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風景のレシピ #4“夕景・手・オブジェ”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ#4“夕景・手・オブジェ”

調理時間:5h

材料:
太陽:ひとつ
手に持つオブジェ:自由に
傾いた木々:適宜
通行人:数人
もや:適宜
街区:少し


1.太陽は少し冷ましておき、大気中にもやを拡げ、ゆっくりとのばしていく。


2.家々を建て、日にさらす。
  美術館らしき建物をひとつ、広場をひとつ。


3.視界に入ったオブジェ(*)を手に持ち空間にかざす。(*オブジェ:本作例ではフィラメントが切れた電球)


4.帰路に就く人々を配置する。


5.傾いた木々を配置しながら、空間のバランスをとり、できあがり。


調理のコツ
*熱された空間に潜む冷涼感を意識する。

自然の法則にとらわれない 見慣れたものほど
歴史的建造物らしき 過剰な畏怖感を持たないことが大切
電球のガラス内部の触れられない空気
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

★「風景のレシピ」マガジンページはこちら
#1 “眠たい海辺の町”
#2 “石と流木のある部屋”
#3 “松林の散歩者”



◎好評既刊◎
『窓から見える世界の風』福島あずさ著、nakaban絵(創元社、2018年)
『あの日からの或る日の絵とことば』筒井大介編(創元社、2019年)