白河 酸

プラスチックでキャンディポップな詩を書いています。

白河 酸

プラスチックでキャンディポップな詩を書いています。

最近の記事

『14/詩』

正午に弾けたしゃぼん玉 夢の出口にはまだ行きたくないの だってきっと死んでないもん 目覚めのキスはうさぎのぬいぐるみ やっぱり今日も脈打ってる 学校はきらい 先生はわたしを間違いだと言う そんなの気づいてる 神様はそれを間違いなんかじゃないと たとえ世界が正しくても わたしを正義にしてくれる 枕元に並べた 白い小さな花のブーケとこんぺい糖 それと一番のお気に入りの 十字架のネックレス 今夜も眠る前におまじないをかける 早くここから連れ去って もうすぐわたし おとなにな

    • 『書くということ/エッセイ』

      詩を書く時はその時の感情、感性で書くことが多い。 なので、時間が経ってから改めて読み返してみると恥ずかしくなったり、 なぜこんな一文が出て来たのだろうと思うことが多々ある。 『昨日』という詩はその代表だ。 この詩は書いてから半年以上ノートの中で寝かせていた。 このままお蔵入り……でもせっかく書いたのだから……。 お蔵入りと公開を行ったり来たり、悩む日が続いた。 その間にも新しい詩が生まれる。前に書いた詩は大体が霞んで見える。 しかし、『昨日』という詩は変わらずに、色褪せること

      • 『エンジェルリング/詩』

        砂糖をしきつめたタッパーに 輪切りのレモンを重ね 蓋をして冷蔵庫で寝かせる 天使の輪っかみたいだね あの子の視線の先に映るものが わたしでなくても わたしは悲しまない 永遠という言葉が好きだった 永遠を選んで  永遠の砂糖漬けとなったあの子 窓辺のサンキャッチャーが 光の粒を作り出す きれいだね あの時のあの子もきれいだった わたしは永遠にあの子を赦さない

        • 『魔法少女/詩』

          あの子のようになりたくて プラスチックの赤いペンダントが わたしの胸元で キラキラと光を反射させる 大丈夫だよ わたしを呪うその言葉 混沌 破壊  でも最終回はラブ&ピース 苺パフェをぐちゃぐちゃに かき混ぜたみたいな世界は あの子が守ったバラ色の世界 二本目の煙草が灰になる 救うよりも救われたい 弱いわたしは魔法少女 かわいい服を着て かわいく滅んでしまいたいの

        『14/詩』

          『画面越し/詩』

          ぽろぽろと 無音の悲鳴を上げながら剥がれ落ちる ぼくを形成している極彩色のピース 今までありがとう 幸せになります きみの幸せの外側のぼく 落ちたピースをひとつひとつ大切に拾い集め 引き裂いた枕に詰め込んだ 消えないように 忘れないように 具合の悪い枕で大粒の涙を流しながら 海の底で窒息するように眠りにつこう 歌うことを忘れてしまったきみへ ぼくはきみが好きでした

          『画面越し/詩』

          『昨日/詩』

          あの日飲み干した珈琲はほろ苦かった サワーシガレットでは物足りなくて 二人で食んだ赤い果実 竹下通りで買ったお揃いのキーホルダー あれはどこに行ったっけ 交換日記も五冊目が終わる 最後の頁には何を書く? おもちゃのピストルで互いの心臓を撃ち抜く ハッピーエンドなんて望まない ハートの棺で今夜も眠るの ほどいたリボンと脱ぎ捨てたローファー 鞄の中にはお守り代わりの百円ライター 安全ピンで繋ぎ合わせた安物の日常 「また明日学校でね」

          『昨日/詩』