見出し画像

再生プラスチックでできたバーカウンター|シンガポールのアナログがハイテクだった

筆者のマガジン「食の未来|トレンド&インサイト」では、世界各国でのフィールドワークをもとに、最新の食トレンドと消費者インサイトや、日本の食産業が進むべき未来とそのステップを、国内外の豊富な事例とともに紹介しています。

本記事では2023年8月にシンガポールで訪問した、再生プラスチックをもとに3Dプリンターで造形したバーカウンターが面白い「Analogue」(以下、アナログと記載)の取り組みについて紹介します。



1. ここにある未来「アナログ」とは?


アナログは持続可能なフードシステムをつくることを理念に、環境負荷を最小限に抑えた食材調達と、資材やエネルギーの使用方法の見直しを通して、ひとにも地球にも優しい未来づくり取り組んでいるバーです。

よりサステナブルな食体験を届けようという意思を持つ、若くて個性的なスタッフ集まってチームで運営しています。店内の喧騒とまくし立てるようなシングリッシュ(シンガポールなまりの英語)から、彼ら / 彼女らの自信と勢いを感じます。


2. 再生プラスチックと3Dプリンターで造形


アナログの名物とも言えるのが、店内をぐるっと囲むバーカウンターです。

1,600kgのリサイクルペットボトルを素材に使用し、3Dプリンターを使って波を打つように長さ20メートルに渡って造形しています。撮影時に映えるようにスポット照明が多用された、よくできた空間デザインです。

波を打つように造形されたバーカウンター|2023年8月に筆者撮影


またコースターも様々なリサイクル・プラスチックが再利用されています。残念ながら吸水性はないので、カクテルを飲むたびに、グラスから滴が垂れてきました。

3Dプリンターにより造形されたテーブルと、マーブル模様のコースター|2023年8月に筆者撮影


今回は食事のあとに訪問したため料理は食べませんでしたが、食事メニューはすべてプラントベースで提供されています。


店内では若者同士がプラントベースの唐揚げとカクテルをカウンターでつまんだり、ファミリーがテーブル席で食事をしていたりと、日本のバーとは少し趣が異なっていました。


3. カクテルのお味は、ちょっとケミカル


さて肝心のカクテルの味はと言うと、カラフルでケミカル。

筆者はパッションフルーツのカクテルを注文したのですが、インスタ映えするカラフルなお酒に、フレーバーを追加して、飾りをのせたら出来上がり。

お店のコンセプトに合っているのか、はたまた相反しているのかは分かりませんが、ひさしぶりにかき氷のシロップのような、ケミカルなカクテルを味わいました。

価格は1杯26シンガポールドル(約2,800円 / 税サービス込)|2023年8月に筆者撮影


シンガポールの消費者はSDGsへの意識が高く、「環境に優しい製品を購入するためであれば、より多くの金額を支払う意思がある」と回答した人は85%に上ります(Unpacking Asia-Pacific Consumers’ New Love Affair with Sustainability)。

シンガポールのフードテック最前線(下記の記事)でも紹介した通り、日本よりも食の変化が早く、SDGsへの意識が高いシンガポール。尖ったコンセプトやテクノロジーで勝負する飲食店が、続々と増加しています。




筆者が代表を務めるフーズフーズでは、日本の食産業が進むべき未来を示すガイドブックを毎年刊行しています。

2023年のガイドブック「whose foods magazine 2023|Explore the Future of Food」は、2022年の秋に国を越えた移動と観光が再開している世界6カ国12都市を48日間かけて調査したフィールドワークに基づき作成されました。

第一部では最新の食トレンドと消費者インサイトを、第二部では日本の食産業が世界に通用する食体験を届けるためのステップを、国内外の優良事例とあわせて紹介しています。詳しくは下記をご覧ください。

ここから先は

0字
本マガジンをご購読いただきますと、すべての記事の全文をご覧いただけます。

世界各国でのフィールドワークをもとに、最新の食トレンドと消費者インサイトや、日本の食産業が進むべき未来とそのステップを、国内外の豊富な事例…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?