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元旅行者の視点から(2)~愛国心について

今、圧倒的な兵力を誇るロシアの侵攻に対してウクライナが予想外の抵抗を見せているそうで、その原動力は愛国心だと言われています。

ここで言われている愛国心とは、ウクライナのような小国ならではの、自分達の国は自分達で守らなくてはならないという使命感というか、自分達のことは自分達で決めようとする自治精神というか、自分の家族を守らなくてはならない責任感のようなものに似ていて、現代日本人が想起する、太平洋戦争中に国家が国民に強制したと言われる愛国心とは異なると思います。

また、愛国心とは本来は自分達の属する集団のアイデンティティーを守る心を意味するのだと思います。

と言うことは、集団が弱小であればあるほど、大きなものからの攻撃や圧迫に対抗して愛国心が強くなるのは必然ではないか、と思います。

旅行中、チベットのラサの食堂の柱に、

「我是西蔵人、不是中国人」

と刻まれているのを見て、チベット民族の自民族への愛着の強さを思い、チベットという国はなくなってしまっている状態ですが(インドに亡命政府がある)これも愛国心と言えるでしょう。

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反対に、自分の属する集団が大きく強過ぎると、愛国心は持ちにくくなる、と言うか、持つ必要がなくなってくる。

経済大国となった日本や、アメリカなどはそうだと思います。

ヨーロッパは狭い面積に違った国々がひしめき合っている為にまた違った状況で、自身のアイデンティティーを主張しなくてはならない状況も出てくることでしょう。

旅行中、韓国や香港、台湾などから来た旅行者は、日本人に間違えられない為にリュックに自国旗を縫い付けている人が多かったが、日本人でそんなことをしている人はまず居なかったのも、その必要がないことともあるでしょう。もう一つは、日の丸は日本軍を連想させるので付けていて碌なことはない、特にアジア諸国を旅行する時に、現地の人達から良く思われる要素がない、ということがあります。

外から見る日本と日本人~日本の中から見る世界と日本の外から見る世界(6)日本人であることを忘れたかった時期       https://note.com/so6/n/n0ec18b340e2d?magazine_key=m933b3979e6c5

同じ事はアメリカ人旅行者がイスラム圏を旅行する時にも言えるそうで、そもそもイスラム圏にアメリカ人は観光で入国させてもらえないことがほとんどだそうで、どうしても行きたい場合は別の国のパスポートを作る、これは、欧州など他国にルーツのあるアメリカ人も多いので、ルーツの国のパスポートを作るそうです。欧州の人もアメリカ人と同じ見た目なのでイスラム圏への旅行は避けていましたが。

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以上は90年代のことで、21世紀に入ってイスラム圏と欧米社会の対立は激化しているように見えるので、状況はより悪化しているのでしょうか。

ウクライナ侵攻中のロシア兵の状況など報道で見ると、戦意に乏しく、ただ連れて来られて仕方なくやっている、という様子だそうですが、ベトナム戦争時のアメリカ兵もそうした面があったように思うし、逆にベトナムの人達は徹底抗戦した、あの状況と似ている気がします。

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当時のベトナムの人達と今のウクライナの人達と、いずれも、必要に迫られて抵抗している、それを支えているのが愛国心なのかも知れませんが、それは、旧日本軍の愛国心とは違う、とは思います。

https://www.instagram.com/so6.travel90s/





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