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想定外だったけど、移住して得た大事なもの

移住して、僕はそれまでの仕事や人間関係を一掃して、一新した。
そして始めた移住生活で、今いるこの環境はとても心地よい。これが求めていた環境だったのかもしれないと感じている。

長いリフォームの日々に決着をつけて(というのも、リフォームをしていると、もう大方、家の中の基本的なものは出来上がっているにもかかわらず、「あそこも、ここも」と気になる場所や作りたい何かが出てきて、キリがなくなっていた)カフェのオープンになんとかこぎつけた。

オープンして間もなくのこと、ある家族連れのお客さんの男性が、
「町内の青年会に入りませんか?」と話しかけてくれた。

町内でも引っ越してきた人はどんな人なのかという噂になっていたらしく、若そうな人みたいだよと聞いて、そういう青年会のなかでそういう話になっていたらしい。

僕も町内でのおつきあいのことをどんな風にしたらいいかと考えていたところだったので、
「じゃあお願いします。入らせてください」
と快く返事をしたところ、数日後に飲み会の集まりがあるので来てくださいと言われた。

数日後、10人ほどのメンバーにすっかり歓迎されて、飲み会が始まった。

「ところで、何歳ですか」と聞かれ、
「実は明日が誕生日で、48になります」
と答えると、

「えー!」とみんななんだかショックを受けてる。
どうしたのか聞いたら、48歳で青年会は卒業らしい。
僕も、「えー!」という気持ちだった。

「でも、せっかくなので1年でいいから青年会に入ってください」
とお願いされたのだった。

しばらくして、町内のお祭りがあり、その準備やらで一緒に活動したが、お祭りの当日には、OBの先輩たちも加わり、わいわいと楽しんだ。ここの青年会のメンバーたちは気の優しい人たちばかりだったのが良かった。
こんなに人との集まりで楽しんだのは学生の時以来のような気がした。
きっと、しがらみも損得勘定もなく、ただ同じところに住んでいるということだけで繋がっているのが良いのだと思う。
ほかの青年会のみんなは、子どものころから、兄ちゃんのような弟のような、関係で過ごしてきていて、そういうつながりなのがいいのだろう。
僕は地元がないので、それが心地よかったのだろう。

その後は、すぐにOBの仲間入りとなった。
12年経つ今も、青年会OBは続いている。

僕は新しい環境に来て、いろんなことがスムーズに流れて、町のひとにすぐに受け入れられて、とても気持ちよく今もこの町で暮らしている。

そのことにも幸せを感じる。
町内の人とのおつきあいを自分の方から望んだことが良かったのかもしれない。あるOBの先輩からも、
「進んで加わろうとしてくれたことがうれしい」
と言ってもらったことがある。

僕は運が良かったのかもしれない。
周囲のひとに恵まれたと思う。
でも、殻に閉じこもり、都会のアパート暮らしのような、隣人とのつきあいがないことを当たり前のように思わず、越してきた環境を自分から受け入れ、自分のものにしようとしたことが良かったのだろうと思う。でも不思議と無理をしたわけでもない。自分からだけでなく、町内の人も興味を持ち、困ったことがあればいろいろ教えようとしてくれたし、通りで会えば、笑顔で「こんにちはー」とあいさつする。

そんな何気ない、自然な人との関係づくりが出来たことで、移住したことは本当によかったなあと思える。

移住前の暮らしはどこか、何かが足りなかった。
それは、こんな温かい人間関係だったのかもしれない。

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