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ひとつの例文が韓国語を身近に感じるきっかけになった話。

今でも忘れられない、韓国語を一気に身近に感じられるようになったきっかけ。
それは大学時代に第二外国語で韓国語を学び始めた、初級のテキストが始まったばかりの頃に出会った例文でした。

건물은コンムルン 도서관입니까トソグヮニムニッカ?

「この建物は図書館ですか?」と言う意味なのですが。
「図書館」が「도서관トソグヮン」だと知った時、気付きました。

「もしかして、『シークヮーサー』ってハングルで書けるし発音出来るんじゃないの?」と。

韓国語には「ワ」の母音がある

ハングルは母音が多い文字です。
まず基本母音が10個、そして二重母音(複合母音などとも呼びます)もあります。合計で20個くらいでしょうか。
そこに子音を掛け合わせると、日本語の仮名なんて比べ物にならないくらいの量に……。
初めて反切表(あいうえお表のハングル版だと思ってしてください)を見た時は、これを全部憶えなきゃいけないのかと軽く目眩がしました。そんな事はなかったんですが。

で、二重母音の中に「와」があるのです。発音は「ワ」。
「도서관」の「관」は、子音「ㄱ(K)」母音「와(WA)」パッチム「ㄴ(N)」で出来ています。ローマ字表記だと「KWAN」になりますね。
(ちなみにハングルの子音には前に他の文字が来ると濁るものがあり、Kもその1つです。なので「도서관」だと「GWAN」になります)

「ワ」の母音があるなら、ウチナーグチの「シークヮーサー」の「クヮ」も書き表せるし発音出来る!!
それに思い当たった時、大袈裟ですが世界が広がりました。

日本語に「ワ」の母音は無い

……んですよね。
日本語の母音は、基本的に「あいうえお」の5個なので。

ヤマトゥンチューは「シークヮーサー」と発音するのが難しいらしい、と言うのは何となくわかっていました。話し言葉のプロであるアナウンサーの方々でさえも、です。
シークヮーサーの「クヮ」は「KWA」なのですが、「クワ(KUWA)」や「カ(KA)」になる人が多い。

シークワーサーじゃない!
シーカーサーでもない!

と、聞く度にモヤモヤしていました。

でも、日本語の外に目を向けてみれば「ワ」の母音は存在するんです。仲間はいました。

ハングルで「シークヮーサー」を書いてみる

と言うわけで、ハングルで表記してみます。
ただしハングルの約束として「長音記号がない」んですよね。それは発音するしかない。

시콰사

シクヮサ、ではなく、シークヮーサーです。
日本語表記よりは正確さが伝わるんじゃないかと。

ウチナーグチは「ワ」の母音の他にも日本語にない発音があるので、ハングルの助けを借りれば表記の幅が広がるかも知れません。
事実、朝鮮王朝時代の文書には琉球語をハングルで書き表したものがあると聞いた事があります。読みたい!!

ただ、さすがにミャークフツ(宮古口)にある「す゜」とかになると沖縄島出身である私には正しく書けないどころか発音出来ないんですけどね……。言葉は面白いけど難しいです。



※ヘッダー画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借り致しました。ありがとうございました。

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