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30年生きてきて、初めて『ONE PIECE』を読んだ

ジャンプ+で90巻分無料ということで、1巻から急いで読みました。
食わず嫌い、というか読まず嫌いというか、別にワンピースは好きでも嫌いでもない、まあ人気漫画だよな、くらいのスタンスで付き合っていた。

一応、実家にはなぜか7巻まではあるのだが、7巻というと、話はバラティエ編の中盤くらいで、ルフィがクリークにぶちギレるところで終わっている。
今までの僕にはワンピースの知識がここまでしかなくて、もうそこから先の話なんて全くついていけなかったのだ。

友だちとワンピースの話をしようにも、「ああ! あのギンとかいうキャラが旨そうにピラフ食うシーンがある漫画ね!」とか、お前それいつの話だよっていうやり取りばかりだった。

それにもうあまりにもギンが旨そうにピラフを食うもんだから、7巻までの知識しかない僕にとって「ワンピース(ひとつなぎの財宝)は、ギンの食ってたピラフなのでは?」という、ふざけた考察をしていた。じゃあそれを作ったサンジは何者だよ。コックだよ。

無料公開期間が過ぎないうちにと、一日3~4巻のペースで読み進め、現時点での公開範囲であるアラバスタ編まで読み終えた。
あとは、友だちと「ワンピースいいよね…」「いい…」(こち亀感)と語るだけだ。

だが問題が起こった。
そういう話をできる友だちがいないことに気づいた。友だちがいないわけではない、重要。

周りはもう、将来のことを見据えていて、親になっている人だっている。そんな友だちにいきなり「ワンピースがさぁ! あのシーンがさぁ!」なんて連絡したらどうなるだろうか。想像に難くない。

ワンピースで、おそらく大切なテーマである、仲間。僕にはそれが足りなかった。友だちがいないわけではない。二回目。
そんな漫画の話で盛り上がる年ではいけないのだと、そのような現実を突きつけてきたワンピースという作品。

周りの友だちは、みんなもう船の帆を張り、各々のひとつなぎの財宝を目指して出航したのに対して、僕はまだ陸にいるままなのだ。まるでウソップ海賊団のように「海賊が来たぞー!」と叫ぶだけの、生産性のない日々を過ごしている。

そのことに気づかせてくれたワンピースは素晴らしい漫画だと思った。

いや、これただ僕がアホなだけだったわ。


おわり

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