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【うめきたTalking'about】 世界の食トレンドと消費者が求める3つの役割を紹介しました|Q&Aも紹介

2023年10月12日(木)にグランフロント大阪の都市魅力研究室で開催された「うめきたTalkin’ about」に筆者がゲストとして登壇し、世界の食トレンドと消費者が求める3つの役割をテーマに話題提供をしました。

本記事では話題提供の概要と、参加者のみなさんとの意見交換の一部を紹介しています。なお本記事は、筆者が代表を務める株式会社フードピクトの大学生インターンによる取材原稿を編集しています。



1. 世界の食トレンドと消費者が求める3つの役割


こんにちは、株式会社フードピクトの菊池信孝です。
弊社は「より良い食体験をすべての人に届ける」ことを理念に、食の多様性に対応するフードピクト事業や、持続可能性に対応するプラントジャーニー事業を展開しています。

本日のテーマに関係しますので、まずはそれぞれの事業について3分間の紹介映像をご覧ください。


さて本日のテーマは「世界の食トレンドと消費者が求める3つの役割」です。最初にイメージを共有いただくために、1本の木を描いてきました。

弊社では世界の食トレンド(木の幹)を捉えて、さまざまな事業(枝葉)を展開しています。事業を組み立てる視点として、日々変化する食トレンドを追いかけるのではなく、食トレンドを生み出している消費者インサイト(土壌)を理解しようと、国内外でフィールドワークを続けています。

木のイラスト。世界の食トレンド(木の幹)を捉えて、さまざまな事業(枝葉)を展開している弊社ですが、日々変化する食トレンドを追いかけるのではなく、その食トレンドを生み出している消費者インサイト(土壌)を理解するために、毎年国内外でフィールドワークをしています。
消費者インサイトという土壌から、食トレンドという幹が伸び、枝葉と果実が実ります。


例えば、直近1年間では世界9カ国15都市を巡り、Future Food TechPlant Based World Expoなどの国際会議や展示会、Basque Culinary CenterSan Sebastian Gastronomikaなどの世界の食を牽引する大学や料理学会、AZTIAngulas Aguinagaなどの先進的な研究機関やフードテック企業を訪問し、消費者インサイトを調査しています。

世界地図。直近1年間では世界9カ国15都市を巡り、Future Food TechやPlant Based World Expoなどの国際会議や展示会、Basque Culinary CenterやSan Sebastian Gastronomikaなどの世界の食を牽引する大学や料理学会、AZTIやAngulas Aguinagaなどの先進的な研究機関やフードテック企業を訪問し、消費者インサイトを調査しています。
世界のフードテックを牽引するアメリカ・イギリス・シンガポールや
食トレンドを牽引するスペインのバスク地方など、9カ国15都市で調査しました。


調査結果は毎年、1冊のマガジンにまとめて刊行しています。この日は現在販売中のマガジンで紹介している消費者が食に求める3つの役割を、重要なキーワードと6つの事例から紹介しました。話題提供の詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。


2. 参加者のみなさんとの意見交換


筆者による話題提供の後は、参加者のみなさんからさまざまな意見や質問をいただきました。ここではそのなかから5つを、Q&A方式で紹介します。

うめきたTalkin' about当日の様子
会場とオンラインのハイブリットで14名の方々にご参加いただきました。


質問:日常的にグルテンフリーを実践して食生活の見直しをしていますが、グルテンフリーの食品は海外からの輸入が多いため高価で、続けるのにお金がかかります。先進国の中で給与が上がっていないのは日本だけであり、経済格差によって食に対しても主体的な選択ができる人とできない人の差が生まれていると思うのですが、どうお考えですか?

回答:確かに日本は他の先進国と比較すると、主体的な選択がしにくい環境だと思います。主体的な選択は所得とも関係しますが「知識とアクセス」のキーワードで紹介した通り、個人の食への関心度と企業からの情報の開示度とも大きく関係しています。

さきほど紹介した以下の事例のように、日本は欧米と比較すると消費者が食べ物を選ぶ時の判断基準となる情報の開示が遅れていると感じます。所得の多寡に関係なく誰もが主体的に食事を選べるようになるために、まずは情報開示から進めていく必要があると思います。


質問:仕事柄、親子と接する機会が多く、子どもに優しい食材を与えたいという親御さんの声をよく聞きますし、私自身もそのように思っています。菊池さんのお話を聞いて、食に対する関心を子どもにもっと持ってほしい、紹介したいと感じました。子どもに向けて何かしていることはありますか?

回答:フードピクト事業の売上の一部を、筆者が設立して現在は代表を交代しているNPO法人インターナショクナルに寄付して、小中学校向けに食育の出前授業を無償で提供しています。昨年度は本社がある神戸市の公立小学校だけでも15クラスに授業を提供することができました。

また子どもに食への関心を持ってもらうためには、学校だけではなく家庭で実践できることも沢山あります。筆者は自宅のベランダに段ボールコンポストを設置して、日々の料理で出る野菜クズや魚の内臓を堆肥化しています。その堆肥を使って家庭菜園もしているため、野菜が育つ過程を子どもが見ることができますし、自分で育てた野菜は好き嫌いなく食べています。


質問:食材の価値について、日本と海外で何か違いはありますか?

回答:国によって様々なので一概には言えませんが、価格と価値の2つの視点から考えてみると、例えば先日出張したシンガポールは食材の9割を輸入に頼っているため、食材の価格は非常に高いですが、価値が高い食品はあまりないという印象があります。

食材の価値について考えると、例えば旬の野菜は栄養価においても野菜としての価値が高いにもかかわらず、旬の季節には収量が多いため価格が下がる(値崩れする)ことがあります。世界共通の課題として食材の価値を正しく価格に反映させる仕組みをどう作るかが課題だと感じます。

質問:新聞記者をしていますが、今年聞いた話の中で一番撮れ高のある話でした。海外視察で得たものを、どのように分析・整理しているのですか?

回答:筆者の場合は、あえて視察の目標や目的を決めすぎずに、食の国際会議や展示会、先進的な大学や企業を積極的に訪問し、広いアンテナで観察するように心がけています。そして現地で見聞きしたことをnoteにストックしていき、それを毎年分析・再編集してマガジンにまとめています。


質問:フードピクト事業が社会貢献と経済活動をうまく両立することができている理由はなんですか?

回答:最初から意図的に計算できていたわけではありませんが、フードピクトのデザインをサブスクリプションで提供している点が、顧客にとっては低価格で利用しやすく、弊社にとってはストックになるので安定的な経営につながっていると思います。社会性と経済性を両立するためのビジネスモデルは、お客様の方が答えを持っていることが多い気がします。


3. 大学生インターンの感想


プラントジャーニーの世界観を体験できるツアーがすごく素敵だと感じました。レストランで食事をされるお客様が、その食材を育てている畑を実際に見に行くという一連の流れをSNSにあげれば、レストランで扱っている食材の品質を知ってもらうことができ、食材を育てている農家さんにもスポットライトが当たるので良いと思いました。またその視聴者がレストランを利用するきっかけにもなるので、世界観を体験できるツアーのことも多くの人に知ってもらえたらと思いました。

また、地元の食材を使った料理が流行れば、地産地消で農業や漁業が活性化します。野菜嫌いの若者が多いなかで野菜が美味しいと知る食体験をしてもらえると、地元の食材に興味を持ってもらえて、魅力を伝えることができると思います。わざわざ都心部まで外食しに行かなくても、地元の食材で美味しくて健康的なものが食べられるといいですね。

海外のスーパーマーケットで食材によってタグの色が分かれている事例は、消費者に分かりやすくていいと思いました。最近自炊するようになりスーパーマーケットに買い物に行く機会が増えましたが、食材についての知識が無さすぎるあまり、大量に陳列されている食材や反対に少ない食材は、なぜそのような状態なのかが分からないことが多いです。

また食材の価格を見ても、それが高いのか安いのかが分からないので、食材の近くに収穫状況がわかるタグなどがあれば、これは旬だから安いのか、これは災害の影響で収穫できなくなったから高いのか、などと消費者が現状を知ることができ、それに合わせて選ぶことができるので、日本でも普及するといいなと思いました。




より良い食体験をすべての人に届ける株式会社フードピクトでは、フードダイバーシティ(食の多様性)に対応する事業として使用食材を開示する絵文字【フードピクト】と、プラントベースの商品開発と顧客体験を支援する【プラントジャーニー】を自治体や飲食宿泊事業者に提供しています。

またガストロノミーツーリズムのコンテンツ造成やファムトリップへの講師派遣もお承りしております。お気軽にご相談ください。

【会社概要】
・社 名:株式会社フードピクト
・設 立:2017年1月23日
・資本金:1,200万円
・所在地:兵庫県神戸市灘区水道筋3-4
・代表者:菊池信孝|代表取締役
・連絡先:hello@foodpict.com


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