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雨のミラノ

ふとんの中で、窓の外で鳴っている雨粒の音を
寝ぼけた耳でずっと聴いていたのだろう
ちゃんと目を覚ました頃には
私はすでに今日は一日中雨が降り続けることを知っていた

バスタブにお湯を溜め、目を覚ます
広い浴室は、いちいち音が反射する
この何でもない音がなぜこんなにも悲しく聞こえるのかは疑問だった
バスルームのすぐ横の部屋では
さっきまで流していたショパンのピアノの旋律が鳴り続けている


静かな空間
哀愁の滴

私は一人
そう、
そうなりたかったのだ


街へでる
日曜日の雨
街は雨の音と人々が水滴が蹴飛ばして歩く音や
車のか弱いクラクションで満ちていた
不思議にも人々の声は私の耳に残らなかった
きっと誰も声を発していなかったのだろう
ただ歩き進めることで精一杯だったのかもしれない


石畳の道というものは、時の成り立ちを感じさせる
この道の両脇に聳え立つ壁には、数々の彫刻が施されていて
その石たちは、確実に通過する時を数えながら
ただ雨に耐えていた
それはまるで退屈な雨宿りをしているかのようで
とっさに私はその石たちは生きているのだと
そう感じた


石の内側で静かに魂が燃える
それは、メラメラと今まさに燃えているというようなそんな新鮮なものではなく
もっと昔から、ぼーっと燃えているかのようで
それは歴史の重みを全て吸収したかのように
とても重く
身動きさえしない


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〈 today’s art 〉

Title : Rain in Milan
/ photograph
/ Place : Milan
/ Yuko

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