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もぐり ③/全5話【創作台本・世にもになるまで書いてみた・100作目】

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〇 大学・大講義室

 回想。1年生の時の映像。主人公の顔も若干ではあるが、あどけない面影が残っている。
 主人公 講義を真剣に聞いており、ノートを取っている。今とは違い、かなり真面目な学生。時折周りをキョロキョロと見渡し、不安そうな表情を浮かべる。

主 (声のみ)
  先輩に頼まれ、代講として「もぐり」をしたのがきっかけだった。
  初めはバレるのが怖かったが、次第に恐怖感も罪悪感も薄れていき、
  今じゃ「もぐり」が日常の一部。なんなら就活もしていない。
  何せ俺は卒業後も「もぐり」を続け、これで食べていこうと決めているからだ。もちろん本気だ。
  「もぐり」のためなら命を落としても構わない。
  むしろ命を懸けて講義にもぐる。それが俺の信念だ。

〇 大学・講義室

 いつのまにか教室を移動し、別の講義を受けている主人公。先ほどよりも狭い教室。
 主人公は一番後ろの席どころか、出入り口の前で立って受講中。
 先ほどと同じく、机の上にはレジュメも教科書も筆記用具さえもない。

主 (声のみ)え?「もぐリスト」って何? 
  君たちは本当に「もぐり」について知らないんだな。
  「もぐリスト」というのは、俺のように「もぐり」に熱中する人のこと。「ハルキスト」みたいなもんさ。
  例えばこの教室だと・・・ (教室内をキョロキョロ見渡し)
  (指をさして)お、いたいた。アイツ! あの帽子かぶってる女の人!

 主人公が指さすのは、前から5番目の列にいる女性。

主 あいつは講義ごとに身なりを変えて、受講する「もぐリスト」。
  1限目はメガネ&三つ編みの優等生風、2限目は茶髪ギャル、そして今は清楚系・・・
 噂だと、誰も彼女の素顔を見たことがないらしい。
 まさに「もぐり界の100面相」。
 ・・・お! こいつもいたのか!

 次に指さしたのは、前から8列目にいる男性。学年に何人かはいそうなメガネ男子。

主 こいつはどこにでもいそうな顔を生かして、サークルの仲間内にもぐりこむ天才。
  なんならサークルの合宿にも潜り込んだ経験もある、人呼んで「もぐり界のカメレオン」。
  彼のように講義以外にも潜り込むヤツも多い。例えば・・・

〇 学食

 主人公 学食の列から少し離れたところで、調理場を覗いている。
 視線の先には白米が乗った皿にカレーを掛ける男性。

主 (声のみ)彼は勝手に学食に潜り込んで、スタッフとして働く「学食もぐり」。
  もちろんお金は貰っていない。
  1円でも貰ってしまうと「もぐり」ではなくれっきとしたバイトになってしまう。
  他にも「学生生協もぐり」「図書館もぐり」「清掃員もぐり」・・・

 様々なもぐりを説明する主人公に、2人の男子学生とぶつかりそうになる。
 男子学生たちは喋りに夢中で主人公に気づいていない。

A なぁ頼むよ~ 報酬もあるからさ!
B いいけど大丈夫? バレない?
A 大丈夫だって!

 主人公 とっさに避け、衝突は回避。

主 おっと危ない!

 男子学生たち 謝りもせず素通り。

主 ・・・少しくらい謝れっての。。。
  (時計を見て)あ、やっべ。もうすぐ体育じゃん! 急がなきゃ!

 主人公 体育館へと急いで向かう。


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