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呼吸の瞑想

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お釈迦様直伝の呼吸の瞑想についてまとめていきます。いつでも参照できる手軽なテキストのようにしたいと思っています。全8話+1話(慈悲の瞑想)。
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呼吸の瞑想(1): 呼吸への気づき

 おはようございます。これまでマインドフルネス瞑想について何度かお話しさせて頂きましたが、ここで基本に戻ってお釈迦様(ブッダ)直伝の瞑想法についてご紹介したいと思います。マインドフルネス瞑想もこのお釈迦様の瞑想がベースになっています。  今日から8回ほどかけて取り上げるのは「アーナーパーナサティ・スートラ(呼吸による瞑想法)」と呼ばれるもので、呼吸による瞑想法についての仏教初期の教典です。全体が4部に分かれていますが、今日はその第1部の「身体に関する四考察」について学びます。

呼吸の瞑想(2): 身体への気づき

おはようございます。 前回は「身体に関する四考察」の最初の2つについてお話ししました。今日は3番目と4番目の考察、身体の瞑想についてお話ししたいと思います。 アーナーパーナサティ・スートラ(呼吸による瞑想法) 最初の四考察(身体に関する考察) 1. 息を長く吸っているときには、「息を長く吸っている」と知りなさい。息を長く吐いているときには、「息を長く吐いている」と知りなさい。 2. 息を短く吸っているときには、「息を短く吸っている」と知りなさい。息を短く吐いているときに

呼吸の瞑想(3): 喜びへの気づき

おはようございます。前々回、前回と「身体に関する考察」についてお話しさせて頂きました。今日は「感受に関する考察」についてお話しします。「感受」というのは五感などの感覚とそれに付随する快・不快のことです。感覚には、心地良い感覚と嫌な感覚があります。どちらでもない感覚というのもあるとは思いますが、基本的にはどれも多かれ少なかれ快か不快かのいずれかの感情を伴うものです。今日は呼吸を通じて、これらの感受、特に喜びについて考察します。  ではまず、少し瞑想してみましょう。前回と同じよ

呼吸の瞑想(4): 快と不快

 おはようございます。前回は「感受」についてお話ししました。私たちはいつも感覚とともにそれに付随する快や不快を感じているということでした。  さて、前回は呼吸に対する喜びや安らぎを感じる訓練をしましたが、実は呼吸以外にも、私たちが普段の生活で受け取る様々な出来事には感受のプロセスが関わっています。たとえば冬の寒い北風に吹かれたときに、寒くて嫌だなと思うかもしれません。これは北風に不快さを感じているわけですね。あるいは暖かいシチューの匂いに心がほっとするかもしれません。これは

呼吸の瞑想(5): 心と向き合う

おはようございます。これまで「身体」「感受」とお話をしてきましたが、今日は「心」についてお話しします。私たちの心はどのように生まれてくるのか、考えてみましょう。 第三の四考察(心に関する考察) 9. 「心を感じながら息を吸おう。心を感じながら息を吐こう」と訓練しなさい。 10. 「心を喜ばせながら息を吸おう。心を喜ばせながら息を吐こう」と訓練しなさい。 11. 「心を安定させながら息を吸おう。こころを安定させながら息を吐こう」と訓練しなさい。 12. 「心を解放しながら息を

呼吸の瞑想(6): 煩悩からの解放

 おはようございます。前回、煩悩には貪瞋痴の3つがあることを学びました。この煩悩に気づくことができるようになったら、そこから心を開放していく訓練をしていきます。 第三の四考察(心に関する考察) 9. 「心を感じながら息を吸おう。心を感じながら息を吐こう」と訓練しなさい。 10. 「心を喜ばせながら息を吸おう。心を喜ばせながら息を吐こう」と訓練しなさい。 11. 「心を安定させながら息を吸おう。こころを安定させながら息を吐こう」と訓練しなさい。 12. 「心を解放しながら息を

呼吸の瞑想(7): 無常と無我

 おはようございます。前回は「心」について見ました。その中で心に生起する煩悩を見つめ、その煩悩との距離の取り方について学びました。しかしそれは煩悩からの完全な解放ではありませんでした。  第4の考察は「智慧」です。智慧とは何かというと、心の苦しみはどこから来るのか、そしてその苦しみからどうしたら解放されるのかについての理解と実践です。 第四の四考察(智慧に関する考察) 13. 「無常であることに意識を集中させながら息を吸おう。無常であることに意識を集中させながら息を吐こう

呼吸の瞑想(8): 執着心を手放す

 おはようございます。いよいよ今日で「呼吸の瞑想」のお話も最後です。前回から4つ目の考察である「智慧」についてお話ししています。前回はその中の第13の考察「無常であることに意識を集中させながら呼吸をしよう」についてお話しました。今日お話しする第14, 15, 16の考察は「色あせていくこと」、「解きほぐれていくこと」、「手放すこと」に意識を集中させながら呼吸をしよう、というものです。 第四の四考察(智慧に関する考察) 13. 「無常であることに意識を集中させながら息を吸おう

慈悲の瞑想

 おはようございます。これまで呼吸の瞑想について何度かお話ししてきましたが、今日はもう一つ別の瞑想として「慈悲の瞑想」のお話をしたいと思います。呼吸の瞑想が仏教における「智慧」を習得するための修行だとすれば、慈悲の瞑想は「慈愛」の心を育む修行だといえます。簡単な瞑想ですが、毎日続けると自分の気持ちが変化して穏やかな気持ちになれます。呼吸の瞑想に慣れてきたら、並行して慈悲の瞑想もぜひ行ってみてください。  慈悲というと他の人々へ優しい気持ちを持つことだというイメージがあるかと