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最近の読書 ひとこと感想 の一

去年の終わりに日本から帰ってきた本から、友人に借りた本、いただいた本の感想を忘れないうちにアップしておきます。
誰かの読書の参考になったら嬉しいのですが、ほぼ私の独断と偏見、そして辛辣な言葉が多いので、気に入らない方はスルーでお願いします。

赤い月 上下巻 なかにし礼


普段読書などしてなさそうな友人から(!)面白いと言われて読んだ本。100万部のベストセラー。この中ではイチオシ。


旧満州に生まれた彼の自叙伝的本なんだけど、面白いというレベルではなかった。日本の生きた歴史の勉強。

彼の両親などこの頃満州に行った人たちの理由、そういう詳細が細かく書かれている。

戦争に負けたあたり、日本軍がとった行動、国民を捨てて自分たちが(上級国民)逃げ出すとの話は、現代に渡って同じことをしているので興味深い。

私は、なかにし礼さんといえば有名な作曲家としてしか知らなかったのだけれど、あの「時には娼婦のように」という曲は、このご自分の母親の背景を持っている彼だから書けたのがよくわかる。

この本は、お薦め!

他にどういう人が旧満州(周辺国も)にいたのか気になって調べてみた。



誰でも知っているところでは、五木寛之 鎌田敏夫 赤塚不二夫 加藤登紀子 佐野洋子 せんだみつお 小澤征爾 浅岡ルリコ 澤地久枝 ジェームズ三木 他多数。

みなさん、天と地獄を幼少の頃(?)に見た人達。引揚者の家族である。

戦争になったら何が起きるのか? 濁流に巻き込まれたが、その中で浮き、必死で浮き輪に捕まって生き延びた人たちだ。

JR上野公園口 柳美雨


上野を徘徊する主人公のホームレスの男は、1933年生まれ、天皇と同じ誕生日生まれの東北、福島の男の一生の話。かたや出稼ぎ、その後ホームレスになる男と、天皇との対比で描くアイディアが素晴らしい。

帰る場所をなくしてしまった人々へ贈る、といったような帯がついていたが、まさにそのまま。

柳さんの本は苦手だったはずだけれど、これはすんなり読めた。上手い!
距離感が、とてもいい。心理描写をがさすが。このシリーズの他のも読んでみたい。

ソーシャルアート的に私は読んだ気がする。

ボトルネック 米澤穂信


米澤作品は初めて読んでみたが、好きかと言われたら? わからない。なぜ人気があるのか、これ一冊ではわからず。

青春ミステリーというだけあるけど、ラノベっぽい? なんか軽い感じのパラレルワールドもの。少し経つと結末も覚えていない。ただ、金沢という地を少しづつ思い出して読んだ感じ。私にあまり感想を言わせないという意味では、つまらなかったのかも。小説が都会を中心に、あるいはリゾート地を中心に描かれているのは違い、普通の地方都市でというのが、(金沢もリゾート地だけど)いいのかもしれないけど、うーんよくわからず。

私は基本空間や時間移動に興味を持っているのだけれど、この本のパラレルワールドには気持ちがハマらず。

儚い羊たちの祝宴 米澤穂信


ということで、一冊目の米澤作品が私には合わなかったんで、もう一冊読んでみた。

読書サークル「バーベルの会」を巡って、人がどんどん死んでいく話。

はっきり言ってこちらは割と文体とかが甘美な感じに整っていて、読みやすい。

でもそうなると、問題なのがトリック。ミステリー作家とか言われているが、うーん謎解きとか簡単すぎないだろうか? 

アガサ クリスティ風のものは、一般的に多くの人が好きなのかもしれないけど……。

上の「ボトルネック」に比べたら主人公たちのキャラが立っているから好きだけど、まぁ、キャラの背景がこうだったらこうよね的な意味では、平凡? 

なんだか先が読めてしまうストーリーなので、面白いが半減。
文章は上手!


i  西加奈子


本屋さんが書店の店頭で気合を入れて売り出しているのを見て、読んでみた。30万部売れている。

まず気に入ったところ。他の作家にない現代的なスケールの大きさを。きちんと世界と日本が繋がってることを実感を持って書いていること。

かなり嫌いなところ。 最後の方で特に、主人公のグダグダな感情表現が、私のような人間には(悪い意味で)読めるレベルではない、、、、長くてしつこい。

これは編集者とかに言われて書いているのか、と疑わせるほど長い。日本人がそういう感情の表現が好きというところはあるので、狙っているのかと思い、あとでウイキキで調べたら、「技術はあるけど感情が無い」と友人に言われたことがあったからのよう。

まぁその意見をきちんと聞いて自分の物にしたので賞が取れたのかも?

それでも言ってしまうけど、「愛が〜」と語ってるところがナルシストすぎるし長すぎて子供っぽすぎる。がくりと疲れがきて適当に読み飛ばす。

一言で言えば、主人公に一ミリも感情移入ができなかった。
それでも設定は面白い。

だから読みました! という読後感はある

きっとそこ重要。

その2へ続く。



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