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ホークス・Jリーグコラボの舞台裏(後編)~キーマンに聞くファイト!九州の未来~

こんにちは。マーケティング・コミュニケーション部の中澤です。

ホークスが九州を元気にする活動「ファイト!九州」。
九州各地のJリーグクラブとのコラボグッズ実現のキーマンとなった日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の竹内亮さんとホークス社員による座談会、後編です。

後編のテーマは、野球とサッカーそれぞれの違いを感じることや今後の相互送客の可能性について。コラボを通じて意気投合した3人の"熱気"あふれるトークをお楽しみください!

※前編はこちら ↓

<ファイト!九州・Jリーグコラボ座談会>

【公益財団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)】
クラブサポート部 竹内 亮(左)

Jクラブとホークスの橋渡し役として、コラボ実現に尽力
【福岡ソフトバンクホークス】
マーケティング・コミュニケーション部 武内 雅志(中央)

プロモーション担当として、九州を巻き込んだ企画開発を推進
MD事業部 南 一輝(右)
アイテム選定・デザイン作成など、コラボグッズの開発を担当

ーーコラボを機にお互いの試合会場に行った時の印象は?

H南:恥ずかしながら、これまでサッカーは代表戦を見るぐらいだったんですけど、会場に行ってみてファンの方がすごく熱いなと感じました。例えば、ロアッソさんのスタジアムに行くと、試合の前日にファンの方がボランティアで設営を手伝っている。 野球では考えられない感覚なので、自分が時間を使ってでも手伝いたい、貢献したいって思ってくれるファンがいるんだなという、密度の高さを感じました。

H武内:単純に試合数も全然違いますよね。野球はホーム6連戦もありますが、サッカーは2週間に1回くらいでしょうか?1試合にかける熱量はファン目線でもそうですし、運営目線でも全然違うなと感じますね。

H南:運営スタッフの方も、自分たちのチームが純粋に好きっていう人が多いですよね。スポーツをビジネスとしてやっている部分もありつつ、 チームが勝ったらめちゃくちゃ喜ぶとか、チームに対する愛がクラブの皆さんからすごく垣間見えます。V・ファーレンさんの試合に行った際も、ルヴァンカップで点を取って「これで延長戦に入れる!」という時の盛り上がりはスタッフの方もすごくて、めちゃくちゃ飛び上がって喜ぶ。結果、オフサイドだったんですけど…。
それぐらいの熱を持って自チームを見てるというのは、学ぶところがすごく多いなと感じました。

今年のV・ファーレン長崎コラボは6/9。ルヴァンカップ新潟とのプレーオフ当日に開催

H武内お客さんとの距離も近いですよね。会場を歩いていたら普通にサポーターの方に声をかけられたりしている。 良いことも悪いことも言われるんだと思いますが、僕たちはプロモーションの仕事をしていながら、お客さんのリアルの声を聞くチャンスはほとんどなかったので、そこの距離感の近さは羨ましいなと思いました。

ーーJリーグ側から見て、野球の興業はどのように見える?

J竹内:同じ球技ですが、興行面では全然違うスポーツだなって思います。サッカーだと1点入るかどうかの戦いなので、トイレに行きたくなってもハーフタイムまで我慢したり、飲食を買いに行くのもハーフタイムにみんなが集中します。エンタメとしては野球と異なるなと感じるところもあります。

野球だと自チームが守備の時に外に人が出ていったりしますし、コアファンはもちろんのことライトな方々がふらっと行って楽しめるような雰囲気作りとか施策が随所に盛り込まれていますよね。良い意味で緩く長い時間見られる。勝っても負けても楽しい1日を過ごせるように、エンタメとして作り込まれているなと感じました。

ーースポーツビジネスとしては異なる点が多い?

H武内:私も、同じことをやろうと思ってもできない事も多いように感じます。ホークスではたくさん試合があるからできるようなことを、Jリーグさんでやろうと思っても試合のスパンも違えば、タイミングも合わなくて、興行のところではお互い真似できないようなことの方が多いかもしれません。

J竹内:ホームゲーム数の違いは大きくて、例えば今ホークスさんでは交流戦グッズを出されてますけど、Jリーグで例えばルヴァンカップでもカテゴリーが違うチームが来るタイミングがありますが、そこでコラボグッズを出して1回で売り切れる数量で作っても、マーケティング観点ではなかなか難しいことの方が多く、今回のような規模感で展開することはできなかったと思います。
ホークスさんの規模だからこそ考えられていることも多いですが、真似して取り入れられることはやっていきたいと思っています。

H武内:お客さんがいっぱい来て、喜んでもらいたいという気持ちは同じですけどね。

J竹内:そうですね。だからこそ、協力できることがいっぱいあるなと思います。普段はサッカーを見に来るけど、ホークスも好きだっていう人がいて、その層にうまく刺さるようなものができたのは、元々九州にホークスさんの人気が根付いていたからこそだと思います。

ーーグッズの面で共通点はある?

H南:MDの視点では似ているかなと思っています。 ホークスでも2週間に1回ぐらい新商品を出していますが、Jリーグさんも試合ごとのスパンが大きく空いてしまうことを考えると、 その1試合に期待するお客さんの熱量の高さに応えられるように、とにかく新しいものをどんどん出していかないといけないはず。今回のコラボでお互いに新グッズを販売することができ、売上も上がっているので、苦労してもやる意義はあったかなと感じています。

J竹内:確かにグッズ観点ではおっしゃる通りですね。九州のクラブでそれぞれ規模感は違いますけど、基本的にはやはりコアサポーターと呼ばれる、1番熱量の高いゴール裏に集まる方々に、どれだけ同じ財布を開けていただくかが収益面ではカギになってくるので、マンネリ化させないためにも今回のコラボはありがたかったです。

ーー相互送客の可能性は感じている?

J竹内:Jリーグコラボとしてアビスパの湯澤聖人選手ギラヴァンツの田中悠也選手がドームのグッズショップに行って宣伝活動をやらせていただいたり、ドームの外でチラシ配りをしながらホークスファンと交流したのですが、普通にドームにもJリーグサポーターがいましたね。私は長崎のサポーターだからと言って受け取ってくれない人もいましたが(笑)。
だから、ちゃんとJリーグサポーターがドームの野球観戦にも来てくれていて、逆もしかりだというところは、実体験として証明できたなと。

H武内:これがなかったら気付けないですもんね。ドームにいるホークスファンとして見ていた人が、まさか長崎サポーターだなんて。逆にサッカーしか見なかったけど、ホークスとコラボしてるんだったら、1回そっちも見に行ってみようかという流れにもできたらいいなと思います。

ーー野球とサッカー、見方によっては競合になり得る関係性では?

H武内:そこは取り合っているわけではなくて、ホークスのファンになってもらったから、アビスパさんとかギラヴァンツさんのファンが減るのかというと違うと思うんです。 野球はホークスファン、サッカーはアビスパサポーターという両立が普通にあり得る世界線で、むしろそこの割合を相乗効果でどんどん底上げできるのかなと可能性を感じています。

H南:宮崎でホークスのグッズストアに全身テゲバジャーロの恰好をした親子が買いに来てくれたんですよ。普段はホークスのことは見ていないかもしれないテゲバジャーロを推している人が足を運んでくれるということは、やっぱりお互い好きっていうのが成り立つんじゃないかと実感しました。

H武内:V・ファーレンさんの試合にも、普通にホークスの鷹の祭典ユニフォームを着て来てくれる人もいますからね。取り組みが伝わってくれていて嬉しいです。

ーーJリーグとしても今回のコラボは成功と言える?

J竹内:元々、相互送客はできるんじゃないかなと思っていたので、狙い通りになってるかなと感じています。お客さんの来場観点でもそうですし、おそらくグッズのところもドンピシャに刺さる層がいっぱいいて、喜んでいただけました。
メディアの露出でも、カテゴリーが低いギラヴァンツさんとかだと、単品で露出するのはなかなか難しいところですけど、そこはホークスさんの力もお借りしながら、このコラボの目新しさも含めて、メディアの皆さんにも注目していただいたりもしてるので、そういったところで今は悪かったところがあまり見当たらないですね。
プロ野球が土日で2週に1回、試合をすることになったら話は変わりますが(笑)。ここが変わらない限り、うまく住み分けできると思っています。

ーー競合で取り合うのではなく、相乗効果で両方のファンを増やしていける

J竹内:スケジュールが被ってない証明として、イベントに協力してくれたギラヴァンツの田中選手が、思いっきりホークスファンだったので(笑)。自分自身も練習や試合があるはずだけど、ホークスの試合も見ている。今回はひとまずグッズと各クラブさんとの交流という形でしたが、今後の展開に向けては大きな1歩だったのかなと考えています。

ーーもっとこんなことができたらいいなという野望は?

H武内:めちゃくちゃあります。グッズはもちろん、 V・ファーレンさんでやらせてもらっているようなマスコット交流だったり、逆にどこかのクラブさんにドームに来てもらったり。お金のことを置いておけば、もっと話を大きくしてJリーグデーとかもやりたいぐらいです(笑)。

他にも、「昼にアビスパの試合を見て、夜にホークス戦を見る」みたいな1日パッケージのスポーツ観戦プランとか、オフに選手同士の交流企画をしたり、スポーツ振興の面では 野球教室とサッカー教室を一緒に同じフィールドでやるとか、いろんな角度で考えていきたいです。
あとはファイト!九州プロジェクトの観点でいくと、やはりどうしても試合をできない県が今のところあるので、そこに対してのアプローチをもっと広げていけたらと思っています。

長崎では、V・ファーレンのホームゲーム会場で野球教室も実現

ーーグッズもまだ拡大の余地がある?

H南:次回はエンブレムだけじゃなくて、マスコットコラボまでやりたいですね。
今回のコラボグッズで下地ができたと思ってるので、次年度以降はもう一歩踏み込んだコラボを各クラブさんとやっていきたいなと考えています。

例えば、 同じ背番号とか、出身地が同じとか、選手同士の関係性で成り立つグッズもできるはずですよね。あとは、アパレル。普段身につけてても全然使えるように、一見スポーツの物じゃないように見えるけど、よく見たらチームのグッズ、というようなシティユースできるアパレルもやってみたいです。

H武内:サポーターの方って、好きなクラブを自分のアイデンティティと考えているように思うので、アイコン的なグッズになればいいですね。それが応援グッズだけじゃなくてシティユースできるものになれば最高です。

H南:私は勉強のために、現地に行ったクラブさんのTシャツを毎回1枚買って帰っています(笑)。

J竹内:ありがとうございます。九州制覇してください!

ーーJリーグとしてはどんな展開を目指していく?

J竹内:南さんにおっしゃっていただいた通り、グッズは今年で下地ができたかなと。
どのくらい売れるかかなり謎めいてたところでしたけど、まずは成功してホッとしてます。ポテンシャルはわかったので、あとは売り終わったタイミングで各クラブのご意見を聞きながら、今後どうやったらパワーアップできるか考えていきたいですね。

集客面では、やはり相互送客の取り組みにはまだ伸びしろがあります。観戦ツアーを組んだり、ホークスさんにも来ていただいて盛り上げられるようなコンテンツ開発だったり、今季は時間切れでもあったので来年以降に考えていきたいです。

夢の話で何年・何十年先になるかもしれないですけど、将来的にはオフシーズンの交流企画がそのシーズンの見物みたいになって、そのイベント単体で人が入れられるようになって、そこでお金も入るような仕組みになっていくと面白いですよね。
地域に根付くのはJリーグの理念でもあるので、もちろんオンシーズンでスタジアムを埋めていくこともがんばらなきゃいけないですけど、オフシーズンも使って九州を年中元気にしていくためにも、そんなことが実現したらいいなと思っています。

ーー最後に今回の取り組み対する想いを一言

H武内:今年のファイト!九州は「九州を湧き起こせ」というテーマで、九州の皆さんにどれだけ楽しんでもらえるかを考えてきました。九州すべてにクラブがあるJリーグさんと連携させていただけたのは、福岡を飛び出して活動範囲を広げる上でも大きな一歩でした。
今後もJリーグさんだけに限らず、プロのスポーツチームとの交流をどんどん広げていければと思っておりますので、ぜひ今後の「ファイト!九州」にもご注目ください!

新たな可能性を見出した3人の活躍に、今後も目が離せません!

以上、Jリーグクラブサポート部の竹内亮さんをお迎えして、ホークス社員との熱気あふれるトークをお届けしました。
ファイト!九州デー当日は、コラボ実現に向けて奔走した担当者の想いも感じながら、商品を手に取っていただけたら嬉しいです。

ファイト!九州プロジェクトは、社員はもちろんのこと、想いに賛同いただける色々な方の支援を受けながら、今後も取り組みを続けていきます。
ホークスファンの皆さまも、九州のJリーグサポーターの皆さまも、ぜひ今後の展開をご期待ください!

(取材・文:マーケティング・コミュニケーション部 中澤 佑輔)

■今後の「ファイト!九州デー」開催日程
6月21日(金)対千葉ロッテマリーンズ@北九州市民球場
6月23日(日)対千葉ロッテマリーンズ@みずほPayPayドーム
8月28日(水)対オリックス・バファローズ@長崎・ビッグNスタジアム

■ファイト!九州 Jリーグコラボグッズはこちら


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