見出し画像

呼吸の瞑想(1): 呼吸への気づき

 おはようございます。これまでマインドフルネス瞑想について何度かお話しさせて頂きましたが、ここで基本に戻ってお釈迦様(ブッダ)直伝の瞑想法についてご紹介したいと思います。マインドフルネス瞑想もこのお釈迦様の瞑想がベースになっています。
 今日から8回ほどかけて取り上げるのは「アーナーパーナサティ・スートラ(呼吸による瞑想法)」と呼ばれるもので、呼吸による瞑想法についての仏教初期の教典です。全体が4部に分かれていますが、今日はその第1部の「身体に関する四考察」について学びます。なおここではラリー・ローゼンバーグ著『呼吸による癒し』を参考にしたほか、マインドフルネス瞑想に関連する部分も必要に応じて取り上げて解説しています。興味のある方は適宜そちらも参照なさって下さい。

アーナーパーナサティ・スートラ(呼吸による瞑想法)

瞑想を行う者は、森に行ったり、木陰に行ったり、あるいは静かな部屋に行って、足を組んで座り、身体を真っ直ぐにして、前面へ注意を向け、安定した体勢になりなさい。瞑想を行う者は、常に気をつけて息を吸い、常に気をつけて息を吐きなさい。

最初の四考察(身体に関する考察)
1. 息を長く吸っているときには、「息を長く吸っている」と知りなさい。息を長く吐いているときには、「息を長く吐いている」と知りなさい。
2. 息を短く吸っているときには、「息を短く吸っている」と知りなさい。息を短く吐いているときには、「息を短く吐いている」と知りなさい。
3. 「全身を感じながら息を吸おう。全身を感じながら息を吐こう」と訓練しなさい。
4. 「全身を静めながら息を吸おう。全身を静めながら息を吐こう」と訓練しなさい。

 最初の2つの考察は、呼吸に意識を向ける訓練をしましょうというものです。まず軽く目を閉じて、自分がいま長く呼吸をしているのか、短く呼吸をしているのかに気づいてください。鼻から吸って鼻から息を出しているのか、鼻から吸って口から出しているのか、あるいは口から吸って口から出しているのか。吸い込んだ空気は冷たいですか?乾いていますか?何かの匂いがしますか?吐き出す空気は少し温かく湿っているでしょうか。そういった呼吸のあらゆる側面に注意を向けながら、自分の呼吸に集中してみてください。

 慣れないうちは気づくと呼吸以外のことを考え始めているかもしれません。そういうときはそのことに気づいて、すぐにまた呼吸に戻って下さい。それについて自分を責めることはしません。雑念が浮かぶのはごく自然なことです。それを責めて瞑想に集中できないようでは本末転倒です。雑念に気づいたらそれに囚われずにすぐに呼吸に戻るという訓練をします。次第に雑念が浮かんでくる回数も減っていきます。あわてないことです。

 しばらく練習すると、自分の呼吸へ完全に意識を向けた状態へ到達することができるようになります。このとき、頭の中からは余計な思考が消え去っています。このときにはもう「私」というものは存在していません。「ただ呼吸だけがある」という状態です。ただ呼吸があり、それをそっと見ている、それに気づいている、といった感覚です。過去や未来について考えず、現在に集中します。呼吸に集中するということは、「今ここに存在していること」を十二分に受け入れるということなのです。呼吸へ意識を向けることによって呼吸の質も変わってきます。より深く、より繊細に呼吸を楽しむことができ、これによって、身体がリラックスしてきます。

 瞑想の初心者は、まずこの段階に容易に達せられるようになるまで、繰り返し練習をしてください。最初は10分程度から始めて、無理のない程度に長くしてみると良いと思います。それができたら先へ進みます。

 本日は最後までお聞きくださりどうもありがとうございました。

「呼吸の瞑想(2): 身体への気づき」へ

「呼吸の瞑想」目次ページへ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?