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世界の食トレンドと消費者が食に求める3つの役割

2022年11月9日に東京都主催の「ムスリム等多様な文化・習慣に配慮した外国人旅行者受入のためのセミナー」で講師を担当し、世界の食トレンドと消費者が食に求める3つの役割というテーマでお話させていただきました。

本記事はセミナーで話した内容に、事例を紹介する記事のリンクを追記した講演録の前編です。講演のご依頼はプロフィールページの「講演・取材」よりお願いします。


自己紹介


こんにちは、株式会社フードピクトの菊池信孝と申します。

弊社は多様な食文化や食習慣がある外国人旅行者の受け入れに向けて、フードピクトという食材表示の絵文字と研修コンサルティングを、国内100社1,600店を超えるホテルや飲食店に提供しています。

まずは自己紹介を兼ねて、三分間の事業概要の映像がありますのでご覧ください。


さて本日は「食の多様性と世界のトレンド|日本の強みを活かして受け入れるために」というテーマでお話しさせていただきます。

弊社では毎年、食に関する国際会議や国際学会に参加しており、今年も8月から10月までの約2ヶ月間、国を超えた移動と観光が再開している世界6カ国12都市を巡り、最新の食トレンドと消費者インサイトを調査してきました。

本日はそれらの最新情報も紹介しながら、ご覧の3点についてお話しさせていただきます。

本記事では、1. 消費者が食に求める3つの役割を紹介しています。
2. 多様性を受け入れる3つのステップと、3. まとめと参考情報は、後編に続きます。


消費者が食に求める3つの役割|食事は栄養補給から自己実現の手段へ


消費者が食に求める意味や価値が大きく変化していることは、みなさまもご存じの通りだと思います。

マズローが提唱した五段階の欲求のような基本的な食事へのアクセスが満たされている現在、食事は栄養補給から自己実現のための手段へと変化しています。

その変化を象徴するひとつとして、ヴィーガンやプラントベースなどが世界的に流行していますが、本日はそのような表面的なトレンドを解説するのではなく、その背景にある消費者の本質的なニーズを事例とともに紹介していきます。

そうすることにより、みなさまがトレンドを追いかけるのではなく、いま取り組んでいる事業に消費者ニーズをしっかりと取り込んでいただき、事業の成長に貢献することを目指してお話しします。

さて現在の消費者が食に求める役割は大きく下記の3点が挙げられます。
これらの3つの役割を、関連するキーワードとともに見ていきましょう。

1. 主体的な選択|Desire for Control


まず1つめの「主体的な選択|Desire for control」とは、自分が食べるものは自分で選びたいという欲求です。

ここでのキーワードは5つあります。

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