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snowmoon_1999
2021年6月28日 18:01
「事実」早とちりしてむしりとった青い果実の味。いつまでもいつまでも口の中に渋く残る。幼い頃の珈琲の苦味よりずっと不愉快に。そうして虚ろな表情で彼女はそれを噛みつぶす。そうしてつぶれた塊は、彼女の細い喉を通る。いつまでもいつまでも噛みつぶす。いつまでもいつまでも飲み込んでいる。それでも腹は満たされず、後悔ばかり満ち満ちてあの頃の珈琲の味を懐かしむ。気づいた時にはもう遅く、