長い旅路の途中で

ある人と会う約束をした。

最後に会ったのは2月だったはずだから、8か月振り。
人と会うことが何となく憚られるようになって、会いたいひとに気軽に声を掛けることが出来ないまま秋が深まりつつあるなんて、2月の終わりには想定もしていなかったこと。

時々、ふと思い出しては気に掛けていたものの、担務が変わって仕事で関わることが無くなったのと、急に忙しくなって心の余裕が無いまま、ズルズルと連絡せずにいた。
ひとつだけ年明けから持ち越していた仕事があって、それが漸く前に進みそうだから、とメールを貰ったのが数日前。
昨日、久しぶりにWebミーティングをした。

春先までなら、時間がある時にお茶しましょうとか、ランチしませんか?と言えたけれど、今はよほどの用事が無ければオフィスへ行かないし、感染症対策で極力ひとと会わないようにしたいのか、会っても大丈夫なのか、その感覚やレベル感がが自分と同じなのか分からないから、誘って良いものか随分と躊躇した。
でも話の流れで何となく、次にオフィスに行く日が合わせられそう、とお互い分かり、じゃあランチ行く?とすんなり決まった。

誰かと会ってご飯を食べる。
デートでもないのに、楽しみで仕方ない。
当たり前のように誰かと会えていた日々では、気付かなかった感覚。
長い人生の途中で、共感・共鳴できるひとはそう多くないと思うし、その人たちとフィジカルに時間を共有できることは、この上なく幸せなことなのだと改めて思う。

彼女の話を早く聞きたい。
1月のあの寒い新幹線コンコースでした、話の続きを。
三つ季節が巡った、その間にどんな風に過ごしていたのかを。

次は晴れた日にと約束していたのに、天気予報は曇り。
でも彼女と私には、曇天の下で温かい飲み物を片手にゆったり話すのが、ことのほか似合っているのかもしれない。

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