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森林伐採で、ハゲたワッティー 【第7回ワッティーってなに?】

ワッティーの髪の毛はフサフサだった?

アンコールワットの化身だけど、生い立ちなどは一切不明だったワッティー。ワッティーのそんな昔の一端を知ることができる(?)貴重なアニメーションがこの『EcoWatty』だ。

『EcoWatty』は2017年、国際協力機構(JICA)カンボジア環境省とともに、森林保全・林業をテーマに制作されたフルアニメーション。

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カンボジアの森林伐採 は深刻だ。カンボジアの森林減少率は世界で最も高い国のひとつなのだ。14年間で144万ha。東京都の3分の2の面積の森林が消失している。この動画で森林伐採が起こると、どういったことが起こるのかをわかりやすく表現してみた。

今までのワッティー動画と違い、全編横スクロール。そしてクメール語も使われていないので、動きだけでストーリー理解してもらうように作った。

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舞台は緑あふれる農村部。

緑のフサフサの髪を蓄えたワッティーが、犬や動物たちを蹴散らして歩いている。ワッティーはかなり性格が悪い、まさに極悪人だ。

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目の前にある大木を眺めると、家具として売理飛ばせば金になると目を付ける。チェーンソーを取り出すと、いきなり木を切り始める傍若無人ぶり。

すると、天罰が降ったのであろう。自然を破壊すればするほど、フサフサだった髪の毛が少しずつ減っていく。。。

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すっかり荒野になってしまった森林には、木材を運ぶために走るトラックや車でいっぱいになる。排気ガスで空気は汚れ、ワッティーの髪の毛もすっかり寂しいものになってしまっていた。

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車に轢かれ、すっかり傷だらけになってしまったワッティー。それでも懲りずにゴミを捨てたりタバコのポイ捨てをしたりと、全く反省の色はない。

まさにゲスの極みだ。

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荒野には緑もなくなり、一面ゴミまみれ。粗大ゴミや生ゴミで埋まり足の踏み場もないほどだ。ハエや蚊がもワッティーの周りにたかり、虫に刺され肌は段々変色していく。

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雨が降り出すと、ゴミが詰まって大洪水が発生!!すっかり虫に刺されまくり、肌は紫になってしまった病気のワッティーは、洪水に流され溺れてしまったのだ。。。

大怪獣ワッティーの襲来!!

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海に沈んだワッティーは、巨大になって現れる。すっかりと姿は変得て大怪獣化。正直言うと、完全に当時関わっていた『シンゴジラ』の影響があったことを否めない。

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大怪獣ワッティーは、口からトルネードを噴き出すと、町中が大嵐に巻き込まれてしまう。

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そして、口から高熱射光線を打ちかます。まさにゴジラだ。

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しかし、自分自身で撃ったはずのトルネードや高熱射光線のはずなのに、大地は干からびて、ワッティー自体も段々と萎んでいってしまう。まさに自分の身を自分で滅ぼすことになってしまったのだ。

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痩せ細ったワッティーは倒れ込む。気を失ったワッティー。

しかしこのシーンは、企画・絵コンテ段階では大地と一体化する予定だった。しかし、直接的な死をイメージする表現はやめて欲しい(森林は再生可能だから)ということで、気絶をしてしまったように内容を変更することになった。

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するとそこに、スポットライトの光線に包み込まれる。まさに、フランダースの犬の最終回のようだ。

生まれ変わったワッティーは大改心

光を浴びたワッティーは、元の姿に戻って生き返る。

しかし、生まれ変わったワッティーは生き返っただけではなく、善良な心も宿したのだ。

残念ながら、頭の緑の毛は復活しない。

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生き返って反省して改心したワッティーは、まずは自分で捨てたゴミクズを拾い出す。ちゃんと生ゴミと燃えないゴミまで分別をしていく。

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ゴミを一通り捨てると、排気ガスを出す車やバイクに目もくれず、自転車を選ぶ。環境を配慮した乗り物を選んだのだ。

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自転車で颯爽と走るワッティーは、とても気持ちが良さそうだ。

数年前までカンボジアでは、自転車は貧困層が乗る乗り物と軽蔑されていた。しかし、最近は、プノンペンの街でも、健康のためにマウンテンバイクを乗る人が本当に増えた。最もエコで健康的なのが、自転車なのだ。時代は変わった。

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家に帰ってきたワッティーは、つけっぱなしになっていた電気類を消していく。無駄な電気は使わない。それにしても、縦に長い家だ。どれだけの電気があるのだろうか?

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そしてワッティーは、自分自身の実写のクメール体操のアニメーションが放映されているテレビも消していく。自分で自分の番組を見るパラドクス。とはいえ、誰も見ていないのだれば消すのが大正解だ!

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そして、裏口から家を出ると、この動画の最も大事なシーン。ワッティーは植林を始める。

このワッティー動画は、林業をテーマにされてアニメーション。ワッティーが植林をしながら前へ進んでいく。実際の植林は、植えてから数年から数十年の時間が必要だ。しかしこのアニメーションでは、植えたらすぐに大きくなっていく。ある意味、夢の理想郷。現実はこうはいかない。

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灌漑のアニメーションにも出演したアニマル農民たちが、ワッティーに倣ってみんなで植林をしていく。木が増えると、家や建物の材料になるので、ポンポン!!!と、家がどんどん建っていく。
まさにサザエさんのエンディングのように、列をなして植林をしていく。緑あふれる世界になって大団円。

しかしワッティーの緑の髪は戻ることはなかったのだが。。。

ナウシカといっしょに作ったアニメーション

環境問題の提起だけではなく、解決・提案になるような内容に気をつけた。前半は問題定義、後半は解決案・提案だ。

この動画をいっしょに作ったJICAの森林資源の専門家が、とても情熱的だった。だから、自然とアニメーション制作にもかなり力が入る!

その方の名前はナウシカだ。

ナウシカと言っても日本人。幼い頃にジブリの風の谷のナウシカを見て、森林の専門家になったということだ。まさにリアルナウシカ。

というのも、ギリシャ人の旦那様とご結婚されて、ギリシャ正教に入信する際にミドルネームを選ばなければならなかった。そこで選んだのが、ナウシカという名前だ。ナウシカという名前はギリシャ女性の名前。フルネームだと瀧本・ヨルゲリス・ナウシカ・麻子さん。だから、パスポートにも書かれている本名なのだ。

そんな、ナウシカから影響されて、森林資源の専門家になった瀧本さんといっしょに作った『EcoWatty』。ナウシカほどとは言わないまでも、この動画を見て環境問題に興味を持ってくれる人がいたら、とても嬉しい。

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