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女ひとり旅 1時間がっぷり四つ続く価格交渉①[マダガスカル旅行編ep.22]

最初は、モロンダバ飛行場でつかまえたトゥクトゥクに乗って、街まで行くことだけを考えていた。
飛行場で声をかけられたツアーコンダクターの提案には、それ程心ひかれなかったが、たたき台に金額だけ聞きたいと思っていた。

これは臆病者の完全な持論だが、相手から持ち掛けられた話は相手の利益が大きくなる。
自分で探して比較して決めたものは、自分のプランに納得できる。

生命保険の営業なんかをイメージすると、相手のおすすめの保険は保険会社の取り分や新たな契約を結んだセールスレディの歩合制の給与が優先されたものになりがちだ。
今の自分の年齢、親族の病歴、家庭の状況(自分1人世帯か、扶養すべき家族がいるか等)によって、保険に求める条件は変わるはずだが、そこまで含んだ保険の提案を相手がしてくれるだろうか。
自社の保険以外はおすすめしない、となると本当に目の前に提示された保険がベストになることなんてあるのだろうか。

臆病者は天邪鬼も兼ねているため、相手の利益だけが重視されてるような話には乗りたくない。
ツアーコンダクターは、私が飛行場に降り立ったばかりで他のガイドの話を聞いていないのを知っている。
相手のホームで、相手のペースで、相手は話が進むことを望んでいる。

街に出たら、宿泊先のホテルのフロントでトゥクトゥクの手配料金と近隣のツアー会社を聞こうと思っていた。
提携ツアー会社があって、料金プランまで決まっているのか、オフィスの場所のみを聞くことになるかは分からないけど、とりあえず聞いてみる。
後は、流しのトゥクトゥクか首都からの長距離バスの終着点であるバスオフィスのそばまで行けば、客待ちのトゥクトゥクがあるかなんて予測し、バオバブアヴェニューまでの往復料金を交渉しようと考えていた。

まあ、長々と書いたこれらは私の頭の中の計画で終わった。
飛行場で出会ったツアーコンダクターは、当初飛行場に残ると言っていたが、いざ出発というタイミングで同じトゥクトゥクに乗り込んできた。
キリンディ森林保護区の良さをトゥクトゥクの中でアピールされる。

キリンディ森林保護区は、モロンダバに来た旅行者の大半が行く観光スポットで、マダガスカルに生息する貴重なキツネザルを手軽に見られる場所として有名だ。
けれど、首都に戻った後にレミュールパーク(キツネザルのいる半自然の公園)に行く予定がある私には、あまり魅力を感じなかった。
多分似た場所だろうと思うと、割高なプランに感じられた。

けど、みんながよく行く場所を見てみたいような、ミーハーな気持ちもあるにはある。
結局、ホテルの前で私を下ろしてバイバイするんだと思っていたが、ツアーコンダクターとトゥクトゥクドライバーの2人は私と一緒にホテルの2階、レセプション兼食堂のスペースまで上がってきて、テーブルセットに腰を落ち着けた。
不思議に思っていると価格交渉の2ラウンド目がなし崩し的に始まった。

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