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ソフトディバイスの歴史 連載第3回「softdeviceに込めた意味」

この記事は、ソフトディバイスの創業者である高橋賢一が、社内報の連載記事向けに執筆したものです。ソフトディバイス の成り立ちから、高橋が代表を退きフェローとなるまでのストーリーが高橋の視点で語られています。

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なぜソフトディバイスという名に?

事務所の名称がいいかどうかは、もう耳になじんでしまって、私には客観的な評価はできないが、周りからのマイナス評価は聞こえてこない。むしろ「インタフェースをするのに最適で先見の明があったね」と言われることが多い。でも、まだインタフェースにかかわっていない時になぜこの名前になったか?


事務所の名前を決めるときに考えた条件は、まず

第一に、個人事務所であっても個人名は避けること。
うまく個人事務所から発展して法人になってさらに現役を引退しても事業が継続されるためには流りや特定の個人名を使用しないこと。


第二に、海外でも通用するための英語表記、しかも日本人でも発音しやすく、覚えやすいこと。

第三に、他に類似の名前がなく、今後も出てきそうでないこと。

"device"の部分はofficeやfirm、studio、organizationなどがよく用いられるがそれらとは違ったものにしたかった。デザイン事務所でdeviceというのはいまだかって聞いたこともない。

実はインターネットが普及して独自のドメインをとるために調べて分かったのだが、アメリカに"soft device"という会社があるのを知った。どうもパソコンの周辺機器やソフト開発をしている会社のようで、もしもアメリカ進出ということになれば、多少気を付けなければ・・・

それはともかく、なぜ"soft device"になったかであるが、”soft”を選んだことには様々な背景がある。

作業量ではなく、知恵やノウハウを評価して欲しい

東京でプロダクトデザイナーとしてスタートし、関西に戻ってきたぼくが、一番最初に感じたことは、デザイナーの扱いの違いである。東京では知恵やノウハウを買ってくれるが、関西では作業量を評価する傾向がある。スケッチ枚数や、モデルの点数、工数でデザイン対価を決めたりする。多くのデザイン事務所がその暗黙のルールで仕事を受けているので、新参のデザイン事務所が反旗をひるがえすことはなかなか困難な状況にあった。なんとかそのルールを崩して、知恵やノウハウというソフトを商品にしたいという思いがあった。

soft=知恵やノウハウ

また当時マーケッティングの世界を中心に「モノよりコト」「ハードよりソフト」という考えがひろがり、コンピュータのソフトウェアが産業として大きな成長を始めた時期でもあり、「ソフト」という言葉が幅広い文脈で使われるようになってきた。 ただ命名時はまだプログラミングも趣味レベルで、ソフト開発をめざしたわけでもなく、あくまでデザインとは別物として扱っていた。そのため"soft"にはインタフェースやソフトウェアという意味は含まれず、コト、知恵、ノウハウ、メタデザインを成果として生み出せるデザイン事務所を目指した思いが込められている。ユーザ、クライアントや社会のニーズや思いを新しい価値や未来に変換する装置のような働きをしたいと意図があった。


インタフェースデザインを想定していたわけではないので、softという言葉はsoftwareを指してはいなかったが、現在では業務内容にマッチした名前として理解されているのではないだろうか? 初期よりは広義になるが、コト、知恵、ノウハウなどに加えてソフトウェア、インタフェース、作法、あえて加えるなら”未来”をデザインをするという意味を込めたいものである。


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