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図書館の魔女の書評

図書館の魔女の二巻目を図書館で借りた。

一巻目の書評はこちら

二巻目の感想なので、ネタバレマシマシでいっちゃうから、そこんとこご了承ネ(突如現れたオネエ)

キリヒトは五感が鋭く、マツリカが考案した指話(手をつなぎ手のうちに指をあてるか、あてないか、宙に浮かせるかの3つのパターンから言葉を紡ぐ)についてゆける唯一の人だったこともありマツリカとお忍びで街に遊びに行くなど仲を深めていた。そんな中、馬を停める酒屋みたいな場所でしゃべっていた二人組の一人が言った一言から、コリブリという元議員の暗殺が企てられていたことをマツリカが見破った。これには私もおどろいた。色々な推理小説があるが、そんな推理にも全く引けを取らない推理でコリブリを仲間にすることができた。これにはキリヒトの耳の良さも手伝っていて、馬車の音から運んでいる樽が空であることを見破ったのだ。空の樽にコリブリの死体を入れる予定だったことをマツリカが見事推理した。

キリヒトの耳とマツリカの知識と推理力のコンビは様々な小さなことから大きなことを導けることができ、読んでいてすごく面白い。
庭を叩くいたときに場所により若干音が違うことから、マツリカが離れ(マツリカが住んでいる家)の地下の井戸から庭の地下まで昔の水道が通っていることを見破り探索に行ったシーンは読んでいて興奮したものだ。これは少年時代に秘密の道や子供でしか入れないような小さな穴を見つけたときと同じ類のもので、読むのが止まらなかった。

そして図書館の面々にも好かれてきたキリヒト。マツリカと仲良くなり、コンビ力は抜群だったが川で遊んでいる時に鬼に襲われてしまう。

私はバトル系の話は出てこないと踏んでいたので鬼が登場したときは大いに驚いた。おいおいこの小説、政治から冒険から探索、推理でさらにバトルもあるんかい!と、面白すぎるぜ。
ここで衛兵さんがバキバキに倒されてしまうが、ここでキリヒトがめちゃめちゃ剛力な鬼に筋肉の弛緩を狙って攻撃を停めさせたり、力を全く使わないような身のこなしで鬼を翻弄して鬼を退治した。これにはびっくりである。
私たち読者もキリヒトがこんな技術を習得してるとは思っていなかったので、まさに度肝を抜かれた。今思えば一巻の冒頭の井戸まで水を汲むシーンが伏線になっていたというわけである。

私たち読者は「キリヒトsugeeeeeeeeeeeeeee!!」なのだが、当のキリヒトは鬼を退治したあとはしゅんとしている。そう、キリヒトはこの技術を隠していたわけで、マツリカ達を騙し手話通訳の役を演じていたようにマツリカ達は感じる。

離れに戻ったあとキリヒトはマツリカ達に糾弾され、マツリカの先代であるタイキの命でマツリカの護衛をしていたことが明かされる。

私たち読者はキリヒトが演技ではなく本当に手話通訳を務めようとしていたことや、いままでマツリカ達に向けてきた素直さや純粋さが本物であることを知っているので、「キリヒトは騙そうとしていたんじゃないんだ!!」とマツリカ達に伝えたくなった。

裏切られた気分のマツリカ達はキリヒトと仲が悪くなってしまうが、マツリカはキリヒトが鬼を退治する前に悲しい顔を向けてきたことからキリヒトが暗殺者として育てられたことを隠して手話通訳として過ごしていきたかったと悟り、無事仲直りができた。彼らの仲はこれでさらに深くなった。

一巻はテンポが遅かったが、二巻は本当におもしろかった。

図書館の魔女は色々なものが詰まっている。

ぜひ読んでほしい。

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