汐月陽子

「書肆アルケス」という屋号で魔女の批評誌を制作・販売しています。過去には化粧品会社で社…

汐月陽子

「書肆アルケス」という屋号で魔女の批評誌を制作・販売しています。過去には化粧品会社で社会的啓発キャンペーンの企画の仕事をしたりライターをやったり、さまざまな職歴を経て、OLをしながら半身編集者の生活を選ぶことになりました。青春時代を過ごした世田谷のまちで暮らしています。

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    概ね静かでたまにエモいただの日記

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  • 倫理の領界

    社会派っぽいこと

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#7bookcovers Day2 『結婚差別の社会学』

ブックカバーチャレンジで取り上げた本の内容に触れるnote、2日目は齋藤直子著『結婚差別の社会学』(勁草書房)です。 著者の齋藤直子さんは、今や小説家としても知られるようになった社会学者の岸政彦さんの奥様でもあります。岸さんは沖縄研究をはじめ、いわゆる社会的マイノリティの聞き取り調査を専門にしておられますが、齋藤さんは被差別部落の研究を専門にしていらっしゃいます。本書は、著者が2007年に奈良女子大に提出した博士論文をもとに、大幅な加筆・修正を加え、10年の歳月を経て刊行さ

    • #7bookcovers Day1 『おかしな国のお菓子の本』

      恋人に「noteで書評でも書いてみたら」と言われた矢先に、巷で大流行してるブックカバーチャレンジバトンのトスを盟友からもらったので、じゃあFacebookではバトンのルール通り内容を書かないことにして、ネタバレOKな人はnoteに飛んでもらおう〜と思ってこちらに書きます。書評と言えるほど立派なものではないけれど、一応7日間分のセットリスト的なメモは作ったから、紹介する本については最後まで書ききるつもりです。 今日紹介するのは、池田あきこ・佐藤かずよ著『おかしな国のお菓子の本

      • Subjective distance

        ゴールデンウィーク。2ヶ月ほど前から検討していたことをやってみることにした。Twitterのフォローをいったん全部外すことに決めたのだ (びっくりされたかたはごめんなさい、9日から段階的に一部戻していこうと思ってます)。 理由はいくつかある。コロナウイルスの影響で社会がどんどん混乱していくなかで、リアルタイムで起こっていることに関するさまざまな感情の乗ったツイートを見るのが辛くなってしまったというのも大きいし、あるいは、わたしのTLにはジェンダーやセクシュアリティに関心の強い

        • 変容するということ

          生まれ育った東京を出たとき、わたしは30歳を過ぎたばかりで、まあ話すと長いのだけどいろんな理由があって一時的に東京にいられなくなったみたいな感じで失意の中にあったし、今から思えばちょっと途方に暮れてもいた。大人になってからの友達は多いほうだったから、最初の移住先だった京都にも頼れる人はいた。わたしはそういうツテを辿って物件を決め仕事を決め、嵐山にある2DKの部屋を一人で借りて住んだ。引っ越してからの仕事は順調で、同僚はめちゃくちゃ性格がよくてノリも合った。女性ばかりの職場で夜

        #7bookcovers Day2 『結婚差別の社会学』

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          大宅賞のリニューアルに際してプライズの社会的機能を考える

          第1回「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞」(長い)、受賞作が決定しましたね。 長い名前をあえて全部書いたことには理由があって、第47回まで続いたいわゆる「大宅賞」こと「大宅壮一ノンフィクション賞」と今回の賞は、実際は別物なんだろうなと思っているのです。読者賞の受賞者とは個人的に友人だということもあって、ノミネート時点からなんとなく気に掛かってはいたのですが、どうもいまひとつ「リニューアル」の意図がわからないなと思っていました。受賞が決まった際にも、手放しでおめでた

          大宅賞のリニューアルに際してプライズの社会的機能を考える

          Socially Engaged Artについてのもやもや

          少し前に、東京の3331 Arts Chiyodaで「ソーシャリー・エンゲイジド・アート展」を観てきた。 ソーシャリー・エンゲイジド・アートというのは最近注目されているアートの1潮流で、簡単に言うと「参加や協働によって、社会の問題を明らかにしたり、その解決を目指したりするアート」のこと。東日本大震災を経て、「アートに何ができるか」なんていう議論を、一部の「アーティスト」がしていたことを覚えているひともいるかも知れない。そのことの是非はさておき、少なくともこの国では、ソーシャ

          Socially Engaged Artについてのもやもや