過去を変える男 ②/全5話 【創作台本・世にもになるまで書いてみた・97作目】
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〇 喫茶店
ディレクター・AD 男の話を一通り聞いて怪訝な表情。コーヒーにも手を付けていない。
デ つまりお前は2100年から来た未来人・・・
男 (飲み物を口にしながら)2101年です。お間違えの無いよう。
デ (舌打ち)2101年から来た未来人なんだな?
・・・・・・信じられるか! 未来人ってもっとタコみたいなはずだろ!
男の姿が映る。手元には半分近く飲んだクリームソーダ。
男 なわけないじゃないですか~
人類もさすがに100年じゃ進化はできませんよ~
デ ・・・んで、お前はその・・・ なんだ。コン・・・ 昆布ライス?
男 コンプライアンスです!
デ (怒って)どっちでもいい! とにかくそれはなんなんだ!
男 今さっき説明したじゃないですか~
コンプライアンスというのは「法令順守」。すなわちルールを守る。
ただそれだけのことなんです。ね?簡単でしょ?
デ ルールって・・・ 俺らはちゃんと撮影許可も取っているじゃないか。
なぁ?
ア はい!
(セカンドバッグから撮影許可書を取り出し、男に見せながら)
ほら! これが許可証です。
男 そういうことじゃないんですよ。とりあえずこちらをご覧ください。
男 カバンから調査結果を取り出す。
そこにはコンプライアンス違反とみなされる行動・言動が事細かに書かれている。
男 今回調査した結果、多数のコンプライアンス違反とみられる行動・言動が確認されました。
紙にロケ中の出来事が項目化されている。
ロケ中での出来事のほとんどが2101年のコンプライアンスに引っ掛かり、項目の横に大きな赤字で「コンプライアンス違反・要改善」と記載。
デ はぁ!? こんなに!?
男 ええ。
特に「人を傷つける笑い」が我々の時代では違反となります。
ですので、これからは「グルメ番組」や「動物番組」中心に・・・
デ そんな食いもんだのわんころを視聴者が求めてるか?
毒にも薬にもならんだろうよ・・・
男 それが真逆なんですよ~
我々の時代ではお笑いよりも癒しが求められておりまして・・・
あなた方のせいで2040年代初頭まで暴力的な笑いが続いたんですから!
デ 知らねぇよ! 面白いんだからいいだろ!?
男 ダメです! 子供たちが真似したら悪影響でしょう!
デ (ヒートアップしたのか立ち上がり)
そんなバカなガキはほっとけばいいだろ!?
大体親の教育が・・・
ア ディレクター! お客さんが観てますから・・・!
AD 慌ててディレクターを止める。
ディレクター ふと我に返ると、周りの客たちと目が合い、恥ずかしそうに着席。
男 違反している箇所はまだあります。
例えば女性をみて「スタイル抜群のボイン」と表現されましたが・・・
デ もういい! 時間の無駄だ! 帰るぞ!
ア は、はい・・・
男 ・・・なるほど。
コンプライアンス厳守に協力いただけないということですね。
デ 当たり前だ! つまらんテレビを作るくらいなら・・・
ディレクターが男に告げた瞬間、ディレクター・ADの2人がその場から跡形もなく消える。
男 ・・・これでよし。さて、次の時代は・・・
男 手帳を見て、次に移動する時代を確認する。
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