見出し画像

がんの治療が受けられない理由

はじめに

息子の癌がどんな病態であるのかがわかって、約2ヶ月が経過しました。
ただ、ある理由があってまだ治療を受けることができていません。

解決するためには、とてもハードルが高く、どうやらこれからさまざまな活動が必要そうだ、ということがわかってきました。

とても多くの方々のお力を貸して頂きたい状況になってしまいました。今回は、これからさまざまな活動をしていく背景をここに記載して、
みなさんにこの問題を知っていただき、あわよくば、これからの私たちの活動を後押ししていただけると嬉しいです。

どんな病気なのか

悪性で進行性のある癌が脳の延髄という場所と脊髄の首の部分にあります。(写真一番下、首の白く濁っている部分です)

延髄という場所は、人間が生きていくためにとても大切な、呼吸や循環機能の中枢です。また、脳⇨脊髄(運動するための神経)、脊髄⇨脳(感覚を得るための神経)をつなぐ、たくさんの神経が通る道のようなものです。

そのため、息子の症状も、寝ているときに一時的に呼吸が止まったり、しゃっくりが10分以上続いたり、誤嚥する場面が出てきてしまいまいた。握力も右手は3ヶ月前に15kgだったのが今は9kgしかありません。癌によって圧迫された神経による障害が日に日に増しています。


治療について

小児脳腫瘍の場合、例えばグレード1や2だから、予後が長いのかというとそういうわけではなさそうです。なぜなら、予後には、腫瘍の発生場所、がん細胞の種類(150種類以上)、様々な遺伝子要因(例:Aという遺伝子は予後にネガティブでなくても、Bという遺伝子があれば予後にネガティブにはたらくなど)、社会的環境など、様々な要因が複雑に絡んでいます。

下図は、脳幹グリオーマの中でも、低悪性度神経膠腫かつBRAFV600eの遺伝子変異がある子どもたちの、無増悪生存期間(PFS )です。縦がPFSで横が年数になります。
※無増悪生存期間とは、治療中(治療後)にがんが進行せず安定した状態である期間のこと。
※がんの効果判定のための評価はたくさんあり、あくまでも今回はPFSというものをあげています。

ここで言いたいことは、どうやら治療として、化学療法よりもBRAF阻害剤を使用したほうが効果がありそうだとわかるかと思います。

そうしたこともあり、私が医師から伝えれたことは、息子の場合、これまでの化学療法や放射線治療はあまり効果が期待できないということでした。


分子標的薬とは

薬物療法の1つに分子標的薬があります。今までの抗がん剤は正常な細胞も攻撃していたのですが、これはがん細胞だけを攻撃するものです。
(メカニズムはもっと複雑なので今回は超ざっくりと記載)

息子の病気の場合、この分子標的薬がとても効果がありそうなことがわかってきました。上記で記載したBRAF阻害剤に合わせてMEK阻害剤を組み合わせて飲むと、さらに効果がでるという論文も出ています。

さらに、日本国内でも希少疾病医薬品として指定されています。
※指定を受けることで承認申請がされた際の優先審査等の優遇措置がある。


しかしながら、現在の日本では、この薬剤を保険適用内で受けることができません。もちろん自費で約2,000万/年払えば可能です。基本的に、薬剤は永久的に投与する必要があり、現実問題、この額をずっと支払うのは難しい状況にあります。

目の前にとても効果が高いかもしれない治療があるにも関わらず、こうした状況にあることは、とても虚しく辛いです。


子どもにおけるドラッグラグという問題

なぜ保険適用されないのか、薬を飲むことができないのか。
一言でいえば、製薬会社が儲からないこと(対象が少ないので)、日本での治験の仕組みが整っていないから。だと思っています。
(※下図の記事にも医師たちの言葉として記載もされています)

ドラッグラグというのは、海外で既に承認されている薬が日本国内で承認されるまでに、長い年月を要するという問題のことを指します。
今回の薬もすでに米のFDAは迅速承認しています。

ドラッグラグ詳細はこちらの記事がわかりやすいと思います。


納得できないので聞いたり調べてみた

さて、治療が受けられないのはドラッグラグね、製薬会社が儲からず、国の治験も整っていなし、仕方がない、とはいきません。
なので、様々な人や団体に聞いてみました。

まず、医師にどうすればこの問題が解決するのか聞いてみました。答えの一言目は、わからないです。なぜなら効果が高い結果が海外の治験から得られているけれど、理由が理由だけに、どう動いていけばよいかわからないと。

少し整理します。
通常こうした新しい薬剤は、治験というものを経て、主に製薬会社が薬事申請し、PMDAという機関が薬事申請を判定し、その後、厚生労働省が保険適用するかどうかという流れがあります。

医薬品の承認審査について,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

そこで、上記のこの図に沿って、関係組織に状況を確認してみました。

・企業治験の関係者:募集は終了。治験終了予定はおそらく来年。

・ノバルティス社(この薬の製薬会社):薬事申請はまだ。としか言えない。

・PMDA(薬事申請を判定する機関):言えることはなにもない。製薬企業に問い合わせを。

・厚生労働省:言えることはなにもない。

・小児がん関連団体:特に新しい情報はなし
 (本当にたくさんの方々がご親切に相談にのってくれました)


患者申出療養制度

さて、もう手段がないのか?と思っていたのですが、どうやら患者申出療養制度なるものがあるとのこと。
※ここからとても複雑な話になりますので、極力シンプルに記載しているため良くも悪くもご注意ください。

この制度、詳細は引用を読んでいただきたいのですが、
未承認薬をはやく使いたい、対象外になっているけれど治験を受けたい、
そんなとき、患者から申出をし、医師や関連病院などが連携して可能性を探ってくれる制度
です。

調べていくと、なんとこの薬剤の患者申出療養制度がすでに検討されていました。

非常に複雑なので、ざっくりまとめると、高度な治療の有効性・安全性確認のために症例を確保して研究していいよ〜、(患者側は治療の部分にかかる費用は自費だけど。)(※この部分は製薬会社や治療内容によって違いが大きいと思います)って国が認めた記事です↓

なんだか闇がありそう雰囲気が漂ってきたのですが、この患者の申出を理解し、国に申請してくれた病院の情報も調べてみました。
九州大学の1件のみです。(2022.9.1)
※これを実施している病院はほんとに様々な負担がかかっていると思います。

やっとここまで辿り着いたのですが、、、内容をみていただくとわかるのですが、この研究に参加できる目標症例数は4人になっています。はい、そうです、もちろん息子が受けることはできません。

患者申出療養制度は、上記のことからも制度自体の改善の余地はとても大きいのではないかと思います。ただ、その理由はあまりに公になっていないことも多いです‼︎また、機会があれば記載を考えたいと思います。

結局、なぜ治療してもらえない?

まず、一言、言わせてください。(一言になっていない…)
目の前で苦しんでいる子を看病しながら、仕事しながら、親の介護しながら、子育て世代の人々が、一体何人こうした情報にたどりつけるのでしょうか?なぜ、患者側が「頑張らないといけない仕組み」なの?です。

※上記、私は上司や職場や友人、家族に本当に恵まれ、調べることを手伝っていただいたり、相談にのってもらったおかげで調査することができました。

すみません、取り乱しました。

以下相互作用してるはなしですが、まとめると
保険適用されていない理由
・製薬会社が薬事申請をしていない(費用対効果を考えても急ぐメリットが企業側に少ない)
⇨最近騒がしているワクチンと比較して。。と突っ込みたい。

(※研究者の方に教えてほしいです。日本はいつまで経っても予算は足りないのだから、外的妥当性に関する研究をすすめ、海外のエビデンスを外挿できないのでしょうか。。)

治験が受けられない理由
・シンプルにお金がかかるから(製薬会社、病院、研究機関など)
・医師やサポートするひとたちに負担がかかるから(通常業務外のことが多い)

解決策

まず、息子に症状が出始めているので、自費で治療をするしかないです。

そして、保険適用や治験問題は、
私はバカなので、良い解決策は思いつきません。

でも、上記が理由であれば、声をあげて、多くの人を巻き込み、この問題を国の意思決定者に諦めずに伝え続けること。
伝わらないと意味がないので、好きか嫌いは別としてアテンションエコノミー的に徹すること?。これ以外に庶民ができることは思いつきません。。

これから

こうした背景もあり、これから声をあげて活動していきます。
すでに動いているのですが、そこでも、自費の治療となるだけで問題だらけです。公的機関から自費治療目的だとお金は借りれないし、国内のクラウドファンディングも個人治療費のプロジェクトは不可です。

次回、このあたりを書いていきたいと思います。ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。


いいなと思ったら応援しよう!