからピリオドまでは、大体、文末の方から、修飾語句⇒被修飾語(修飾される語)の順で前に戻る訳し方をする

以上は大雑把ですが、和訳は完成します。ただ、④は何を言っているのだろうと思うかもしれません。実は、ここが一番大事な所で、学校の英語では教えてくれない、英語が出来るようになるかならないかの分かれ目です。

英語の苦手な人は、どちらかというと、単語を重要だと思いがちです。英語の得意な人は、単語という「点」ではなく、語句(フレーズ)という「線」を重視します。語句単位で読めるようになると、訳す順番が見えてきます。

具体的に見ていきましょう。下の英文を和訳してみてください。単語力の差が出ないように単語の意味を添えておきましょう。

A group of Americans staying in a South American country reacted emotionally to the unfamiliar architectural surroundings which they found there.
                                         
【単語】
react「反応する」 emotionally「感情的に」 unfamiliar「なじみのない」
architectural「建築の」 surroundings「環境」


どうだったでしょうか?英語が少しでも得意な人は、和訳するまでもない、と思ったでしょう。英語の苦手な人なら、こんなに長い英文なんか訳せない、と言うかもしれません。

単語という「点」で、上の英文の各単語に番号を振ってみましょう。(WORDでは、各単語の下に番号を振りましたが、ここではずれてしまうので、ばんごうは消してしまいました)
A group of Americans staying in a South American country reactemotionally to the unfamiliar architectural surroundings which they found there.

この番号に該当する英単語の日本語の意味を重ねても、日本語の文にはなりません。また、どんな順番に訳すか聞かれても、答えようもありません。つまり、単語という「点」に囚われていては、文構造の把握も和訳もできません。

では、語句(フレーズ)という「線」で考えてみましょう。同じ英文に語句単位で番号を振ります。(ここでも番号だとずれてしまうので、語句単位で縦に区分けしました)
1.  A group  

2.  of Americans  

3.  staying  

4.  in a South American country  

5.  reacted emotionally  

6.  to the unfamiliar architectural surroundings     

7.  which they found there.

単語で区切ると21個でしたが、フレーズで区切ると7個の文です。番号の数がずいぶん減りました。次に、和訳してみましょう。

「ある南米の国に 滞在している アメリカ人たちの グループは、彼らがそこで見つけた なじみのない建築(の)環境に 感情的に反応した。」

今度は、番号を見ると、はっきりと規則性がみられます。英語の主語の「Sは」の部分は、動詞reactedの前までですが、 英語では、1⇒2⇒3⇒4という順に発展・拡大していきます。反対に、日本語訳では、4⇒3⇒2⇒1という逆の順番になっています。さらに、述部も、英語では、5⇒6⇒7という順番に対し、日本語訳では、7⇒6⇒5という逆の順番になっています。

どうして、逆の順番になるかは、英語では「被修飾語(修飾される語)+修飾語句」であるのに対し、日本語では「修飾語句+被修飾語」になるからです。

上の英文に、下線部の代わりに、下線部と下線部との間にスラッシュを入れてみましょう。
A group / of Americans / staying / in a South American country / reacted emotionally / to the unfamiliar architectural surroundings / which they found there.

この英文は、下線の代わりに、スラッシュを入れてみました。「スラッシュ(/)」を使うと、下線を引くよりも時間が短縮できます。さらに、スラッシュを入れることによって、英文構造が「見える化」されます。

ただ、初めからスラッシュの入った英文はありません。自力で入れることになりますが、教科書や参考書でも、スラッシュは使われているのに、使い方の説明はありません。

『英語スラッシュ・ルール30&フレーズ反訳集』(ソマリ英語通信塾のメイン教材)では、スラッシュを入れるべき個所を30のルールにまとめてみました。これで十分とは、絶対に言えませんが、出発点にはなると思います。

さて、以上はスラッシュを英文解釈や英文和訳向きに利用する方法で、どちらかというと、英語の苦手の人のためでした。

『英語スラッシュ・ルール30&フレーズ反訳集』は、英語の苦手の人のためだけではありません。英語が得意な人も、英語のライティングでは、自信が持てないときもあります。「フレーズ反訳集」は、英語を母国語とする人が、どのように英文を展開・拡大させていくのかを考える際に、非常に参考になります。

上のスラッシュを入れた英文の日本語訳とオリジナル英文とを、スラッシュごとに表に換えたもの(フレーズ反訳集)を見てください。

フレーズ反訳集
日本語訳                  英語原文
1 グループは、               A group
2 アメリカ人たちの                                          of Americans
3 滞在している                                                  staying
4 ある南米の国に                                              in a South American country
5 感情的に反応した                                          reacted emotionally
6 なじみのない建築(の)環境に                    to the unfamiliar architectural                                                                                  surroundings
7 彼らがそこで見つけた                                  which they found there.


左欄の日本語訳を読んで、右欄の英語原文を口頭で言えるか確認しましょう。日本語訳を順に読んでも、日本語の文にはなりません。しかし、日本語訳を順に英語に訳す(これを反訳と言います)と、この英文の筆者が展開した通りの英文が出来上がっていきます。

日本語訳を読んで、英語原文を口頭で言えるようにするのが、「フレーズ反訳集」です。これを実践することで、英文の展開構造、英単語・イディオム、英語構文が自然に身につき、自分の好きな英語のスピーチやプレゼン、小説の一節、英語の新聞記事、あるいは、試験範囲の英文など、英文全体を覚えきることも可能です。

これからは、単語集ではなく、「フレーズ反訳集」をつくって、自分の読んだ英文すべてを口頭で言えるようにする、これがソマリ英語通信塾の目的とするところです。

* WORDで原稿を書いているときは、フレーズ反訳集は表にしているのですが、ここでは表の形にならないので、読みにくい点はご容赦願います。

ご興味をお持ちの方は、https://somalienglish.hp.peraichi.comで検索し、ホームページをご覧ください。

#英語がすき


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