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20240326「空域への眼差し」

差し伸べられたその手を
掴みそこなって
また掴もうとしている
宙空のただなかで
届かないくらいに
自由なのだけれども
微かに触った
その確かさを
一瞬感じて
展開が始まる
転がった顛末を
書き記すまでは
憶えておこうとして
状況はこんがらがりつつ
最中の現状
空域でのせめぎ合いをもて
陣地は上方へと移行している
見上げれば何もないけれど

素早く遠のいて
離れる距離を催促して
鳥たちはそれを横切る
勝手な滑空で
切り裂くのは
どの空気なのか
うまい酸素をたらふく飲んで
羽ばたきの音を
楽譜に写す
雲間を背景として
聞き取れない話しをして
一斉に飛び上がる
繋がれたのはいつの日か
重い鎖が錆びる頃には
その檻もまた朽ちるのだろう
その雨はいつになく
遠く近くに
奏でる鐘を響かすだろう

集落を駆け巡り
出会す誰かに手を振って
そんなに急いでどこへと行って
ぶつかりながら
転びつつ先へと出る
歪なものものでもあるが
それさえも幻影であると仮定して
その奥へと馳せ参じる
出会ったものものの差異
それでいて叶えられない憧憬もまた
領域の上では加算される目に見えないもの
自由の裁量を鑑みて
よくある話しを耳にする
聞き取れない会話を滑りながら
その角を曲がり
昇り降りの街角で
あれよという間に成長している
青年はその街を既に出ているのだろう

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