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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》

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太平洋戦争末期、小笠原諸島に位置する大戸島の守備隊基地に不時着した特攻隊員・敷島浩一(演:神木隆之介)が偶然、ゴジラに遭遇したところから始まる映画《ゴジラ-1.0》。『特攻文学論… もっと読む
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#山崎貴

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第8回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第8回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

⑧なぜか日本だけに襲来するゴジラ 専守防衛を戦え!
★ネタバレ注意★
映画《ゴジラ-1.0》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ映画鑑賞後にまた読みにいらしてください。

人びとの心をつなぎ、力を発揮させる「祖国スイッチ」坂元 第7回で「祖国」というキーワードが出てきました。最初に少しおさらいしておきたいのですが、「祖国」

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第5回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第5回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

【祝】日本アカデミー賞8冠、そして米アカデミー賞視覚効果賞の受賞おめでとうございます!!

⑤脱走兵・敷島、父になるってよ 生物的な父でなくても「おまえのお父ちゃんだ」★ネタバレ注意★
映画《ゴジラ-1.0》のネタバレが含まれていますので、知りたくないという方はこの先、ご遠慮ください。そして、ぜひ映画鑑賞後にまた読みにいらしてください。

敷島は特攻隊の生き残りらしくない!?

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第2回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第2回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

②ゴジラってなんだ? 井上のゴジラ、坂元のゴジラ戦死者への負い目がゴジラを目覚めさせる

井上 僕は、ゴジラ・シリーズを全く観てこなかったんです。『未来の戦死に向き合うためのノート』を書いたとき、戦死にどう向き合うのかを思考し続けてきた大先輩である、批評家の加藤典洋氏のゴジラ論(『さようなら、ゴジラたち―戦後から遠く離れて』岩波書店、2010年)を読んで、これは面白いと興味を

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特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第1回|井上義和・坂元希美

特攻文学としての《ゴジラ-1.0》|第1回|井上義和・坂元希美

(構成:坂元希美)

①イントロダクション 特攻文学とは何か 2024年は日本が誇るキャラクター「ゴジラ」の生誕70周年です。昨年11月、シリーズ通算30作目となる《ゴジラ-1.0》が公開されました。山崎貴(1964年生)VFX・脚本・監督による太平洋戦争末期から敗戦直後の日本を舞台とした作品です。

 日本では公開後、2週連続で映画ランキング1位を獲得、24年1月12日には世界興行収入が140億

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