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向陽ヶ丘の空の下から #3 10歳の志から

このエッセイは、北海道室蘭市「共生舎」5周年を記念し、教室づくりに活かしているこれまでの経験を書き連ねたものです。

最初の段落までは無料でお読みいただけます。

なければつくればいい

今思えば、衣食住に関してはそれなりに困らない幼少期だったと思います。働いて、そして自分で仕事をするようになり、この点については、年々、両親への尊敬の念を強くするようになってきました。

とはいえ、幼少期というのは、時として思わぬ形で、大人に残酷さを突きつけることもあるもので。

周囲の家庭は、次々と新作のゲームを買い与えてもらったり、遠隔地への家族旅行があったり、家族仲がよかったり。隣の芝生が青く見えて仕方がなかったものです。

一度、この様な質問を、同級生にしたような記憶が残っています。

・どうして網走市内で遊んだり買い物をしたりしないで、北見(車で1時間)や札幌(車で当時6時間)、東京(女満別空港から飛行機で1時間20分)に行くのかな?

・網走市内でも楽しめるところや、買い物ができるところがあるのでは?

すると、もらった回答は、おおむねね次の通りだったと記憶しています。

「網走では、買い物も娯楽も、限られている」

もうなくなってしまいましたが、網走にもかつて、4〜5階建のデパートは2〜3軒存在していました。

なかなかオホーツク海沿岸の街以外に行けなかった私は、このように考えるようになりました。

「わざわざ街の外まで行かずに楽しい場所を作ることは、できないのだろうか」

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