代役①【連載台本・世にもになるまで書いてみた・54作目】
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○ 稽古場
とある劇団の稽古中。
10名ほどの小劇団。その前には主人公と助演出が稽古を見ている。
かなり真剣な雰囲気。
1人の女優Aのアップ。
A えっと・・・ えっと・・・ すみません。もう一回いいですか?
主人公 怒って立ち上がる。
主 おい! 止めんなつってんだろうが! 何回目だ何・回・目!
A ごめんなさい・・・
主 謝るくらいならセリフ覚えて来いよ!
別の男優Bと女優Cが止めに入る。
B 【主人公名】さん。あんま怒んないであげて下さいよ・・・
C そうですよ! AもAなりにがんばってますし・・・
主 なんだお前ら。俺に文句あんのか?
全員黙り込んでしまう。
主 ったく・・・
(Aに向かって)いいか?
テメェの代わりなんていくらでもいるんだよ!
次ヘマしたら即交代するからな。いいな?
A ・・・・・・・・・。
主 おい! わかったなら返事しろ!
A 稽古場を飛び出し、去ってしまう。
B あ・・・! ちょっとAさんどこ行くの!?
Bと助演出 Aを追いかけようとするも・・・
主 おい! 時間の無駄だ。ほっとけ。
B なんで止めるんですか! 追いかけましょうよ!
主 いいだろあんな奴。戻って来たってまた同じ事繰り返すだけだろ。
B でも・・・
主 あ?
B ・・・・・・わかりました。
主 じゃあもう一回今のシーン頭から。
あ、Aのセリフは【助演出名】。お前が読め。
助 ・・・はい。
主 お前ら準備良いか? 返事!
一同 返事。やや力なく。
主人公 なぜか得意げな表情を浮かべている。
タイトルテロップ『代役』
○ 稽古場から最寄り駅までの道
稽古終わり。
B・Cが最寄り駅に向かって歩く。顔には疲れが見える。
B あー 疲れたー
C 今日もキツかったね。
B なんかいつも以上にキレてなかった? あの爺さん。
C Aに頭来てたんでしょ。だからって私たちに当たるなって!
B ホントだよなー てかさ・・・ ん?Aからだ。・・・・・・は?
C どした?
B ・・・あのさ。ちょっと「仕返し」しないか?
Aから面白い提案が来たんだよ。
C 提案?
B これ見てくれよ。
B Cにスマホを見せる。画面にはAからのメッセージ。
C ニヤリと笑う。
C ・・・いいねぇ。やってみよっか。
B くれぐれも内密にな。
C もちろん。バレたら一巻の終わりだしね・・・
2人 何かを企む。
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